トロントのピーター・フュロップさんのところから『マーラー・ディスコグラフィ』の新版が昨日届きました。
1995年に、キャプラン財団のバックアップによって出された旧版は、1168の録音を記録していたのですが、それ以後、急速に膨大な録音が出てきているので、「書籍の形での新版を出すことは難しい」という趣旨のことをフュロップさんは書かれていたのですが、今回このような巨大な本として新版が刊行されたことは、この上もなく喜ばしいことです。
上が今回出版された新版で下に一緒に写っているのが1995年に出された旧版です。
かなり巨大な本です。
どれくらいかということは、レコード・ジャケットとの比較でおわかりになっていただけるでしょう。
縦30センチ、横21.5センチです。
厚みも相当なもので旧版は473ページで約3.3センチだったのですが、新版では568ページで約4センチという、さらに重みも増した1冊です。
フュロップさんおめでとうございます。
刊行にあたって全面的にバックアップしてくださったキャプラン財団の方々には心からのお礼を申し上げたいです。
そして、この本の出版は、2年連続のマーラー・イヤーの中でも、特筆すべきすばらしいことであると思います。
詳しくは、また、おいおい紹介していきたいと思いますが、マーラーの全作品、つまり、マーラーが作曲したものは当然のことですが、それだけではなく、マーラーによる改訂版や編曲、さらにマーラーの作品の他の人による編曲までも網羅して、それらの録音についてもデータ(録音日時、場所はもちろん、それらがどのようなフォーマットでいつ出されたかということ、さらにはそれぞれの演奏時間など)が詳細に記述されています。
挙げられている録音の数は、ギルバート・キャプランが書いている序文によると、2774(うち、110はDVDまたはLD)ということです。
たとえば、交響曲第7番の録音は87種類が挙げられていますが、調べてみたところ、そのうちの6種類がまだ手元にないので、何とか入手したいと思っています。ちなみに、挙がっているもの以外の2種類の歴史的録音を所有していたのは嬉しいことでした。
また、この本のもう一つのうれしいところは、パウル・ヴァン・ケンペンによる1949年録音の交響曲第4番(SPで出されただけで、それ以後、LPにもCDにも一度も復刻されたことがなかったもの)のCDが付いていることです。
裏表紙の内側にCDがこのように収納されています。
HMVやタワー・レコードでは現在予約が始まっているようです。
ただ、どちらもケンペン指揮の第4番のCDに、付録としてディスコグラフィがついているという表現(扱い)になっています。実情とは全く違っていて誤解を招いてしまいかねない表現だと思うのですが、流通上の都合によるのでしょうか。しかし商品説明の仕方にはもう少し気をつかっていただきたいものです。
ともかく、少々値がはりますが、マーラー・ファン必携の1冊ではないでしょうか。
マーラー・ディスコグラフィ新版 (HMVの該当商品へリンク)
タワー・レコードはMahler: Symphony No.4 [CD+BOOK] (商品へリンク)です。
なお、Fulop(uとoにはウムラウトがあります)のカタカナ表記をHMVはフュレプ(フューロップ)としていますが、ご本人の手書き(だと思いますが)によると「フュロップ」なので、その表記に私も従っています。