2学期(Lent Term)開始!&授業内容② | LSE・経済学修士留学戦記(イギリス経済学大学院留学)

LSE・経済学修士留学戦記(イギリス経済学大学院留学)

2012年夏~2013年夏にかけてLSE・Economics修士に在籍。
これから経済学大学院へ留学する人に向けて、この1年の戦いを記録する。

前回同様、2学期の授業について振り返っていきます。




計量経済学(Econometrics


1学期では、計量経済学の理論についてゴリゴリと学びましたが、2学期ではより実践的な応用分野について、大きく二つのトピックに分けて学んでいく形になります。


1学期よりは実践的な内容となっていますが、やはり他の大学のコースと比較すると、理論に重点が置かれた内容となっているようです。





前半5週間はパネルデータについて学びます。

これは、マクロの分野では、特にIMFOECDなど世界各国のデータを使用するときに必要なとなる知識です。


また、ミクロの分野では、多くの企業の個票を扱う場合にも必要になってくる分野です。



教科書は、パネルデータを扱う教科書の中では、分かりやすいと評判が良いWooldridge Econometric Analysis of Cross Section and Panel Dataを主に使用します。

この教科書は、実践的なものとなっており、論文を書く上で重宝します。

この授業も、教科書とは別にコースマテリアルがあり、コースマテリアルがしっかりしているので、まずはコースマテリアルを読み込むことが重要です。

また、教科書では扱っていないトピックも扱っています。


実際に扱った内容は以下の通りです。

Difference in Difference

Pooled OLSFixed EffectFirst Difference Estimations

Random Effect Estimation

Hausman Test (Fix vs Random)

Fixed Effects with Time-Invariant Variables: Hausman-Taylor Model

Measurement Error with Fixed Effects: IV and Long Differences

Binary Choice Models

IV/2SLS and Dynamic Models with Panel Data

Lectures 13/14: Arellano-Bond Estimator

Generalised Method of Moments (GMM)




このように、5週間にしては、かなりたくさんのトピックを扱います。

そのため、授業のスピードはかなり速く、扱う内容もレベルが高いため、Econometricsの中でも、このトピックについて特に苦戦している学生が多かったです。

大変な授業ではありましたが、毎回、Stataを用いた宿題が課されるため、実践的な面も習得することができ、私的には、大変実りある授業でした。




1学期のマクロ経済学の前半で授業を担当したDanny教授が再び登場し、後半5週間では時系列分析(Time Series)について講義を行います。


時系列分析は、特にFinanceなどの分野で直面することが多いのですが、日単位など短期間のデータがたくさん収集できる場合に起こる問題に対処する方法を学ぶというものです。

Danny教授は、マクロ経済学でも有名ですが、IMFのチーフエコノミストを務めるブランチャードとVARに関する共同執筆を行うなど、この分野でもかなり著名な教授です。




しかしながら、この授業は私的には不満が残る授業でした。

計量経済学では、OLS推定が基本の基本ですが、それだけだとデータの一致性(Consistency)や効率性(Efficiency)を満たさないため、各データの性質に合わせて、対処法を勉強するのがメインになります。

主にこれらの理論的なものを学ぶのですが、「なぜ今この理論を学ぶのか」という明確なインプリケーションが分かりづらかったです。



また、私はVARをしっかりと学びたいと思っていたのですが、授業の進みが遅く、VARはたった1回の授業で終わってしまいまいた。

それにも拘わらず、VARがテスト範囲に含まれることとなり、一番難しいトピックをちんぷんかんぷんのまま、自己学習をしなければならないという状況でした。






また、エッセイでタイムシリーズを扱う場合には、授業をあてにできない&授業が2学期後半になるため、自己学習で早めに勉強しておくことが必要になると思います。

私は、エッセイではパネルデータを扱ったのですが、パネルの場合には、授業でしっかり学習するのに加え、毎週Stataの宿題も課されるため、困ることはありませんでした。






国際経済学(International Economics


国際経済学の後期の授業では、私が楽しみにしていた国際マクロ理論について学びました

教科書は、最も国際経済学な教科書であるObstfeld and RofogoffFoundations of International Macroeconomicsを使います。




幸いにも、前期のマクロの国際マクロ理論を担当した教授と、この国際経済学の後期の授業を担当する教授が一緒の教授だったため、授業の内容が重複している部分があり、最終試験の試験勉強がしやすかったというラッキーな側面もありました。




学習する内容は多岐にわたりますが、前半は、上記のObstfeld and Rofogoffの教科書を基に経常収支理論について学びます。

そして、その理論のインプリケーションと、昨今の経常収支不均衡に関する新たな理論・トピックについて扱いました


次に、またObstfeld and Rofogoffの教科書を基に為替理論について学びました
そしてラストは、過去のアジア通貨危機に関するモデルや、昨今のヨーロッパ危機に関するモデルについて学びました