印象に残ったことなどを。



・だいぶ早い?


 昼の部に研究生の坂本愛玲菜さんのレーンに並んでいた時のこと。

  第2部の終了が押していたらしい岡本尚子さんが、ようやく全員と握手し終わってハケようとしたところへ、待機スペースで様子を見守っていたヲタさん達から「なおぽーん!」、「お疲れさまー!」と声が飛ぶ。

 「ありがとうーっ!」などと応えていた岡本さんだったが、最後に一言、一際声を張って、「みなさーん、少し早いですけど、良いお年を!」とか。

 確かにHKTは、このあとの年内には通常盤握手会や振替の写真会があるだけで、個別握手会はもう設定されていないのだが、「さすがに気が早すぎるでしょ」という感覚や、「いや、通常盤(あるいは振替)行くし・・・」という思いや、あるいは「何か微笑ましいなぁ」という感じが入り混じったような笑いが、声をかけたヲタさん達からのみならず、周りのレーンで並んでいた人たちからも起こり、しまいには拍手まで。

 岡本さんは基本笑顔ながら、「えっ、何で私、笑われてるの?」というような表情も交えつつ退場。

 岡本さんの人柄を垣間見ることが出来たように思えた、とても楽しい一瞬だった。




・『芋』&『AKB49』


 昼の部は坂本さんを終えた後、坂口理子さんのところへ。

 この日坂口さんはぐぐたすで『いもむCHU!』企画を呼びかけていて、それは身体のどこかに「芋」の字を書いて握手に来て欲しいというもの。

 私は特に『いもむCHU!』推しというわけではないのだけれど、協力するにやぶさかではない。

 しかし、ぐぐたすの写真にあったように手の甲に大きく「芋」と書こうとして、はたと気付いたのが、この後の部で『いもむCHU!』以外のメンバーに握手に行くときにちょっと都合が悪いかなということ。

 で、掌に書こうか、爪にしようかといろいろ考えた末、結局左手親指の腹に書いて握手に臨んだ。

 挨拶しながら「イェーイ!」という感じで親指を立てて腹の部分を向けたところ、「うわー、ありがとうございます!さすがですね!!」と言いつつスマホでそれを撮影する坂口さん。

 喜んでくれたのはいいのだが、「何が『さすが』なんだろう?言葉の綾?」と訝りつつの握手となったのだったが、のちにぐぐたすにアップされた写真を見て疑問が氷解。

 爪に「芋」と書いた人は複数人いたようだが、親指の腹に書いてきた人はどうやら私だけだったよう。

 そうだよ、別に田中奈津美さんのMCに出てくる人のように、「他の人に推しだと知られると恥ずかしい」から大きく手の甲に書かなかった訳じゃないんだよ、オリジナリティを出したかっただけなんだから・・・。


 さて、そんな前置きはあったのだが、この日私が坂口さんに一番訊きたかった・話したかったのは、私の中で未だあれこれと引きずっている、ミュージカル『AKB49』のこと。

 で、いろいろ質問したり感想を言ったりしている中で、坂口さんから出てきたのが、「今まで演った事のある曲でも、改めて『あぁ、こういう歌詞だったんだ・・・』って再認識することも多くて・・・」という言葉。

 思わず発した「オレもそうだったんだけど、それって『River』 ・・・?」との問いに、「そうっ!!」と満腔の同意が返ってきたときには、何かすごく嬉しくなって坂口さんへの親しみと『AKB49』への思いが一層深まったような気がした瞬間だった。



・中学一年生


 第5部で田島芽瑠さんのレーンに並んでいた時のこと。

 この日は5部の田島芽瑠さん4枚で券の持ち合わせがなくなるので、さっと握手して早めに帰ろうと、私としては珍しく早々にレーンに入っていたのだが、間もなく第5部開始という時に、指原梨乃さん・宮脇咲良さん・田中美久さん・矢吹奈子さんが手をつないで登場。

 第3レーンだった指原さんが、私が並ぶ田島さんの第4レーンの直前まで来て、3人と別れて自分のブースに入ろうとしたところ、突然矢吹さんが指原レーンに並ぶ人たちに向かって、「私たちはお化けを倒す軍隊だっ!!」と例のセリフを。

 いきなりのことではあったし、またその言葉自体を知らない人もいたのであろう、返ってきたのは「お、おぅ・・・」くらいの返事が数人分。

 これに不満だったのか矢吹さんは、「私たちはお化けを倒す軍隊だっ!!」を繰り返し、周辺のレーンも巻き込んで返しの「オーッ!」が力強く大きくなるまで5連発。

 私も、半ば苦笑いしつつ、拳を固め突き上げて唱和していたのはここだけの話。

 

 しかし、中学一年生の女の子ってこんなに無邪気なものだったろうか?

 偏向したメディア報道に誤ったイメージを抱かされているだけなのかも知れないが、私の感覚的に言うと10歳前後ならあれくらいかなぁという感じ。

 返しに満足して、宮脇さんの第6レーンまで、美久さんと二人で宮脇さんを「両手に花」状態にして、というよりも保護者に手をひかれる「引率」状態で歩いて行った後姿を観ていて特にそう思ったことだった。

 もちろん、私が並んでいた場所からは指原さんがほとんど観えなかったので、彼女が陰で矢吹さんを煽ってやらせていたという可能性も否定はできないのであるが、もしそうだとしても、素直にそれに乗っかって嫌味もわざとらしさも少しも感じさせないのはやはり稀有の資質というべきであろう。


 とは言うものの、「♪~悪いけど 私は 「えれみる」主義~♪}

 

 チーム8の公演を観る機会や数々のコンサートが間に挟まってしまって、こちらについて続きを書いていなかったのだが、実は未だに私の中でその余韻が燻っているのがミュージカル『AKB49』。

 で、ふと気づくと口ずさんでしまっているのが、なぜか「♪~ミニスカートで 妖精に変身して~♪」で、しかも大和田南那さんバージョン(つまり、わざと少し音○を△して歌うということ)だったり。

 そんなわけで、はやくも1か月以上も前のこととなってしまった舞台から、メンバー個々の感想の続きを。



・大島涼花さん


 ネガティブな性格という設定の、みのりや寛子と同期の研究生役(役名不詳;パンフまさかの売り切れで買えなかった・・・)。

 ただ、セリフ上でネガティブなものはあったが、それ以外でその役の性格を伝えきれていたかというと少し疑問も残る。

 セリフが無い場面でも脇でウジウジした感じを出してみせるなど、もう少し演り様があったのではないかなという感じ。

 尤も、この人をずっと観ていたわけではないので、ご本人は一生懸命演っていたのだけれど私の目に留まらなかっただけの事かも知れない。

 とにかくたった3回の観劇では、観ておきたいところが多すぎて手が回らないメンバーが多かったが、この人などその最たるところ。

 うーん、やはり再演熱望! 



・岡田奈々さん


 こちらは大島さんと対になるポジティブな性格の水野春子役。

 オーディションの歌唱審査として『夜風の仕業』を歌うという場面で、イントロで大きく元気よくサイドステップし始めた時には「エェッ!?」と思ったのだが、これは役柄を表わすための演出だったのかご本人の工夫だったのか。

 他にも坂口理子さんを蹴っ飛ばす(もちろん冗談で)シーンもあるなど、前出の大島さんと役が入れ替わっていたら、私のイメージ的にはピッタリだったかなと。

 もちろん役柄的な問題だけではないのだろうが、モバメやググタスを見ていると、このミュージカルに対してはかなり苦労して取り組んでいる様子が窺われて

少し心配していた。

 しかし、苦しんだだけの甲斐はあったのではないかと思える好演で、彼女を支持する者の一人としては嬉しい限り。

 劇場公演やコンサート同様全力感が非常に高い演技で、セリフが無い時や隅っこにいる時も役や舞台に対するのめりこみ方が半端でないのが伝わってきて、なかなかの存在感。 

 浦川みのりの檄に応えるところや『鏡の中のジャンヌダルク』での武闘シーンなどは、真剣かつ鋭いまなざしが凛々しく印象的だったし、『AKB参上』でこぶしを突き上げるシーンでは、周りのメンバーが単に手を上下させているだけに観えてしまうほどの勢いと躍動感が圧巻だった。

 他では、過労で倒れた寛子を心配して公演をすっぽかして病院に駆け付けたみのりが、時間ぎりぎりに劇場に戻ってきて他メンに謝罪する場面で、春子がみのりに手をあげると見せて逆に自分の頬を引っ叩き、みのりが戻ってこないのではと疑ったことを謝るという『走れメロス』的なシーンがあったのだが、自分の頬を叩くのだから充分手加減出来るはずがやりきれていなくて、思わず「おい、あれマジで当たってるやろ・・・」と呟いてしまったほどの力感とスピードで演じていて、直近の握手会では「あざになったりしてない?」と尋ねてしまったほど。

 出番の割りに印象に残っていることが多いのは、決して私がこの人を推しているからだけではないと思う。



・坂口理子さん


 HKTからはただ一人の参加で、谷真理佳さんの存在があったとは言え、演技以外にいろいろと余計な苦労も多かったのではないかと思う。

 ただ、役柄自体は比較的普段から観ている彼女自身に近い感じを受け、また彼女が経験したことのある公演から使われた曲目も多かったので、その点では多少なりとも演り易かったのかなと(全く逆である可能性もあるが)。

 また、劇中自分にスポットが当たっていない時でも端の方でこまごまとリアクションを取ったり他メンとじゃれたりしていたのは舞台演劇である以上当然なのだが、例えばHKTの劇場公演の自己紹介MCの時なども、ただじっと他メンの話を聴いているような人ではないのは周知の通り。

 そういう意味でも、極く自然な感じで舞台上で呼吸できていたように思う。

 さらにこの舞台の学校のシーンでは、同級生の男子生徒役のSKE・山下ゆかりさんと恋人同士という裏設定を独自に作るなどの工夫も凝らしていたようで、そう言えば下手の方でいちゃいちゃ演っていたなと後から思い当って「なるほど」と思わせられたり。



・山下ゆかりさん


 寛子やみのりと同期の、食べ物大好きな大食いの研究生という役の一方でこなした、実と同級生のややチャラい男子生徒役がそれっぽく仕上がっていて、とても印象に残った。

 「いかにも」といった感じの口調や身振りが少しも演技臭くなく。

 私には、山下さんと言えば「面倒くさい娘」くらいのイメージしかなく、そのイケメンぶりが意外だったのだが、チームE 2nd『逆上がり』公演では『虫のバラード』を演ったりしていたのを思い出してちょっと納得。

 


 ここでは、気になったメンバーのことを。



・横山 結衣さん(青森)


 青森弁全開の自己紹介キャッチが非常に印象的。

 変に恰好つけて標準語を使うのではなく、素直に特徴を活かしてのキャッチはアピール度が高いと思う。

 パフォーマンス的にはさほど目立つというほどでもないが、ちょっとした言葉や動作の端々にアイドル適性が感じられるような気がして期待が高い。

 ルックス的に、既存の芸能人の誰かに似ているなぁという既視感があって、ずっと気になっているのだが、今のところ該当者に心当たりがなくて、ちょっとモヤモヤ。

 


・谷川 聖さん(秋田)


 第一印象が、「あっ、なぁちゃん(岡田奈々さん)がいる!」。

 角度によって、本当にそっくりに観えることがあってビックリしたのだが、パフォーマンス面ではまだ及ぶべくもなく、平凡な印象しか残っていないのは残念。

 


・佐藤 七海さん(岩手)


 曲中のフリとか表情の作り方が独特で目を惹くのだけれど、私には感覚的にちょっとベタッとしたイメージが強くて、パフォーマンス面での工夫というよりは客席への「媚び」を濃厚に感じてしまった。

 もう少しスキルが上がってくれば、「媚び」というイメージは薄まっていくのかなと思うし、何より現時点でそれだけ考えて演っているように思えることについては好印象。

 またルックス的に言うと、谷川さんが岡田奈々さん似であるとするならば、佐藤さんは田島芽瑠さんに似ていると思う。

 私が良く握手に行っているメンバーに似た二人が、並んで『PARTY』公演をしているのを観ていると、何とも言いようのないおかしな感覚に捉われたり。

 


・小栗 有以さん(東京)


 『モーニング娘。』初期のころの辻希美さんを髣髴させるルックスと、「こんな娘がまだ東京にいるんだ・・・」という、東京の人が聞いたら怒り出すかもしれない感想を抱かせられたほんわかした雰囲気が興味深い。

 ただ、可能性を感じる反面、「AKBG向きの人かなぁ」という疑問というか、懸念も少し。



・左伴 彩佳さん(山梨)


 表情、ダンスパフォーマンスとも、現在のところ一頭地を抜いているように私には観えた。

 特徴的な大きな口は、常に口角が上げられており、大変印象が良い。

 どの曲でだったか、他のメンバーが上半身のみでフリを演っていて下半身は軽くリズムを取る程度の場面で、一人足首と膝をしっかり使って上下動を取って、さらに身体のひねりまで加えて踊っていて、そのダイナミックさに目を瞠らされた。

 自己紹介MCまでの三曲で、軽く洗ったあとででもあるかのように満面汗で濡れていたのも、一生懸命厨である私には嬉しいところ。



・永野 芹佳さん(大阪)


 実は今公演の中で唯一既に観たことがあったのがこの人。

 とはいってもパフォーマンスを観たわけではなく、関西(神戸)のローカルTV局であるサンテレビで、太田奈緒さん(京都)や山田菜々美さん(兵庫)らと共に、神戸の名所案内をするといった番組に出演していたところを偶然観かけたのだ。

 その時は、「なんか大したことないなぁ」と思ったのだったが、やはりあの衣装を着て踊っているのを劇場で観ると、また違った趣きがある。

 あまり物怖じが感じられないところや、小っちゃいのに元気、というか威勢がいいところなどは、大阪っぽいなぁという感じ。

 ダンスパフォーマンスは取り立てて良くもないが悪いわけでもないように思うが、もう少し身体をいっぱいに使って大きく観せようというところがあれば、好みのメンバーに入っていたのかなと思わないでもない。

 


・濵松 里緒菜さん(徳島)


 英語が得意なところや、結構一般受けしそうなルックスや落ち着いた物腰などを観ていると、アイドルよりは女子アナウンサーを思わせるような雰囲気の持ち主。

 年齢が高いこともあるのか、観せる・観られることへの意識も非常に高いように見受けられるし、MCにしてもダンスパフォーマンスにしてもそつがない。

 もちろんそれだけではないのだが、ちゃんと喋ってMCを進行できるという面では、歳若いメンバーが多いチーム8では貴重な戦力であると思う。

 ただ、自分中心で話し出すと話が長いのが玉に瑕で、しかもあまり面白くないという難点が・・・。

 尤もこれは、なかなかに魅力的な声音で淀みなく話すさまがベテラン臭をすら感じさせるからで、舞台経験を考えればこれからいくらでも良くなる余地はあるだろう。


 また、今公演を観る前に配信で27日の公演を観て予習をしたのだが、その時にとても魅力的に思えたのが、この人と左伴さんによる『あなたとクリスマスイブ』。

 このブログにも何度か書いていると思うが、私がこの曲で重視するのは、いかに演者二人の声が喧嘩することなく上手く溶け合い、お互いを引き立てあうか。

 この点で言うと、オリジナルの折井あゆみさん・星野みちるさんのコンビを超える人たちは未だ出てきていないと私は思っていて、そして27日の公演での濵松さん・左伴さんの『あなたとクリスマスイブ』はそれに肉薄するものだと感じてとても期待していた。

 今公演では、27日の公演時よりもややハーモニーに乱れがあって、その分ちょっと片方が自己主張したような聴こえ方が私にはしてしまって残念だったのだが、それでもまずまずのクオリティではあったと思え、今後も是非機会を得て聴き続けていきたいものだと思わされた。

 この曲は今まで、演者双方にある程度の歌唱力が要求されるうえに、一方が弾き語りができないといけないという制約のもとにメンバーが選ばれていたので、技量や声質まで揃ったコンビで演じられるということがなかなか難しかったと思うのだが、弾き語りを止めてしまえば当然ながら組合わせの選択肢は大幅に増える。

 AKBの黎明期には「才能にショーケースを提供する」というコンセプトもあり、また当時は十分にこの曲の魅力を引き出せるメンバーの存在があった以上、弾き語りは必然だったかも知れないが、今もってそこに拘りすぎると、曲とメンバーの双方の可能性を狭めてしまいかねないのかなとふと考えさせられたことだった。

 

 





 先のエントリでこういうこと を言ったその舌の根も乾かぬうちなのだが、「批判的な目で観」ていても、「見守るように観」ていても、気になることはやっぱり気になるということでいくつか。


 

 まだステージ経験の浅いメンバーたちが集まっているのだから当然なのだが、やはり人によって観せること・観られることへの意識の差が大きいなと。

 現在の時点で、公演の間中、安定してそのあたりの意識を保ち続けているなと思えるのは、私が観た限りにおいては、左伴彩佳さん(山梨)を筆頭に、佐藤七海さん(岩手)・永野芹佳さん(大阪)・濵松里緒菜さん(徳島)・本田仁美さん(栃木)など半数程度。

 その他のメンバーは、楽曲によりあるいは場面により、若干集中力が切れてボーッとしたり素に戻ってしまったように観えることがあった。

 まぁこれは慣れるにつれて改善されるのだろうが、敢えて名前は出さないが大変気になったメンバーが一人。

 当初はそれなりに笑顔も出ていたものが、公演が進むにつれてだんだん虚ろっぽい表情になって行き、なんとなくうわの空というか他所事を考えながら演っているように観え始め、さらには盛大なふりミスまで

 大変古い話になってしまうのだが、その種の表情を観ると未だに反射的に思い出してしまうこと があって、ちょっと心配。

 歳も若く、また端の方で踊っていることの多いメンバーだったので、加入するまでの期待・理想と加入してからの現実とのギャップに悩んでいたりしなければいいなと。

 もちろんそのメンバーをずっと観ていたわけではないので、たまたま私が観たときにタイミング悪くそういう表情だっただけだったり、あるいは体調があまり優れなかったりということも有り得るので、杞憂に過ぎないのかも知れないし、また是非そんなことであって欲しいと思う。



 そして、振り付けに込められた意味が理解されていないのかなと思うシーンが散見されたのは残念。

 例えば、『桜の花びらたち』の「♪~新しい世界のドアを自分のその手で開くこと~♪」で両腕を胸の前からまっすぐに前方に伸ばす場面では、掌を地面とは直角になるように曲げて客席に甲を向けた状態で腕を伸ばしていき、伸ばしきったところでさっと掌を返して腕を左右に開くことで、掌をドアに見立ててそれを開くところを表わしていると思うのだが、今公演では腕は掌を上に向けられたまま伸ばされていた。

 あるいは「♪~涙の花びらたちがはらはら~♪」のところで、客席に向けた手のひらを左右互い違いに上へ上へと重ねるようにして腕を上げていくところで、同じ高さで左右の掌を入れ替えているだけのように観える人もいた。

 AKB黎明期の夏まゆみ氏の振り付けには、卒業生の大島麻衣さんがかつて語ったように、「歌のお助け」として意味を持たせたものがずいぶんとあるので、そのあたりは是非理解した上で演って欲しいもの。


 他にも、『星の温度』の曲末ではどちらかといえばスタスタと早足で退場していってしまうなど、余韻もへったくれもあったもんじゃないなと思わされたシーンがあったり、『不足は補われ、過剰は矯められる』という作業があまり行われていないのではと思える節もあったりで、それやこれやを勘案するに、どうやらこれは教える側の問題なのかもと。

 もはや教える側にもそういった意味が含まれるフリであるのを知らなかったり、あるいは知っていてもそういうことに拘ることのない人が増えているのかも知れない。

 私も、必ずしも伝統や慣習を遵守するだけが正解だとは思わないのだけれど、それにしてもなぁと思わされたことだった。

 

 本来なら「夜」ではなく、「おやつ」と書くべき時間から始まったチーム8の『PARTY』は、私にとって何とも形容しがたい、特別な楽しさに満ちたものとなった。

 私は、『PARTYが始まるよ』公演は、SKEシアターではチームSがまだチームSでなかったころに一度とあとは研究生公演として、NMBシアターでは二期生公演として、そしてHKTシアターでも研究生公演として観た事があるのだけれど、そのどの時とも違う思いを抱きながらの観戦だったように思う。


 それにはもちろん今公演の、そしてチーム8が持つ雰囲気といったものが影響しているのだが、実は参戦前からの事情もあった。

 それは、先だってミュージカル『AKB49』を観ていた事と、28日の読売新聞の秋元Pの『AKB49』についての記事を読んでいた事。

 その記事によれば、秋元Pは『AKB49』の初日(直前の練習?)を観て、その拙さに頭を抱えたが、その後の必ずしもヲタからのみとは限らない好評を伝え聞いて、再度舞台を観に行ったらしい。

 そして、自分の観方が批評のための、ダメ出しするところを探すためのような観方だったことに気付き、素直に舞台で起こっていることを観るようにした結果、涙が抑えられなかったとか。

 で、「AKBとは本来、出来上がった技量を観せるのではなく、成長の過程を、一生懸命を観せ、それを応援するものではなかったか」という主旨の一文で記事を締めくくっていた。

 これには私も満腔の同意をする 一方、「自分の観方も多分にそういうところがあるなぁ」と自省するところがあったので、今公演ではなるべく理屈っぽい観方はしないで、素直に楽しんでステージを観ようと考えていたのだ。



 そんな思いの中始まった『PARTY』は馴染みのセットリストながら何か新鮮で、チーム8のメンバーは初々しさと素朴さに溢れていた。

 元気なダンスにも、オーバーすぎると思えるフリにも、明らかなミスにも、まとまりきらないMCにも、目を細め微笑みながら見守るような心境で臨むことのできた公演だった。