10月5日に米アップルの
スティーブ・ジョブズ
氏が亡くなりました。

世界中の人々からこれほど愛され、
死を惜しまれた企業経営者は
いなかったように思います。

彼は確かに世界を変えました。

しかしそれは必ずしも
良い面ばかりではありませんでした。
そう感じている人も多数いるのです。

ジョン・ボン・ジョヴィ

3月13日付の英新聞「サンデー・タイムズ」のインタビュー記事で
「アップルのスティーブ・ジョブズがレコード音楽を殺した」と発言し、
話題になりました。

彼はiTunesについて批判的に語ったのです。

「私の子供たちはあらゆる種類の音楽が好きだ。長女のステファニーも音楽が大好き。だがクリックしてダウンロードして聴くのは“曲”だけで、アルバム全部を聴くわけではない。今の子供たちはヘッドフォンを置いて、フル・ボリュームで音楽を聴く経験がない。アルバム・ジャケットを手にかざしながら、その絵をイメージして聴くことはしないし、できない。なけなしのお金でレコードを買うのはジャケットだということもある。中にどんな音楽が入っているかもわからないのにだ。だが、それが音楽の魔法の瞬間なんだ。それが今は、何がどうなったかって?全ての責任はデジタル・ダウンロードでレコード音楽を破壊したスティーブ・ジョブズにある」

音楽から魔法の瞬間がなくなりつつあります。

アルバム単位でCDを買う習慣がなくなり、
好きな曲だけをダウンロードして聴くようになった結果、
若い人たちは自分にとって違和感のある異質な存在との出会いが極端に少なくなってしまいました。

そう言えば奥田民生
雑誌「ぴあ」の最終号に
次のようなコメントを寄せていました。

見たくないものを見るってことが結構大事なのに。これなくなっちゃったら好きなものしか目にしなくなるんじゃないですかね」
(2011.8.18最終号)

自分に心地よいものだけに触れていると
やがて腐ってきます。

人間には多少の毒やノイズも必要なのです。