どこにでも、プレイボーイ(え・・・・死語?!)っていると
思いますが、うちのパイロットの中にももちろんいます。
うちの会社で、国際線を飛べるのは、かなりのベテラン。
通常、私が乗務する400人乗りの飛行機を運行できる
のは、定年前のおじさんパイロットたちである。
が、たまに南の島に行く、200人乗りぐらいの飛行機には、
若めのパイロットが乗務することがある。
新人のとき、出発前のゲートでスッチー達と話している
彼の姿を見つけた。
あれ、トム・ク○ーズちゃうん?!?!
初めて彼を見た私は、その場がハリウッドに思えた。
横で歩いている先輩スッチーは彼と何度か飛んだことが
あるらしい。
「あの人、気をつけなアカンよ。」
「なんでですか?」
「うん・・・あとで、ゆっくり言うわ。」
出発前のブリーフィング中、トム(仮名)に後ろから話し掛けられた。
「君って、新人?かわいい~ね~。今日は、君のために飛行機を
飛ばすことにするよ。」
・・・かっこええ・・・・・
サービスがすべて終了したころ、先輩がトム(仮名)について
教えてくれた。
「あの人ねえ、アジア人の女の子がすっごい好きやねん。で、
結婚4回目で今の奥さんは、ベトナム人やねんけど、浮気
しまくりでね。離婚原因は全部あの人の浮気やねん。浮気する
相手は何故か毎回欧米人やねんて!」
「へぇー、すごい・・・すごそうやと思ってました。あの人、
いくつですか?」
「40歳。40にもなって、浮気続けて最悪じゃない?!で、なんかトム(仮名)
から言われんかった?大丈夫?」
「ブリーフィングのとき、今日は君のために飛行機を飛ばすよ、
とか言うてました。」
「きも。気をつけ~ね~!あんま喋ったら、妊娠するよ!(笑)」
飛行機は順調に、目的地の南の島に向かって飛んでいた。
ギャレーで、スッチー達と会話を弾ませている彼を何度か
見た。
・・・ここは、BARか・・・・?!
ハリウッドのBARにいるみたいな気がした。。。。
先輩は、それからも何度も私に
「大丈夫?トム(仮名)に何も言われてない?」
と気遣ってくれた。
飛行機が、南の島に到着した。ホテルまでの送迎バスの中は
私と先輩だけである。他のスッチーや、パイロットはこの南の島に
住んでいるからである。そのバスの中でも延々、先輩は、トム(仮名)の
噂話や文句を言い続けた。
「ある乗務員が、パーサーを探してコクピットに入っていったら、
トム(仮名)とパーサーのラブシーン(キスシーン)を見てしまって
んて!!仕事しろって感じじゃない?!」
「それとかさぁ、自分の休憩中に機内でお客さんに声かけて
トイレでそういうことした、とかいう噂もあるねんよ。ほんま
最悪!!ああいう男は女の敵やわ!!」
南の島では、24時間自由時間がある。先輩とご飯を食べに行く
こともあるし、それぞれ別々に過ごすこともある。一応、下っ端が
先輩に(気を使って)予定を聞くのがルールである。
「先輩、ご飯とかどうされるんですか?」
「ああ、私はここに友だちが住んでるから~。ごめんね。」
ということで、私は、一人で食事である。夕方、フードコートに向かって
歩いていた私の目に飛び込んできたのは・・・・・・・
トム(仮名)にべったり寄り添って歩く、先輩の姿・・・・・・(@-@)
あら・・・・・(*-*)だから、機内で私に何回も
なんか変なこと言われてないかって確かめたんや・・・
トム(仮名)の文句をあんなに真剣に言ってた理由も、すべてのことに
納得が行った。
その約1年後、先輩は「できちゃった婚」で寿退社し南の島に移住した。
もちろん旦那はトム(仮名)である。
また、それから約2年後、私がトム(仮名)と乗務したときには、トム(仮名)
にはもう、新しい奥さん(タイ人)がいた。
「トム(仮名)はアジア全土を制覇する!次の嫁はどこの人やろ?
香港?ああ、北京もまだか。。。」
というのが、私達スッチーの話題となっている。