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※初めての方は、プロローグ からお読みください。



恋愛小説『Lover's key』

#10-2 恋愛対象(teru's side)






───結局、達哉はタイムギリギリで戻ってきた。



「輝、ふ、、、ざけんなオマエ!俺のこと、、、、出し抜き、、、やがって……」



地面に寝転びながら俺を睨む達哉。



ハァハァ息切らせながら何言ってんだか・・・。



「マラソン嫌いな達哉に途中まで付き合ってやったんだよ。結局オマエもタイム内に間に合ったんだから問題ないだろ」



そうそう。逆ギレされる覚えはねぇっつーの。



とか思いながら、もっと前に走り終えたオレは涼しい顔でペットボトルの水を口に注いだ。



「オイオイ、お前ら何モメてんだよ」



もっともっと前に走り終えた体育バカの壮汰がそう言いながらオレらのほうに近づいてきた。



「や…別にモメてねぇから」



なんて話をしてたら、律がどこからともなくやってきてノビてる達哉に水を渡してた。さすがは律。。。マメだよな。いつも。




*******



体育の授業が終わって4人で更衣室に戻る途中、達哉が「あ、そうだ!」と、思い出したように切り出した。



「輝、さっきの話。みんないるし今聞かせろよ」



少し距離を保ちつつ歩いてたのに、その一言でどやどやと皆がオレに近づいてきて、話に聞き耳を立てる。



「何だよ。何の話??」



めずらしく律が真っ先に首を突っ込んできた。



「輝、気になるヤツ出来たらしいよ」



もっと興味深々な達哉がそう言うと、



「は?マジかよ??」



と、壮汰がありえねーってかなり驚いた顔してオレを見た。



そんなにオレがこんな話するのヘンか??と思ったけど、まぁそうだろうなーとも思い直す。



それだけコイツらは、オレにはありえない話だということをよく知っていた。



「マジ。っつーか、かなり難アリなんだけどさ……」



オレは土曜日にあった出来事をみんなに話した。





───。





「・・・輝、、、オマエ、それはもう“気になる”を通り越して“好き”なんじゃねーか??」



オレが話終えると、壮汰は着替えながら即座にスッキリキッパリ言い切った。



「やっぱ、、、、これって好きってことなんだよな??」



オレはみんなに意見を求めた。



その時点でもう皆に『はぁ?』って失笑されてる気がしたけど。



「……思いっきり“そう”だな」



代表して律が笑いを堪えきれない表情で答えた。



・・・。



高2にもなって、なんつー初歩的な会話してんだろうなオレ。



顔から火が出そうだよ、マジで。



しかも、、、そんな会話してるオレ、、、童貞じゃねぇんだよ??



つーか。



ある意味、そのへんのヤローどもよりセックスの場数踏んでんだよ??



なのに好きがどんなだかわかんないって普通、オカシイよな。



それはさすがにオレも理解できる。



でも仕方ない。今までのオレには無縁な感情だったんだから……。



「それにしても…」



それにしても??



何を言い出すのか、皆が達哉に視線を寄せた。



「これでやっと輝が今まで女に本気になれなかった理由が分かったよ」



達哉がニヤけている。



「……何だよその笑みは!!」



オレは更衣室のロッカーをバタンと閉めながら、怪訝な顔で達哉を見ると。



達哉は鼻でフフンと笑いながら、こう言い放った。



「輝、もしかして気づいてないの?多分、お前は年上が恋愛対象なんじゃね??しかも結構年上」







・・・。





・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・はぁ?






思わず目が点になり、ちょっと唖然としてしまった。




だけど…と。ふと思い直す。




意外な達哉の発言に、思い当たるふしが・・・・









まぁ、、、なくもない。








「あっ!そういえば。輝、確か1年のとき、教育実習の先生を気に入ってたことあったな」



律が思い出したように言った。



「おお、そうだそうだ!オレら3人は“別に”って感じだったけど輝はなんだかんだなついてたよな。女になついてる輝見るの初めてだったからオレ、しっかり覚えてんだよね!」



壮汰もそう言って納得していた。



(へぇ、、オマエらよく覚えてんね。)



オレは感心したように皆の顔を見回した。



まぁ。。。そんなこともちょっとはあったなぁなんてふと思い出す。



でも今回のこの気持ちはそんなオレの記憶から消えかかってるようなハンパなのとは違うんだよね。



・・・センパイが年上だから?オレ、好きなのか??



いや、、、わかんねぇ。そうじゃないような気もするけど…。



あ、でもセンパイが年下っていうのは考えらんねぇな。



え?・・・ってか。やっぱ、年上が好きなのか??オレ。






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