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恋愛小説『Lover's key』

#3-1 話せない過去(shinichi's side)






由愛との出会いは、2年半前のバイト先だった。



大学は違ったけど、偶然にも隣の市に住んでいて趣味や話も合う。



第一印象は見た目シャイそうな子…。



でも色々話してみると実は芯が強くてしっかりしていてすごくギャップがあって。



バイトも思った以上に頑張っていたし、ふとした仕草や笑顔が可愛くて次第に惹かれていった。






───まさか、俺がまた恋をするなんて・・・。






正直、かなり戸惑いはあった。






俺は──。





前の恋人を大学1年の時に事故で亡くしている。



それは今も由愛には言ってない。



過去を語るのは苦手なんだ。過去は過去でしかない。



・・・なんて、強がり言ってるけど。



本当は、語ることで思い出が逃げていくようで怖いだけなんだ。







それほど、好きだった。







亡くした恋人以外に、他の誰かを好きになることなんてこの先絶対に無いと思ったけど、由愛が現れてくれた。



本当に、出会いというのは突然だ・・・。



でも、いまだに大切な人を失うショックは消えていない。突然失うというのは、もう一生経験したくないほどだ。










「センセ、終わったよ」




・・・・。




「おーい!!センセーーー!!!問題、解いたんだけど?!」






その声に、俺はふと我に返った。






そうだ・・・。今日は週に一度の家庭教師の日。



目の前に居るのは親父の友人の息子、一之瀬輝(いちのせ てる)。高校2年。



K大志望らしく、俺が通ってたことを知って、親父の友人・・・つまりコイツの父親が俺に家庭教師を頼んできた。



俺はもう社会人だし、親父の知り合いだからとりあえず無料奉仕ってことにしてるけど、コイツの親は訪問するたびに手土産やら何やら世話を焼いてくれている。





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