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恋愛小説『Lover's key』

#1-3 2人の出会い(yua's side)






これは現実・・・だよね?



進一が私と同じように感じてくれていたなんて。



だったらここでちゃんと自分の気持ちを言わなきゃ・・・。





「私・・・櫻井さんのこと好きだったんです」



泣きながらも一番伝えたかったことを口にした。



「俺もだよ。同じ気持ちで嬉しい・・・」



進一はそう告げるとそっと抱きしめてくれた。子猫でも宥める様な手つきで髪をなでる。慣れない私はそれがとても恥ずかしかった。



「時期的に忙しいから、なかなか時間作れないかもしれないけどそれでもちゃんと連絡取りあったりしような」



「うん・・・」



緊張しつつも進一の胸に顔をうずめながら私は頷いた。






何分くらい経ってからだろう?



抱きしめられた状態で少し沈黙があった後、進一はこう続けた。





「・・・俺を置いてどこにも行くなよ」






・・・えっ??






意外な言葉に少し驚いたけど嬉しくなって即座に「はい・・・そんなこと絶対ないです」と答えた。



進一も「良かった」と、嬉しそうに抱きしめる力を少しだけ強めた。







───それがつきあうようになったきっかけ。2年半前が何だか懐かしい。





ふと、今隣にいる進一を見上げた。



「何だよ??・・・遅れたことまだ怒ってるの??」と、進一は恐る恐る聞いてきた。



「ううん。怒ってないよ」



・・・ちょっと見つめていたいだけ。



なんて言おうとしたけど、それはやめておいた。



でも。



「どこにも行くな・・・」なんて、進一どうしてあの時そんなこと言ったんだろう??



・・・離れたくないっていう意味に解釈していいんだよね??



もちろん、どこにも行かないよ。



だって進一は私の一番好きなヒトで、一番そばにいたいヒトだから。







─── と。



そのときは純粋に、真剣に、そう思っていた。






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