3年ぶりに『別府アルゲリッチ音楽祭』を聴きに大分へ行ってきました。
アルゲリッチの演奏を聴くと、兎に角パワーをいただけます!
実は、このアルゲリッチは、東京などの演奏会では、突然のドタキャンをすることが少なくない方なのですが、「別府アルゲリッチ祭」は絶対にキャンセルしないと確信をしつつ、また今回は素敵なチェロのマイスキーとの共演でもあるのいうことで、いざ、大分へ駆けつけました。
彼女は、全身、頭の先から足の先まで、音楽愛、特に室内楽LOVE♡のアーティストですから、
行く前から、大変楽しみで仕方ありませんでした。
さて、2012年5月19日の演目は、
R.シチェドリン : ピアノとチェロのための二十協奏曲「ロマンチックな捧げもの」
C.ドビュッシー : チェロとピアノのためのソナタ
P.I.チャイコフスキー : 交響曲第4番 ヘ短調作品36
まず最初に演奏されたロシアの作曲家のシチェドリン(1932-)の『二重協奏曲』は、マイスキーとアルゲリッチを念頭に作曲されたそうです。この曲は、ロシアの果てしなく広がる冷たい大地、そこに生きる人間の葛藤、嘆き、革命、讃歌、空への昇天などが表現された深い魂の音楽でした。
共演した桐朋オーケストラ(指揮、高関健)も、二人の巨匠の熱いリードに刺激され、力演!
次のドビュッシーのチェロソナタでは、年齢を重ねた巨匠たちの息の合った音楽は、音の隅々まで印象派の色彩溢れる演奏で、観客はスポットライトの当たったステージの真ん中の空間に、次第に引き込まれてくような美しい演奏でした。
例えば、チェロのマイスキーがピチカートを指ではじくと、全く同じようにアルゲリッチがピアノの鍵盤をはじき、まるで一瞬ひとつの楽器が奏でられているようで、また、マイスキーが弓をしならせてメロディを謳うと、アルゲリッチもそれに呼応して鍵盤上に指を滑らせていくのです。これぞ音の会話というものでした。
マイスキーとアルゲリッチの愛溢れる音色を、本当にいつまでも聴いていたいと、会場のお客様は皆さん思ったことでしょう。拍手が鳴り止まなかったのは、いうまでもありません。私もこの素晴らしい演奏からエネルギーをいただきました。
最後に桐朋学園オーケストラによるチャイコフスキーの『交響曲第4番』が演奏されましたが、生き生きとした演奏で、弦楽器群の粒の揃ったハリのある合奏、管楽器群のファイト一発!的な元気よさ、そして全員が指揮者をリスペクトし、素直に音楽に向き合う姿勢など、大変好感の持てるよい演奏でした。その堂々たる演奏に大拍手!
今年の「別府アルゲリッチ音楽祭」のテーマは、「未来への躍動」でしたが、これは、音楽を通して社会へ貢献したいというアルゲリッチの気持ちと、次世代を担う若いアーティストを育てるというこの音楽祭の目的でもあります。いつまでもアルゲリッチが元気でこの音楽祭が続くことを、いちアルゲリッチファンとして、心から願ってやみません。