死神の精度 / 伊坂幸太郎 | ぶちぶち日記

死神の精度 / 伊坂幸太郎

死が予定される人間に7日間張りつき、その死が「可」か「不可」か上司に報告するのが仕事の死神が主人公です。 もっとも、ほぼ例外なく判定は「可」なのです。。。 


死神は、奇妙な興味で対象人物をじっくり観察し、さっくりと判定を下しますが、生身の私は、対象人物に微妙に感情を動かされ、死にゆく運命に複雑な気持ちを抱いてしまいます。 最後の一行が語られないような構成で、なおさら中途半端に心が揺らいでしまうのですが、実はそれこそが人の生というものなのでしょう。 死神の目を通すからこそ知れる、生のゆらぎのようなもの。


人の心の機微や、言葉のあやがイマイチわからない死神が人とかわす、微妙にずれた会話がなかなか楽しめました。「死神と藤田」「恋愛で死神」「死神対老女」は特に好き。 


ところで、唯一の「不可」の判定は、まあ気まぐれのようなものでしたが、可不可の基準って一体なんなのでしょう? 何のために調査が必要なのでしょう? 最初から最後まで、ずっと不思議に思いながら読みました。 どうでもいいことなのですけれど。