凛として時雨 Dear Perfect Tour 2013 5/4(sat)広島クラブクアトロ | LOSTAGERのブログ

LOSTAGERのブログ

ライブレポートをタイムリーに書いていきます。
ほとんどLOSTAGEです。
奈良からきたLOSTAGEといいます。

破裂する凛

『セットリスト』
1.MONSTER
2.Beautiful Circus
3.make up syndrome
4.想像のsecurity
5.テレキャスターの真実
6.DISCO FLIGHT
7.sitai miss me
8.Filmsic mystery
9.キミトオク
10.I was music
11.Metamorphose
12.abnormalize
13.JPOP Xfile
14.Telecastic fake show
15.nakano kill you
16.Missing ling


個人的に、とても感情移入したライブだった。
MUSIC CUBE初日の翌日、恐るべき激痛に右足がやられて、ヘルニアを発症しそのまま入院。ライブジャンキーの僕が1ヶ月間病棟に缶詰め。そんな僕の心を救ってくれた音楽がLOSTAGEのライブ盤と凛として時雨のi 'mperfectだった。

意地でもこのライブに行くと決めて、何とか先々週に退院。まだ足の痺れは残っていて、長期の立ちっぱなしに耐えられるかどうか、不安で松葉杖を付きながらクアトロに足を運んだ。
(案の定、足はまた死んでます。恐らく再発します……)

定刻を5分ほど回って暗転。大歓声をさらに後押しするようにi dance alone。モノクロになるステージ。久々の感覚に背筋がゾクッとする。

凛として時雨登場。静かだが、みなぎる気迫は一年半前のα+βを遥かに凌駕している。殺気が広がっていく。

ピエールのドラムが開始の合図を告げる。三人の音が凶暴なアンサンブルと化し【MONSTER】。初っぱなから345が跳び跳ねて観客の熱気を煽る。

そのままアルバムリードトラックの【Beautiful Circus】へと雪崩れ込む。TKの絶叫が響いて、これは時雨のライブなんだと再認識する。

そのまま【make up syndrome】だがα+βで披露されたときより圧倒的に凄まじく、スピードも音源より三割ましの疾走感。打ちのめされる。

TK「お久しぶりです。凛として時雨です」

TKの短い挨拶を挟み【想像のsecurity】!!!!!
こっからの怒濤感は半端ではなく、どんどん鋭利さを増している【テレキャスターの真実】~広島オーディエンスを狂わせた【DISCO FLIGHT】とキラーチューンが続く。

少しの間を挟み【sitai miss me】。静と動。ツインボーカルの極み。今日は尋常じゃないぐらい345が荒ぶっている。

TKが囁くように「ありがとう」と感謝を告げた後は、【Filmsic mystery】~【キミトオク】と新譜の曲をたて続ける。先程のキラーチューン三連発との対比で、相乗効果的に美しく聞こえる。特にキミトオクは音源以上にエモーショナルだった。

TKと345が一旦はけて、ついにあの男の出番。会場がざわつく。スポットライトがヤツを照らした!!!!!

ピ「こんばんわ!広島!ピエール中野です!」

客「こんばんわ!!!」

ピ「広島はいつもこうやって暖かく迎えてくれてありがたいですね。さすがPerfumeを生んだ土地です。僕はネットが好きなんで、ライブの感想とかをTwitterで調べたりするんだけど、ピエールの声がでかいってあるんですけどね、俺の声がでかいわけじゃないからね。外に出す人達の調整の問題だから!まあ、俺の声もでかいかもしれないけど」

ピ「今日は広島の皆さんにどうしても御礼を言いたくてですね…………皆さんベイビーメタルの中元すず香さんを生んでくれてありがとうございます!!!!!」

客「いえええええい!!!!!」

ピ「凄いよね、Perfumeに続いて広島から世界進出。みんなベイビーメタル知ってる?メタルとアイドルが融合したっていうね。みんなメタルとか好き?好きな人?」

3割ぐらい手を挙げる。

ピ「結構いますね。僕はナタリーの企画で中元すず香さんとメタルについて対談する機会があったんですけど、そんときに絶対知らないようなメタルをたくさん薦めてね。でもそんときに出来なかった話があるんで、してもいいですか?」

客「うおおおおお!!!!!」

ピ「みんなイングウェイって知ってる?」

客「知ってる!!!!!」

ピ「すげえな(笑)。イングウェイってメタルのギタリストなんだけど、クラシックな要素とかも取り入れて演奏する人ね。その人が奥さんをツアー中に寝取られたの。マイワイフを寝録られたの!」

ピ「その寝取られた相手がツアーのボーカリストでイケメンなんだけど、その事件をメタルの雑誌が二ページに渡って取り上げて、延々とそのボーカリストをディスるって言う(笑)、有り得ないよね、メタルの世界(笑)」

ピ「そんな感じで、広島ありがとうございます。もみじまんじゅうもね、大分浸透してきて、揉みマンってね。最初来たとき揉みマンって!って思ったけど。今は生揉みマンとか、ソフト揉みマンとかもあるからね。みんなソフト揉みマン知ってる?」

無反応。で、後ろ向いて笑うピエール。お客さんも大爆笑。

ピ「こんなに食い付かないとは(笑)、みんなソフト揉みマン知らないの!?イングウェイの方が食い付きよかったよね!?」

客、拍手喝采。

ピ「僕もこうやって、ツアーの前にはご当地ネタを調べてから来てるんだけど、昨日は四国の高松でライブだったんだけど、ゆるキャラで『うどん脳』って脳みそがうどんで出来てるヤツがいるんだけど、その話したときも食い付き悪くて、今日もこの食い付き。ショックです!!!」

またも拍手喝采。

ピ「(笑)、そんなわけでコール&レスポンスをやってみたいんですけど、皆さんコール&レスポンスいけますか?っていうか凛として時雨のライブに初めて来たって人どのぐらいいますか?」

3割~4割くらい手を挙げる。

ピ「結構な数だね。まさかいきなりドラムが立ち上がって、メタルの話とか揉みマンとか言い出すとは思ってなかったでしょう(笑)?この人たち喋んないのかなあとか思ってたかも知んないけど、いつもこんな感じです!すいません!」

ピ「じゃあコール&レスポンスね。俺がバーイブス!って言うから、みんなもバーイブス!って返してください。意味は特にありません(笑)」

ピ「バイブスしたいとき有るでしょう?バイブスするとか言わない?」

客「…………」

ピエール大爆笑。

ピ「すみません(笑)!なんかこの感じが面白くて(笑)!みんな言わないか!でも今日は言おう!声出したいだけだから!いけるか!!!!!」

客「うおおおおお!!!!!」

ピ「よっしゃ!!!セイ、バーイブス!!!!!」

客「バーイブス!!!!!」

ピ「バーイブス!!!!!」

客「バーイブス!!!!!」

ピ「バーイブス!!!!!」

客「バーイブス!!!!!」

ピ「ありがとうございます!!!!!じゃあ広島ってことで、今度はPerfumeいってみましょう!!!!!俺がチョコレイトって言うから、みんなはディスコ!!!!!って返して。テレフォンズのディスコじゃないよ。埼玉のディスコじゃないよ。広島のディスコだよ。いけるか!!!!!」

客「うおおおおお!!!!!」

ピ「チョコレイト!!!!!」

客「ディスコ!!!!!」

ピ「…素晴らしい一体感ですね。さすがPerfumeを生んだ土地。一体感が違います!!!!!」

ピ「じゃあ、次はB'zやってみてもいい?B'zにあこがれてるんだ。みんなも一時期B'zにあこがれてたでしょ?俺がウルトラソウル!!!!!っていうか、みんなはハイ!!!!!って返して。これでB'zになれるよ(笑)。割と結構ウルトラソウルって続けるから(笑)。そんで、その後みんなが俺にウルトラソウルって言って。俺が一人でハイ!!!!!って言うから(笑)。じゃあ、いけるか!!!!!」

客「うおおおおお!!!!!」

ピ「ウルトラソウル!!!!!」

客「ハイ!!!!!」

×5回ぐらい(笑)

ピ「よーし、じゃあせーのっていうからウルトラソウルって言って。せーの」

客「ウルトラソウル!!!!!」

ピ「ハイ!!!!!」

ピ「(笑)最高です。ありがとうございます。これでみんなもB'zだから。俺もみんなもB'zだから」

ピ「じゃあ、次はエックスジャンプをしましょうか?俺がサイケデリッククライムオブバイオレンス、ウィーアー?って言うから、みんなはエークッス!!!!!って飛んで。……みんな大丈夫?分かってる?サイケデリッククライムオブバイオレンス、ウィーアー?」

客「エークッス!!!」

ピ「そう(笑)。なかなか無いからね、B'zやった後にエックスジャンプする機会なんて。ここしかないですよ(笑)。じゃあ、いきます!!!!!サイケデリッククライムオブバイオレンス、ウィーアー!?」

客「エークッス!!!!!」

結構飛ぶ(笑)

ピ「いやあ!!楽しくなってきました(笑)。ずっと喋ってたいもんね。このまま始発まで喋ってたいもんね。電車無くなったと思ったら、次の電車来たってなるぐらいまで喋ってたいけど、そろそろ続きにいってもいいですか?」

客「いえええええ!!!!!」

ピ「あ、マイクのコード絡んじゃった。いつも絡まるんすよね………(スタッフさん登場)直してくれます?……じゃあ直してもらってる間に『三三七力道山』っていうのを、これはやらなくていいから、見てるだけでいいよ」

ピ「ザッザッザ!ザッザッザ!ザッザッザザッザッ!力道山!!!!!」

意味不明過ぎて大・爆・笑!

ピ「(笑)。では、皆さんありがとうございました。ピエール中野でした!!後半も楽しんでください!!!!!」

ピエールがスティックを回しながら、シンバルを鳴らし、キックの音を徐々に上げていく。

ソロ。ピエールタイム。

時間にしたら五分ぐらいだろうか。
ピエールというドラマーの凄みを改めて思い知らされる。
叩くフレーズの全てがピエール中野の音でしかない。そう思わせてくれる。

一通りソロが終わって、ピエールのビートが刻まれる中、TKと345再登場。再び歓声がクアトロに舞う。

TKが斬り込むようにギターを鳴らす。刹那の間が出来る。沈黙からの轟音【I was music】。このアクトがとんでもなかった。この辺りから勢いが止まらなくなる。

【Metamorphose】。予想以上のキラーチューンっぷりを発揮し、サビではフロアの観客を踊らせる。時雨も跳ねるようにしてメロディを構築していく。

そしてシングルカットされた【abnormalize】。正直な話、僕はこの曲だけしっくりこずに今日のライブを迎えたのだが、ライブで聞いて納得できた。紛うこと無い時雨チューン。

TKのギターからピエールのリズムで始まるのは当然【JPOP Xfile】。ゾクゾクと心が昂ってしまう。足腰は痛いはずなのに、体が勝手に動く。

【Telecastic fake show】。我慢は出来ず全身が動いてしまう。完璧な殺人チューン。TKが叫ぶ。ヤバい。

止めだと言わんばかりに【nakano kill you】。オーディエンスは文字通り翔んでいき、「nakano kill you!!!!!」の絶唱が全てを巻き込んで掌握してしまっていた。

TK「ベースボーカルの中村美代子さんです」

怒濤のゾーンを終えて、いつものリラックスタイム、345の物販紹介。お客さんも本日最大の拍手で迎える。

客「みよこー!!!!!!!!!!!」

345「……こんばんは」

客「こんばんは!!!!!」

345「凛として時雨です。今日は皆さんお集まりいただいて、ありがとうございます。……………えっと、物販の紹介します(笑)」

345「まずは………(タオルがなかなか表を向かない)えっと、タオルを作りました。おしゃれなタオル。皆さんぜひ買っていただいて、おしゃれに汗などを拭いてみてください。ぜひ、ぜひ、ぜひ、ぜひ、ぜひ、ぜひ………………ぜひ、皆さんに買ってください!」

345「…………………………あっ、えっと、それから……………なんだっけ……………あっ………Tシャツを作りました。おしゃれなTシャツと七分袖などを」

客「買ったよー」

345「お、ありがとうございます。私は今Lサイズを着てるんですけど………………LサイズのTシャツを着てます……………ツアーTシャツ(自分の着てるTシャツをアピール)」

沈黙……………

ピ「似合ってるよ!」

345「あ、あ、いや、も、もういいよお(笑)」

大・爆・笑

ピ「ごめんなさい!!!!!失礼しました!!!!!」

345「(笑)えーと、女の子もLサイズを着てみては………いかがでしょうか(笑)?………もちろんXSでもいいと思います。パツッとね。男の人も………買ってください」

345「えーと、今日はこんなにたくさんの方に来ていただいて、本当にありがとうございました。凛として時雨でした」









【Missing ling】








僕は、僕はずっと今日のライブを恐れていた。


激痛の再発を怖れて?……………違う




終わった後に現実と向き合うのを怖れて?…………………………違う!




僕は単純に、ライブでこの曲を聞くことを怖れていたんだ。




TKが最初のコードを鳴らした瞬間、それが嫌というほど分かった。



三人の音が交わる。静かな音は轟音に変わり、感情が決壊したダムのように容赦なく降り注いでくる。



「優しく終わりを告げて」



345が『言う』。



転調。ギターの激しい音。ベースのうねり。ドラムの殺人的なビート。


重なっていく。


TKの声が徐々に枯れていく。歌声が消え入るようになっていく。それすらもこの曲のためのエフェクトに思えて、それすらも感情をぶつけるための仕組みに思えて、Missing lingの不完全さを象徴しているように思えて、時雨が不完全さを奏でるバンドだと言うことを改めて思い知ってしまって、僕の感情も全て崩壊していった。




記憶呼吸




TKが叫ぶ。




優しく終わりを告げて




345の声が永遠のように延びていく。




TKがギターを鳴らす。
泣き声のようなギター。



ここからは、とてもじゃないけど言葉に出来ない。


言葉にならない。


言葉は要らない。





全てが終わって。音が鳴り止んで、拍手が沸き起こるまでの静寂が、まるで悠久の時間みたいに感じた。




時雨が去る。僕はどうしてもこのライブを途中にしたかった。彼等が去る姿を見ることなく、足早にフロアから去った。





凛として時雨のライブが終わった。




何とも言えない空虚な感覚に包まれてしまった。
僕は何を見たのだろうか。
凛として時雨とは一体なんなのか。
まるで、感情をごっそりと抜き取られたようなライブを見てしまい、僕は茫然としながらこのレポートを書いた。




ごめんなさい。申し訳ない。きっと全てを伝えきれてない。だから皆さん、凛として時雨のライブに行ってください。