コカインの世界ですらシンジケートは過去のものとなっているというのに、ダイヤモンドの世界には、いまだにシンジケートが存在する。アメリカで制度的な商品取引が上場されようとした時も、瞬く間にシンジケートに壊滅させられている。

 大ベストセラーコミックの『ゴルゴ13』(さいとうたかお氏)が文庫サイズ化し、最新号(第100巻)の帯には、麻生太郎氏(現外務大臣)の「これほど国際情勢に通じた作品があるだろうか」という言葉 が氏の写真と共にある。

 私も、一般的な出版社から出されている作品の中では、まさに同感である。名称や具体的数字は実際と違うものの、『ゴルゴ13~死闘ダイヤ・カット・ダイヤ~』という巻を人からもらって読んだ時、あまりにバイヤーの悲鳴が現実例に近いために感心した。この巻が人気なのは、他のメディアがダイヤ・シンジケートの報復を恐れて、取り扱ってこなかったからだ、と推測される。


 もちろんその謂は、歴史の教科書の 「惑星と言えども征服したい」で知られるセシル・ローズ がデ・ビアズ兄弟の鉱区を買収し、アーネスト・オッペンハイマーがそれを カルテル~シンジケートにまで育てた「デ・ビアス帝国」 であり、それに風穴をあけるのもまた、もうひとつのシンジケートを急速に形成しつつあるレビエフ・グループである。


 その前に、もちろん小売段階での基礎的な宝石価値をあらわす 4C も、最低限覚えておかなければならない。4Cとは、カット、カラット、カラー、クラリティー、のこと。カット(cut)とは輝きの方向性を決めるプロポーション。カラット(carat)は重さの単位。1ctは0.2gに相当。カラー(colour)は色。説明不要だろうが、カットと同様、それぞれの宝石の構造によって価値ある美しいカラーも違う。クラリティー(clarity)は透明度のことで、天然界でついた傷や内包物によって品質をランク付けされる。人間が付けた傷は別の角度で減点が行われるが、自然界でのランクの方が重要だ。この4Cの品質を総合して高いものが良質の宝石。通常は鑑定書の左下に4Cが明記される。最近よく聞かれる「コア(核=core)」は新たなCだが、これは希少な高額品の話であって、総合評価には入らない。

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