GEOGE COX BROTHEL CREEPER (WHITE) -SOLE No.7 | メンズファッション大革命

ジョージ・コックス ブローセルクリーパー (白)

もしかしたら現代の中高生は、

このシューズのことを知らない人もいるのかもしれない。



よしんば知っていたとして、彼らは思うだろう。

「それって一体、なんのためのクツなの?」


「知るかっ!こっちが聞きたいわ!!」
ゴホッ、失礼…しかしながら、一つだけ確かなのは…


人は一見不必要なもの、無駄なもの、ワケが分からないもの…

にこそ、猛烈に恋をする動物なのだ。


「それ…カカト減り過ぎじゃね…?」

クツは、履く人そのものだ。

言い換えれば、その人の本質を…ファッションの中でも
最も如実に表現するアイテムではないだろうか?

アナタの服の趣味、音楽的嗜好がどんなものであれ、
このクツに対して…(好む、好まざるは別にして)
なにがしかの感想を持ったことがない人というのは、
恐らく…いないんではないかと思う。

今日は、ご存知…ジョージコックスのラバーソールである。
タイトルの「ブローセルクリーパー」は、一般的にはあまり馴染みが
ないだろうけれども、こちらが正式な名称である。

(ちなみに「ブローセル」は売春宿、「クリーパー」は忍び歩くなので…
あまり爽やかな意味ではない笑。
また「スニーカー」というのも、もともとは背後から忍び寄る…
みたいな意味なんである。
要はどっちもゴム底だから、革底と違って音がしない、てこと。)

しかし、そんなことはどうでもいいくらいに、
「ラバーソール」という通称の方が、
圧倒的にこのクツを連想しやすく、
もはや完全に市民権を得ている。

で、多くの人がこのクツを見たときに連想するであろう単語と言えば…
「ロック」、「パンク」、「テディボーイ」、
「セックスピストルズ」、「ザ・クラッシュ」…といったところだろうか?

もしくは「ヴィジュアル系」、「ケラッコ」、「バンギャ」
などを連想する向きもあるかもしれない。

ところで、どうでもいいようなことだが…
クツというのは履いていれば、当然のことばがら、
カカトが磨り減ってくる。

これは僕の推測だが、このラバーソールには…

「どこまで履き潰して、ソールの厚みを減らしてるか!?」

…という、無言だがしかし熾烈なバトルが、履いてる人同士で
日々、繰り広げられているんではないか…
という気がしてならない(笑)

僕の友人の一人などは、高校生の時から履き続けているが、
カカトの補修などは頑として行わず、ついにはアッパーのレザー、
スレスレまですり減らしているような男がいる(笑)

どうやらそれは、彼なりの「ロック」な心意気の表れらしいが…
もはや突っ込んでもしょーがあるまい(笑)




底がアガると、気持ちもアガる?

なんにしても、これほど音楽と密接な関係を持ち続けている
アイテムというのも稀だ。

…と思ったが、ことクツに関して言えば、
同じくいわゆるロックなら「ドクターマーチン」 や、
ヴィヴィアン・ウェストウッドの「ロッキンホース」…

ヒップホップならティンバーランドの「イエローブーツ」
ナイキの「エアフォース1」

というように、特定のブランドの、
そのまた特定のモデルといった、非常に具体的なアイコンが、
「ポンッ」と、すぐに浮かび上がる気がする。
これが洋服だと、なかなかこうはいかないだろう。

ただ、同じように帽子やヘアースタイルというのも、
その意味で非常にアイコニックな存在だ。

ボルサリーノの中折れ帽、ニューエラのキャップ…
モヒカンにコーンロウ(編み込みヘア)と、
こちらも一つの単語だけで、なんとなく、
それを好む人の大まかな人間像まで、
イメージできてしまうようなところがある。

これすなわち、帽子(や髪型)とクツというのは、
ファッションの中でも一番、その人の個性や主張が
現れやすい部分なんではないだろうか?

「私はこういう人です」と言う代わりの、
名刺の役割を果たしていると言ってもいいかも知れない。

僕が思うに、頭を装飾したり、クツを必要以上に持つとか…
ましてやハイヒールなんてものは、
人が生きていくうえでは、本質的にまっっっ…たくもって、
必要のないことだ。

(髪がない、のは考えものだが…)

そこに手を加える、金をかけるなんていうのは…
言ってみれば、これ以上ないくらいに、無駄なことなんである。

ただ、だからこそ、クツと帽子というこの二つのアイテムは、
ファッションの本質を表していると思えて仕方ない。

だとすればこの二つが、同じく、
ただ生きていくうえでは必要のない音楽と、
これほど密着した関係を持っているというのも、
納得がいく気がしないだろうか?

僕の考えをまとめると、こうだ。

「ファッションは、無意味である。音楽も、ムダである。
でも、だからこそ人はそこに、自分が生きる価値を見出せる。」


これはもちろん、人によって…
この中の単語を変えていい。

人生は、それ自体には、意味がない。

でも、理由はなくても、いまアナタが、
とにかく夢中になっている…
もしくは気になって仕方がない対象を、
なんでもいいからここに当てはめれば…

恐らくどんな人にとっても意味のある、
とても有意義な考え方になるんじゃないだろうか?

逆説的な言い方かもしれないが、それ以外、
この世の中のどこに真実を求められるというのだろう?

知っている方がいたら、是非…
今すぐにでもご一報いただきたい。






通常、「木型」もしくは「足型」と呼ばれる、シューズの要となるラスト



しかし、こうした「木」の「木型」は、もはや消滅しつつあるのである…


ここでも「トンガリ」…

最後に、このクツ自体について。

一般的にジョージコックスのラバーソールと言うと、
トゥ(つま先)のまるいタイプがよりスタンダードだが、
僕個人的には断然、このウィンクルピッカー
(すごくつま先のとがった)ぽい、こっちのモデルの方が好みである。

「トンガる」 のは僕の宿命のようである(笑)

ちなみに上二枚の画像に写っているのは、
50年前くらい前のジョージコックスの工場で、
実際に使われていた木型である。

(その当時ラバーソールはまだ誕生していないが、
ジョージコックスは1906年創業の老舗英国製靴ブランドだ。
ラバーソールの誕生は1949年。)

なんでそんなものを持っているかはさて置き…(笑)

現在、一般の靴の製造過程で、
こういった本物の木を使った木型というのはとても稀で、
たいていはプラスチックなどの合成樹脂を加工して作る。

なんと言っても、ただの木を削って足の形にしていくわけだから、
とてつもなく時間がかかって非効率な上、
熟練の職人でもなければ、左右のカタチを同じに仕上げることさえ、
めちゃめちゃ困難なのである(笑)

したがって、木を使った木型というのは、
今では高級オーダーメイドの革靴でもなければ、
まずお目にかかれない。

そんな中、「Long Tall Sally」 は木で作った、
オリジナルの木型を使用してます(笑)

なんせ、今までこんなカタチのクツがなかったので…。
削って一から作る以外、方法がなかったんですね。

そんな技術的な面からも、
本当にオリジナルな一足なんです、「サリー」 は。

(もちろんその存在自体が「オリジナル」なんですけどね!)


10cmのハイヒール・スニーカー「ロングトールサリー」公式サイト
http://www.high-heel.jp/