素足ラン事始め①: Vibram Five Fingers (VFF) Flow を試走 | (帰ってきた)ロンドンを走るオヤジのブログ!

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ご縁あり4.5年ぶりにイギリスに戻ってきました。ランを中心に気が向くまま、当地での生活を綴ります。

「走る」行為には、人間の素足が一番自然かつ、それだけで十分であって、ランニング・シューズなど必要ない、いや寧ろ害の方が多いのだ! という考え方があって、この説は最近有力になっているらしい。


人間が「走る」行為を初めたのが凡そ200万年前のアフリカ、人類はそれ以来ごく最近までずーと素足で走って来たのだからそれが自然で一番良いという説は素朴だけど納得できる部分も自分自身結構感じていた。


これを裏付ける科学的な調査も幾つか有って、ランニング愛好家の間ではかなり熱い論争に発展しているようだ。
下のYouTubu画像は、ハーバード大 リーベルマン教授(人類進化生物学)によるもの。



アメリカで数年前にベストセラーとなった本「Born to Run」(写真下)でも、著者(クリス・マクドゥーガル)はその説を唱えている。 最近知人に薦めて貰いこの本を読んでから、素足ランニング(Barefoot Running)に興味を抱き、WEBで色々調べてみた。


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砂浜やトレイルを毎日走れる環境であれば、勿論「素足」で走っても問題はないが、都市に住まう我々にはどうしても街路を走らざる得ず、そこには、ガラス破片や鋭い小石も落ちていれば、路面のギャップや突起物も沢山あって「素足」で走るには余りにもリスクが多い。


そこで、出来る限り「素足」に近い感覚を保ちつつ、危険物から足を保護する機能を持ったシューズを探してみたら、幾つかのメーカーが開発・販売している事が分かった。


「素足」VS「ランニング・シューズ」論争は、ある意味神学論争的な展開に発展しそうで、結論はそんなに簡単には出そうに無い。
だったら、「百聞は一見に如かず」、まずは自分で実験してみることにした。そこで、代表的なメーカーである伊「Vibram」社のシューズ(写真: Vibram Five Fingers Flow £110)をロンドン市内のスポーツ店で買い求め、早速ハイドパークで試走してみた。(£110=約¥15千は自分がこれまで買った何十足ものランニング・シューズより高額な買い物で、小心モノの私には勇気の要る決断だった。「裸足」感覚を得る事が一番高くつくとはちょっと皮肉だ。)


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家から、ハイドパーク迄の約2KMは舗装道だ。 出来る限り、かかと着地は避け、足指と土踏まずの間の部位(内側足根小球というらしい)で着地し、ショックを分散する走り方を心掛けてゆっくり走る。 走り始めて5-6分経過した頃、左足の足裏筋膜に「ピキッ」という鋭い痛みが一瞬走った。 「ヤバイ」感じがして、すぐに歩きに切り替える。 この部位は昔から時々症状が出ていて、一種の持病みたいなもんだ。 暫く歩くと大丈夫そうなので、再びゆっくり、ゆっくり走り始めて、やっとハイドパークに到着。


このシューズは5本指のせいかやはり人目を引くらしく、途中行交う歩行者にジロジロ見られてちょっと気恥ずかしかった。


いつも通り、インバネス通りからハイドパークに入り、ケンジントンパレス方向に外周コースを走り始める。


シューズを履いた感じは、写真下(二枚)の通り。 EUサイズで42(26CM)と43(27CM)を試したが、大きい方の43にしてどうやら正解だったみたいだ。 足にぴったりフィットする。 心配していた摩擦(靴ズレ)も全く無い。


履いた感じは、ちょっと厚手の靴下を履いているみたいな感じで、結構「素足」「裸足」感覚に近い。


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舗装した道でも、(ガラス等危険物を)余り気にせず走れるが、このシューズはやはり、オフロードを走る方が向いている様だ。 写真は、ハイドパークの未舗装部分で、結構小さい起伏があるが、これが走ると足の土踏まず部分を刺激して、ちょっと青竹踏みに似た感覚とでも言うか・・何やら気持ちが良い。


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体の重心の真下で踏み足を着地させる事と、走る際の姿勢を出来る丈背骨を真っ直ぐ保つように気をつけながら走る。 速度は、大体時速9KM程度だろうか。 今日は慣らし運転だからこれくらいで良い。 無理は禁物だ。


ここで、無理してアキレス腱、膝、それに足裏筋膜とか痛めたら元も子もないからね。


写真(下二枚)のような、倒木の上のような不整地を走ってもこのシューズは全く問題なさそうだ。


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200万年から比較的最近まで我々人類の祖先が狩猟採集で命をつないできた時代、「走る」事が「生きる」事に密接に直結していた筈で、それは多分まだ我々のDNAに深く刻み込まれたままなのかも知れない。 


その頃の記憶・感覚が、「素足」で走ることで、だんだん蘇ってきたりするのかも。メキシコのタラオマラ族(前述の本「Born to run」の中で紹介されているメキシコの少数民族)もこれに似た感覚で走っているのかな?・・なんて事を考えながらゆっくり走る。


今日は、いつも一時間以内で走るコースを、たっぷり1時間20分ほどかけて走った。


(自宅近くの舗装道路で、Gapに右足親指を引掛けてしまった時は、目から火花が飛び出す程痛かったが、後で見たら大した傷ではなくて安心した。)


Vibram 5 Fingers Flow を試走してみた感想は以下の通り。


「長所」

* ランニング・シューズでは味わえない、「素足」の感覚が感じられる。特に、トレイル等の不整地で、地面の微妙な凹凸がラバーを通じて足裏でも感じる事が出来、新鮮な感覚だった。

* 今後も、十分使えそう。(だと思った)

* 多少の、小石、小枝、木の根元、その他障害物なら問題なく走れる(痛くない)。

* 洗濯が簡単そう。

「短所」

* 履く時にコツがいる。 特に、薬指、小指を奥までキチンと入れるまで結構大変だった。(慣れの問題かも)

* 一回だけの試走では、100%信頼するには無理があると感じた。 まだ不安な部分が残り、レースで使用するにはまだ尚早だと思った。 暫くは、いつものシューズと併用して、どちらが良いか見極めよう。

* 舗装道路を走る時は、特にギャップに注意が必要。(ゴムである程度保護可能だが、シューズにはやはり劣る面あり。)

明日は、もう一つ別のブランドのシューズを、ハムステッド・ヒースで試してみよう。

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本日(8/7 Sat)の走行距離 30KM   8月の累積走行距離  105KM

ネス湖マラソンまで、57日。