なぜハイビジョンデジタル放送なのに汚く見えるの? | ☆☆☆ぷちこのネトゲブログ☆☆☆

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ちょっと知り合いに聞かれたので今回は地デジのことについて書いてみるにゅ
ここからはLomeyさんが代わってお送りしますにゅw

ということで地デジは本当に綺麗なのか?
なんかノイズが出たり、ボケボケな感じになることがある!?
今回はその辺の謎を解き明かしていきたいと思います。
数値には細かい省略などがありますが、初心者に分かりやすいように丸めてあります。

まず最初にこれを覚えておいて下さい。
難しい事は抜きでこの数字を覚えて下さい。

○デジタル放送、ハイビジョンにおけるビットレートのそれぞれの値。

地デジ  :15Mbps
BSデジ  :25Mbps
ブルーレイ:54Mbps

DVD    :8Mbps

で、ここから本題に入ります。


①ビットレートとは何ぞや?


デジタルの放送や動画では頻繁にこの言葉が出てきます。
これは一体何なのかという事をまず説明します。

デジタル放送に使われてるフルハイビジョン
これは画面の解像度が横1920x縦1080のドットで構成されています。
これはけっこう宣伝文句にも謳われているので皆さんもご存知でしょう。

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1920x1080=2073600、約207万個のドット(画素)で構成されているわけです。
そしてこの1ドットそれぞれに色の情報を持っているので(PCなどでよく聞く32ビットカラーとか16ビットカラーとかいうやつです)、
これに色数の分、32bitを掛ければ、66355200、
これをPCの数値で表すと、
66355200/1024(1K)=64800/1024(1M)=約63Mbitほどのサイズになります。
(これも難しく考えなくていいです)
ハイビジョン1画面を表示するためには63Mbit必要になるという事です。

そしてTV放送は1秒間に30コマ(30フレーム)で画像を表示しています。
つまり、1秒間あたりの必要なサイズは63x30=1890Mbitという事になります。

この1秒間に動画や放送を映すサイズの事を「ビットレート」というのです。
単位はbps(bit per second)です。

つまり1秒間のハイビジョン放送を映すために必要なビットレートは1890Mbpsということになります。

さてここで、最初の地デジなどのビットレートを思い出してみましょう。
あれれ!?ハイビジョンって1890Mbps必要なのに、全然足りてないじゃないか!
地デジに至っては15Mbpsって………。

さて、こんな低いビットレートでどうやれば放送を流す事が出来るでしょうか?

ここで、「圧縮」という技術が登場してきます。
PCなどでもZIPファイルとかでお馴染みのアレです。
デカいファイルでもZIP圧縮すれば小さくなりますよね。
デジタル放送でもこの圧縮技術を使って放送をしています。

そしてデジタル放送で採用されている圧縮方法が「MPEG-2」というやつです。
ではそれがどんな圧縮方法なのかという事を事項で簡単に説明したいと思います。


②MPEG-2圧縮とは?


例えば2枚の絵があったとします。

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ただ、これを1枚ずつ丸ごと圧縮していては、時間もかかるし容量もあまり小さくはなりません。
そこで考えられたのがこのMPEG-2圧縮方法です。

どういう圧縮方法かというと、まず1枚目の絵は普通に圧縮します。
そして、2枚目を圧縮する際、1枚目と2枚目の違う部分(差分)だけ抜き出して、その違った部分だけ2枚目の分として圧縮します。
(上の絵で言えば口の部分だけを2枚目の分として圧縮します)
再生する時は、1枚目を表示した後、2枚目は変化した部分(口の部分)だけ書き換えればいいわけです。

こうすれば2枚目に必要な分が小さくなり、再生時に展開する時間も短くなりますよね。

同様に3枚目も2枚目からの差分、4枚目も3枚目からの差分、という風に圧縮していって、約0.5秒分ほどの映像を一つのグループとして圧縮します。
(このグループをGOPと言います。デジタル映像を編集した事がある人ならどこかで聞いた事があるかもしれません。
でも、普通の人は覚える必要はありません。)

これが簡単に説明したMPEG-2圧縮という物です。


③ブロックノイズ


アナログTVからデジタルTVに替えてハイビジョンにしたのに、なんか汚く見える時があると思った事はありませんか?
画面がザラザラした感じやぼやけた感じ、なんかモザイクみたいなちっこい四角っぽい物がバラバラとが見える時がありませんか?
このモザイクみたいなのがブロックノイズと言われる物で、ハイビジョンなのに汚く見える原因です。

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普段はこんなにクッキリ綺麗なハイビジョン画像ですが

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こんな感じでザラザラの画面になる時があります
(各画像はクリックすれば大きいサイズでノイズの有無を確認できます)

ではなぜこんなノイズが出るのでしょうか?
その謎について解明していきたいと思います。

例えば先の②項の画像の様に1枚目の絵から2枚目の絵の変更部分が少なければビットレート内に収まりノイズは出ず綺麗に表示されます。
では2枚目の絵の変更部分が多ければどうなるでしょう?
ある程度までは大丈夫なのですが、一定量を越えるとビットレートを超えてしまって、全部が入りきらなくなるので、データを飛び飛びで間引いて圧縮をかけます。
(これを映像が破綻すると言います。覚えなくていいです。)

この↑間引いた部分の映像が「ブロックノイズ」として出てくるわけです。

つまり、画面のあまり動きのない部分ではビットレート内で収まるので問題なく表示されてるのですが、動きが激しい場面だと破綻してブロックノイズが発生するわけです。
このようなノイズは主に背景がキラキラしてる音楽番組や動きの激しいアクションやアニメのシーンで多発します。

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上下の画面を比べると、キラキラの場所や背景がめまぐるしく変化しています
この様な場面は画面の変化している部分(差分)が多くなり、ビットレート内に収まらず破綻して、この様にノイズが発生します

あとBSデジタル放送を見ていて地デジよりこういったノイズが少ないと感じた事はありませんか?
特にNHKのBSプレミアムは綺麗ですよね?
これはBSデジタルのビットレート(25Mbps)が地デジのビットレート(15Mbps)より高いのもその要因の一つです。(理由はそれだけではないのですがここでは省きます)

更にブルーレイの映像などを見てるとほとんどノイズなんて感じられる事はありませんよね?
これも54Mbpsという更に高いビットレートなのが要因であり、
更にはブルーレイの場合、MPEG-2圧縮ではなく、もっと圧縮率が高くて高画質な「H.264/MPEG-4 AVC」という圧縮方法で圧縮されているのも大きいです。
(ブルーレイの場合、物によってはMPEG-2やVC-1という形式も採用されています。)
ブルーレイディスクをお持ちでしたらパッケージの裏を見てみて下さい。
大抵の場合、MPEG-4 AVCと書かれてるはずです。

MPEG-2圧縮はデジタル放送が確定された10年以上前にあった古い技術なのでこのように圧縮効率がよくありません。
ならMPEG-4 AVCを採用すればいいと思うでしょうが、MPEG-2に比べて処理が重く、当時のハード(TV)では値段が高くなるのでので見送られてきたと思われます。

ただ、現状のハードは進歩が早く、MPEG-4 AVCでも簡単に再生出来るスペックがある(安価なブルーレイプレイヤーやiPadなどのタブレットでもサクサク表示出来ます)のでデジタル放送もMPEG-4 AVCを採用してもいいと思うのですが…。
まあTV自体を替えないといけない状況もありえるのでやらないのだと思います。


④ぼやけについて


ということでブロックノイズの正体が分かったとこで、
最後に、ぼやけた、滲んだ感じになるという訳をお教えします。

③項の画像ではブロックに見えるほどのノイズがないのでイメージとしてブロックノイズがこの様なものだという画像を貼っておきます。

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(画像はイメージが分かりやすい様に加工してあります。
実際のハイビジョン放送ではこれほどのノイズが出ることはありません)

ビットレートが不足している場合、この様な四角いブロック状のノイズが現れます。
これがブロックノイズです。

最近のTVはそのブロックノイズをなるべく目立たないようにするためにTVに内蔵された映像処理チップで滑らかに見える様に処理しています。
(PCでよく聞くアンチエイリアス処理みたいなものです)

とはいえ、元々モザイク状になり元の映像データを持たない画像からブロックノイズを見やすくするだけなので、見た目ぼやけた感じになります。
AVなんかのモザイクが元映像に戻せないのと同じ原理です。

で、この機能は各社各機種の映像処理チップの性能で変わってくるので、各社そのチップ開発に力を入れてそれを売りにしています。
(この映像処理チップは他にも色々な機能があるのでそれも含めた売り)

ちなみに初期のハイビジョンTVやレコーダーにはこの画像処理機能がなく四角いブロックノイズがあからさまに表示されるものがあります。
(これは加工した画像なので実際はここまで酷くはありません
あと、レコーダーを新しいTVに繋げた場合、TV側のこの画像処理機能が効くので滑らかになります)


⑤おまけ・SD画質について


ついでに従来のDVDなどの画質、SD画質の事についても少し述べておきます。
SD画質の場合、解像度は720x480=345600、約35万画素のドットで構成されています。
ハイビジョン(HD)画質とSD画質だと、デジカメで比較すると200万画素30万画素もの違いがあるわけです。
なるほどそれは確かにハイビジョンが綺麗なはずです。

これでビットレートを計算すると、
345600x32(bit)=11059200/1024=10800/1024=約11Mbpsほどになります。
そしてDVDは最初に書いたようにビットレートは8Mbpsですので少しの圧縮で済むわけです。

MPEG-2は元々このSD画質の圧縮を前提として作られた圧縮方式なので、この様にDVDなどのSD画質の圧縮には適しています。
ただ、その技術をそのままハイビジョン放送にも採用したため、ビットレートが足らず破綻を起こす原因となっているのです。

HDDレコーダーなんかでは例えば東芝だとXPというのがこの8Mbps、SPというのがこの半分の4Mbpsに圧縮するモードです。
これに対してハイビジョン放送をそのまま録画するモードをTSと言います。

ハイビジョン放送をこういったレコーダーでこれらのモードで録画したりDVDに書き出す場合、解像度をSD(720x480)、ビットレートを8Mbps(XP)や4Mbps(SP)などで書き出すので画質はSDになって落ちてしまいます。
更に、放送時点でビットレート不足で破綻してる映像はそのブロックノイズが入ったままの映像を圧縮するので結果としてDVDに落としてもブロックノイズが入ってしまいます。
ただ各社の画像処理チップでそれをなるべく綺麗に表示できる様に圧縮できる機能を取り入れています。
なのでDVDに記録する場合もレコーダーによって画質が変わってきます。

あとハイビジョンのままDVDに記録したり、BDに長時間記録できるようにするAVCRECAVCHDというのがあります。
これらは呼び方は違えど、圧縮方式は上で述べたMPEG-4 AVCが使われています。
MPEG-2よりはるかに新しい技術で圧縮率が高いので同じビットレートでも画質が良く、DVDにもハイビジョンのまま録画出来たりします。


⑥あとがき


ちなみにこのビットレートの中には他に音声データや字幕データ、データ放送のデータも入っていますが、そこは今回は割愛しました。
この辺りは映像データに比べてビットレートはかなり少なくて済みます。

あと、実は地デジはフルハイビジョン(1920x1080)ではなく、1440x1080画素で構成されている局がほとんどです。
なので必要なビットレートは約142Mbpsとなります。
(これもビットレートを低くするための措置だと思われます)
ちなみに関西(うちの地区)では地デジでフルハイビジョンなのはサンテレビだけです。
BSデジタルはちゃんとしたフルハイビジョンです。それもBSデジタルが綺麗な理由の一つです。

それと、ブルーレイは大抵の場合1秒24コマ(24フレーム)で作られています。
ブルーレイを再生すればTVによっては「1080p 24Hz」とか表示されるのでわかります。


ということでなぜハイビジョンデジタル放送なのに汚く見えるか?
少しでも理解して頂ければ幸いです。

にゅノ