白河の清きに魚も住みかねて・・・ | 勉強で困らないために

勉強で困らないために

成績が上がらない。そもそも勉強しない。「どうすれば?」よりも「どうあるべきか?」
教育の王道を突き進む『学習塾LOGOS』(福岡県春日市・太宰府市・大野城市)の代表が考える勉強の本質とは。


『白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき』



歴史の授業で登場する江戸の三大改革。


①享保の改革(徳川吉宗) 


②寛政の改革(松平定信)


③天保の改革(水野忠邦)


これらの改革名と中心人物は、テスト対策の必須項目である。



しかし、本当に「歴史」を学ぼうと思えば、


名前や年号には何一つの意味もない。


大事なことは、それが今の世とどう繋がっているのか、


あるいは、どんな背景で、どんな目的で、どんな知恵を使って、


そう動いたのかを知ることであろう。


そして、そこには「正解」はない。


あのとき、こうだったなら歴史はどう変わっていただろうか・・・


そういうことを考えさせるのも、また「勉強」である。



本来は、そういった「学び」がきちんとできているか・・・を、


測るために「テスト」を行なうのだが、


「テスト」という特殊事情によって簡素化され、


「単語知識チェック」になってしまうのだ。



私はそこを批判するものではない。


そういった背景を考えて、


「勉強」が単なる「テスト準備」にならないように


心掛けることが大事なのだと思う。



さて、先ほどの三大改革には共通点がある。


それは何か?


それは、3つ全てが、


「経済規模の拡大から生まれる不具合」に対する改革だということである。


これらの「改革」のきっかけになった出来事や状況が必ずあり、


そこにこそ、「歴史」が存在するのだ。



中でも悪名高き?「田沼意次」という人物に触れたい。


その男は、江戸時代後期、それまでの重農主義に対して、


商業資本を重視して、江戸幕府最大172万両(2000億円超)の備蓄金を残した。


有名な「株仲間」による、運上金、冥加金の徴収。


それまで、年貢による収入しかなかった幕府が、


株仲間(同業者組合)に対して専売特権を与え、


その見返り?に税を徴収したのだ。


通貨を安定させ、町人資本で農地の改革を図ったり、


農民、町人に出資させ、困窮する「藩」への貸し付けなど


徹底した重商主義を貫いた。


また、鎖国制度を緩め、長崎貿易を奨励し、海外の技術の導入を行なった。


足軽身分の「平賀源内」を登用し、蘭学を発展させる。


“土用丑の日”もこの時期。(笑)


杉田玄白前野良沢「解体新書」(ターヘルアナトミア)などが生まれる。


士農工商の枠にとらわれず、実力主義で国はどんどん活性化されていった。


それにより、文化・教育が発展する。



注目すべきは、「士農工商」が緩んだことで、


町人たちの「教育熱」が上がったことだ。


寺子屋の発展など、


チャンス!と「勉強」とがつながっていることを表している。


社会の活力は「勉強」へのモチベーションを生んだのだ。




しかし、そんな「田沼時代」にも終わりはある。


経済がどんどん成長していく中で横行していく「賄賂」や、


天明の大ききん、百姓一揆の増加などが原因で失脚。


それに対する「寛政の改革」(松平定信)へとつながっていくのだ。


風紀の粛清、重農主義への回帰・・・。


そして・・・幕府の財政は元に戻り、


定信は見事に「田沼時代」の貯金を食いつぶした。



「自由」による活性化と、そこから生まれる「格差」


それを是正するための「清貧策」


そして、平等かつ誠実な「貧しさ」を求める・・・



歴史はまさに繰り返す。


今の世に驚くほど酷似している。



違っているのは、


「白河の清きに住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」


という町人の「感性」である。



今日の「授業」はこれで・・。(笑)