政治資金規正法というのは不思議な法律です。

いくつかの縛りはあるものの基本的に収入と支出に制限はありません

収支を報告すればOKというものです。


もともと法律の趣旨が「規制」ではなく「規正」だからと言ってしまってはそれまでなのですが、流石に脱税が可能な抜け道を残していてはまずいでしょう。


よく言われているのは、相続税。

子が世襲時に資金管理団体を引き継ぐ際に親が資金管理団体にプールしていたお金を同時に引き継ぐというものです。

当然非課税で事実上相続税(生前であれば贈与税かな)の合法脱税となります。


所得税の合法脱税も可能になってしまうこともあります。

森田健作千葉県知事のときに出てきた話ですが、本業の講演料を政治献金で支払わせれば、所得税の脱税が可能ということになります。


個人からの寄附を利用すれば、サラリーマンは流石に無理でしょうが、例えば弁護士などは無料で法律相談をしてその金額分献金してもらったりしたら脱税できないかな?などと考えてしまいます。


合法脱税だけではありません。

収支報告書を見ると支出は本当に何でも有なんだな、ということがわかります。

せっかく名前が出てきましたのでテキストとして森田健作氏のものを使わせてもらいましょう。

1.資金管理団体(森田健作政経懇話会)

2.政党支部(自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部)


まず1.より、収入は1957万9237円、支出は1844万3311円だそうです。

収入源は「未来を考える会」(本人主催講演会らしい)43万9500円、鈴木栄治(本人)からの借入金25万円、講演料696万7300円、利息211円、政党支部からの寄附1164万4000円、その他の寄付が4万円。


政党支部は後で見るとして、本人からの借入金とは何ぞや?でしょう。

実は支出の部分で返済しております。

これだけ見ると本人がお金を事務所に入れて、後で返してもらったように見えますが、そのような証明はできないでしょう。

むしろ立て替え金のようなものなのかな?と思います。


これも、色々使えそうです。

資金管理団体に借用書を書かせ、後で資金管理団体から金をもらうだけで無限に自分のお金にできそうです。

誤解されては困りますが、もちろん森田健作知事がやっているというわけではありません

法律が抜け道だらけという話です。


支出の方はどうなっているかと言いますと、経費以外の政治活動に使われたとされるものが852万7886円あり、かなりの部分が一件5万円未満の支出で何に使ったか不明です。

いわゆる「その他の支出」だけで716万8298円もあります。

つまり、基本的に何に使ってもわかりゃしないということです。

表に出てくるのは領収書が必要な一件5万円以上のもので、そのほとんどが飲食代で77万8162円あります。


それこそ毎日の生活費まで政治資金から捻出してもわかりゃしないかなと…。

くどいですけど、悪用できるかもしれない点を指摘しているだけです。

森田知事は関係ありません。

次に政党支部の方ですが、基本的には企業団体献金を森田健作政経懇話会へ送るためのトンネル団体です。

もちろん合法です。

噂のドンキはこっちに出てきます。

これは違法でしょう。

よくわからないのが鈴木栄治からの個人献金です。

なんなのでしょうか?


ザル法故に何でもアリ。

今回は森田知事の収支報告を見てみましたが、実は政党支部の政治資金収支報告書は各都道府県に提出しており、閲覧できないものが多いため、WEBで公開している東京都に支部を持っている森田知事のものを使いました

怪しい収支は森田知事に限らずみんなやってます。

知事の場合 公職選挙法の方はアウトだと思うのですが、政治資金規正法はドンキ以外はギリギリセーフかなと…。


税と密接に関係あるはずなのに、帳簿の保存期間が3年(法人税法7年・商法10年)であるという点なども不思議…やはり変な法律です。