民法改正試案について | 第6の権力 logic starの逆説

民法改正試案について

平成20年11月3日の毎日新聞の朝刊に、民法改正についての記事が掲載されました。

法務省が、民法の大改正に着手するとの記事です。

改正の対象は債権法で、消滅時効を5年か3年に統一するということなどが検討されるようです。

こうした、シンプルさを目指す改正の方向を、わたしは支持します。


ところで、民法改正については、大学の学者でも議論がなされ、試案が提示されています。

平成21年1月1月発行の判例タイムズ1281号にその内容が掲載されています。

現在のシンプルな民法を規定を、複雑にしようとするものだというのがわたしの評価です。

http://www.h6.dion.ne.jp/~law/min/minsian.html

わたしは、こうした方向の改正は、基本的な考え方に問題があると思っています。

いくら詳細に規定しても法律や裁判ですべての問題を解決することはできないし、ほとんどの市民にとっては法律がわかりにくくなるだけだと思うのです。


また、改正試案では、これまでの裁判の結果を、法律に盛り込もうとしています。

しかし、裁判の結果を法律に盛り込むのは話が逆で、法律にしたがって裁判がおこなわれるのが、本当のはずです。

裁判の結果を法律に書く必要があるということは、法律とは違う裁判がされているということです。


わたしは日本の法律は、高度に整合性がとれていると思っています。

本当に、法務に携わる国家公務員の方々や、国会で法案審議をする政治家の方々は、たいへん優秀だ、と感じます。

それにもかかわらず、たまに裁判官が、直感的な思いつきで法律を無視したり、法律の規定に気づかずに、おかしな判決を書いている、というのが実態だと思っています。

(しかも、それをマスコミが画期的は判決、といって報道したりするのです。「画期的な判決」なんて、あってよいものでしょうか?)


ですから、裁判の結果を法律に書き込むかどうか、ということは、よくよく検討しなければなりません。
わたしは、基本的には、今の民法を大きく改正する理由も必要もない、と思っています。


あまりおかしな改正がなされることはないだろうと思っていますが、民法のような市民の法律については、政治的な関心が低く、報道もされませんので、結構、学者の案で進んでしまうということがあります。


いずれにしても、日々の生活に関係する法律ですから、改正にあたっては、国民全体が関心を持ち、多くの人々がよいと思えるような改正をするのが望ましいと思います。

多くの方に関心を持っていただきたいし、マスコミでも取り上げてほしいと思います。

政府・国会でも、しっかりと議論をしてほしいと思っています。


(関連するページ)

http://last-rock.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-ca3f.html

http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/c/616ade4ad900468ae503a459e5501b55

http://www.shojihomu.or.jp/saikenhou/indexja.html