まち・ひと・しごとの創生にむけた総合戦略の推進について | 地域価値創造コンサルタント 須田憲和

地域価値創造コンサルタント 須田憲和

地方自治体と連携した官民パートナーシップにより、地域の価値を創造する活動を展開。地域活性化、地域振興、まちづくり、ブランド構築、農商工連携、6次産業化推進、協議会運営、PR戦略、観光推進、再生可能エネルギー、各種セミナー講師、ファシリテーター等。ブログ

 政府による、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が明示された事を受け、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」の対応と共に、各自治体は様々なアイデアを出すべく、庁内のほとんどの部署において企画立案の作業を急ピッチで進めています。
企画をするにしても、今まで通りの縦割制度(部署単独)の中での企画では必要用件を網羅できない為、必然的に部署をまたいで協力を仰ぐなど、今までにない企画作成となります。

「地方人口ビジョン」「地方版総合戦略」の策定にあたっては、国が示した「長期ビジョン」や「総合戦略」をもとに自分の地域特性を活かして、地域ごとに、自立性、将来性、地域性、直接性、結果重視といった政策5原則に従って作成することになります。

「総合戦略」で打ち出されている政策パッケージの大項目としては、
①地方における安定した雇用を創出。
②地方への新しいひとの流れを作る。
③若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる。
④時代にあった地域をつくり、安心なくらしを守ると共に地域と地域を連携する。となっています。

 それぞれの項目に対して、国としては全体の数値目標を設定しており、各自治体や県の数値目標の合計が国の目標数字と乖離しないことになります。
今回は、目標とする成果を、あらかじめ数値として明記する方法をとっており、「重要業績評価指標(KPI)」という数字を意識して施策を推進することになります。

 KPIを達成する為には、最初に企画した施策が予定通りの進捗状況になっているかを常に監視する必要があり、齟齬がでる恐れがある時は、早急に修正をしなくてはいけません。

 いわゆるPDCA(Plan,Do,Check,Action)を実践する必要が出てきます。民間企業であれば、事業経営においてPDCAを回すことは常識でありますが、行政の場合、予算化された施策が、期中において、想定していた成果が出せないとわかっても、予算書に示された方法でやり続けるしかありませんでした。
これらは予算が単年度主義であること、予算執行後は、計画を変更できない事などが弊害となっていた訳ですから、今回の「地方版総合戦略」の策定においては、柔軟な展開が必要となってきます。

「地方版総合戦略」の策定や推進において、KPIを達成する為に必要なことは、推進チームをしっかり組織する事と言えます。

いわゆる「地方版総合戦略策定にかかわる有識者会議」や「地方版総合戦略推進組織」を産官(学)および地方活性化アドバイザー等の活動をしている方で組織化するという事が必要と言えます。

 自治体が企画立案した施策が、想定通りの成果を出しているかどうかを見極め、牽制する機能は、各地域の議会にもありますが、議会は、批判や是正勧告はできても具体的な改善活動を共に行う事は難しい現状があります。
行政と議会の関係性だけでは、「地方版総合戦略」のKPIを達成する事は無理と言えます。

 KPI達成のためには、常にPDCAを回すことが必要ですし、PDCAを実践する為には、常に現状分析を行い、事実とデータに基づいた仮説を立て、具体的な施策改善を行う事になります。
自治体が立案した施策を推進する中で、KPI達成に陰りが見えたとしても、今の組織形態や過去からの慣習からすると、自らの失策を認め、違う手法を新たに提言する事は、事実上、無理と考えられます。

 ゆえに、第三者からなる「地方版総合戦略推進組織」を早急に組織化することが、成果の差に直結すると言えます。

 組織化するメンバーの中には、地域活性化活動を展開し、事業経営もしている有識者が不可欠です。

 事業経営者は、自らが中期経営計画を立案し、それを達成する為にどうすれば良いかを常に考えて実行しています。もちろん、当初の数字を達成するには計画とは違う手法になることもあります。
 コンセプトやKPIは変更しなくても、時代の変化には「アメーバー」のように柔軟に対応することが必要であることを、実体験しています。
場合によっては、方向転換する勇気も必要ですし、柔軟なアイデアも随所に必要となります。
是非、推進の為の組織化を早急に進めて欲しいと思います。

それから、最後に組織化する上での注意事項として是非、認識頂きたいことがあります。

 今までも各地で、協議会や推進委員会など様々な組織を自治体主導で構成したことがあると思います。でも、期待通りの成果が出たでしょうか? ちゃんと毎回、きちんと議事が進んでいたでしょうか? かなりの確率で、あまり意味がなかったと反省しているはずです。

その原因の多くは以下のような要因であります。

① 議長や会長、役職者に、有名な方を「あて職」として採用しないでしょうか?
有名な人や地元の有力者を頭に添えておけば、何かあっても言い訳がつくという考え方では、何の実もなく、ただただ、形を作ったというだけです。会議を2回欠席したら、外れて頂いて良いと思います。ほかの構成員のモチベーションが下がりますし、欠席を認めている自治体や担当者に対しても、この会議は重要視してないと思われてしまいます。

② 会議の内容は議事録等の形で公開する。
(委員の氏名や発言は良いが、住民等の個別名称など個人情報にかかわる部分は非公開でよい)
 発言者も根拠のない発言が出来なくなるので、数値や事例に基づいて根拠のある発言をすることで、会議に緊張感と健全性が担保されます。

③ ファシリテート出来るメンバーが含まれているでしょうか。
  会議の進行やアイデアを膨らませていくには、ファシリティター的な要素を持っている方が必要となります。

他にもいくつかありますが、推進組織は短くても1年、長ければ5年という期間になりますので、しっかりと考えて頂きたいと思います。

私の活動主体である「NPO元気な日本をつくる会」は活動対象エリアを全国として、各地において、地域分析の後、地域特性を活かした活性化策を企画・推進するなど、多方面において展開しております。

特定非営利活動法人 元気な日本をつくる会
東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル14階
電話03-6825-3405
元気な日本をつくる会 須田憲和
http://powerful-japan.org/

お気軽にご相談いただければ幸いです。

次回は具体的な施策の推進方法について記述したいと思います。

須田 憲和(すだ のりかず)
1965年京都府京都市生まれ、東京都在住。
NPO元気な日本をつくる会の組織運営本部長を務める。全国の地方自治体と官民連携による地域活性化活動を推進。現地法人設立や地域協議会立ち上げ、活性化に伴う政策提言と実践を幅広く行う。6次産業化プランナーとしての活動では農商観連携を推進。
(地域ブランド・観光流入促進事業・インバウンド対策・産業創出・雇用促進・民間連携・農林漁業推進・バイオマス・事業経営)

■ 6次産業化プランナー(6次産業化中央サポートセンター)
プランナー紹介ページ:https://sys.6sapo-center.net/?planner/14
■ パワフル伯耆まちづくり推進協議会アドバイザー
■ 宮城県「まちづくり課題研究支援事業」アドバイザー
■ 産業連携ネットワーク(農林水産省)
■「食のにっぽん」推進委員会 委員
■ ㈱パワフルジャパン十和田 取締役(道の駅指定管理平成27年4月~)
■ 首都圏企業連携アドバイザー
■ 官民パートナーシップ研究員
 (官民パートナーシップ研究会)http://ameblo.jp/localcreation/entry-11919786849.html
■ 復興庁「新しい東北」官民連携推進協議会
■ 青森県十和田市6次産業化促進支援事業アドバイザー
■ 宮城県亘理町 平成25年度 復興・活性化検討委員会 委員
■ 地域活性学会 会員

ありがとうございます。