「あしたの、喜多善男」 感動ものかと思ったらミステリー? | 映画(+ドラマ)に関するエトセトラ

「あしたの、喜多善男」 感動ものかと思ったらミステリー?

あしたの、喜多善男」第一話。松田龍平さんを観るのは本当に久しぶりです。


結婚した若く美しい妻には離婚され、借金の保証人になっては取立て屋に追い立てられて、唯一の友人だった三波貴男の命日に自分も死のうと決心する、さえない中年男の喜多善男。そんな彼はタクシー乗り場で偶然出会ったキャバクラのスカウトマンの矢代平太という男と出会います。

事情を聞いた平太は何故か善男の世話を焼こうとし、善男が「死ぬまでにやってみたい事」に協力しようと申し出ます。善男は元妻のみずほに会いたい、老いた母親や以前言葉を交わした事のあるアイドルの宵町しのぶにも会いたいと言いました。


すると平太は高級バーでしのぶと会う算段をつけ、善男はしのぶと再会します。しかし彼女は今やあまり売れっ子とは言えず、何やらくたびれた雰囲気を漂わせていました。イメージが崩れた善男ですが、逆にしのぶは欲望を感じさせない善男に関心を持ちます。


その頃みずほは再婚相手の死によって会社社長として働いていました。彼女はカウンセリングに通っており、元夫の善男が出て来る悪夢を見ると訴えていました。彼女にとって善男は思い出したくもない思い出の男だったのです。

そんなみずほは、杉本マサルという保険調査員に目をつけられていました。彼女の死んだ夫には十億円もの保険がかけられていたのです。みずほも側近の社員である森脇に、杉本の事を調べるように指示を出しました。


一方、平太に用意してもらった元エステの部屋にいた善男のもとに、なぜかしのぶが訪ねて来て……


死を決心した一人の中年男の再生物語、というイメージだけで観始めたら、これがなかなかミステリアスな要素も漂う謎めいた展開で、先の読めないストーリーに結構期待感が高まってきました。特に愛し合って結婚したはずの元妻が善男の事を毛嫌いしているという状況はあまりに謎です。それ程嫌いならなぜ結婚したのか。そして再婚相手にかけられた巨額の保険金ははたして?

腕の良さそうな保険調査員の存在もなかなか味があります。みずほの事だけでなく、なぜか善男にも妙な真似をしているようで、何を考えているのかわからない部分があります。


感動ものというよりもミステリーとして楽しめそうな作品ですね。