壁の向こう側で。 | 暮らしのインプロを探求する★ケアとインプロ研究所

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 日常の暮らし中で、即興演劇『インプロ』の学びを探求する
 「即興実験学校・埼玉分校」中込裕美の個人ブログ。

今日、年少の息子が、幼稚園の終業式だった。
お昼前に帰って来たから、せっかくなら楽だしと、
近所の居酒屋さんのランチに行った。

その帰りに、本屋さんに寄った。
しばらく本を眺めてたら、うんちがしたくなった息子。
併設のトイレにて、しばし
籠る。

息子のうんちが、半分くらい出た頃、
トイレのドアがノックされた。
ノックを返す。

しばらくすると、またノックが。
ノックを返す。

息子のうんちは、まだ出きってない。
4歳児のうんちを途中で辞めさせるのはムリだよね。
並んでる方には悪いけど、もう少し時間を取らせてもらおう。

そのうちに、ノックが激しくなって、
「まだなんですか!?」って怒られる。
またノックを返して、「スミマセン。まだです。」と返す。

車椅子の方だったら悪いなぁと思いつつ。
息子に、「待ってる人がいるから、
そろそろ終わりにできる?」って頼む。

息子も何か察したのでしょう。
うなずいて、お尻を拭かせてもらう。
だけど、なかなかキレイならなくて。

やっとキレイになっても、今度は、
幼稚園の制服ズボンを着せるのに手間取って。
トイレの水を流したり、手を洗ったり。
その間にも、外の方は、ドアを叩いて
喚き声。

そして、
息子の手を引いて、荷物を持って、
カギを開けて、ドアを開けた。
目の前には、50代くらいの細身のおばさん。
身軽な格好で、自分の足でしっかり立ってる。

「大変お待たせしてスミマセン」
恐縮することなく、相手を見て、ちゃんと言えた。
おばさんは、何も言わなかった。
ドアが閉まってる間、あんなに喚いてたのに。

ドアが開いた瞬間、対峙した瞬間、
相手と私たちのステータスが変わった気がする。

小さな子の手を引いて、反対の手には荷物を抱えた母親。
息子の顔は見えなかったけど、笑顔ではなかったと思う。

自分が「まだ終わらないのか」と罵ってた相手は、
たった4歳の子供だった。

それをみて、おばさんは、自分を取り戻したのかもね。
そして、私は、とても大きな自信を得た。

壁の向こう側で、ネットの向こう側で、
見えない人たちが、どんなに「母親」を罵っても、
私は、私のやり方で子育てをするだろう。

だって、今回、私は息子を無理にせかしたり、
なじったりすることなく、淡々と作業できた。
もう少し前だったら、焦ってたかもしれない。
今受けてるコーチング効果もあると思う。

トイレから出た後、息子と話した。
「怖かった?」
「怖かった」
「そうだね。怖かったね」

自分の中には、怒りもあった。
動けるのなら、他のトイレを探すなり、
男子トイレを使うなり、すればいいのに。

だけど、おばさんの姿は、
少し前の自分の姿でもあるよね。
そして、怒りでいっぱいになったときの自分の姿。

その後、息子と近所を散策して、
他にもいくつかお店に寄ったりして。
正味4時間半のデートを
ラブラブ過ごしたのでした。