アドラー心理学を理解するキーは『全体論』!? その④|フローチャート・模式図あり | 【東京・吉祥寺】“しなやかに強く” 生きていく(#マルチポテンシャライト #アドラー心理学 #HSP)|たかのかた

【東京・吉祥寺】“しなやかに強く” 生きていく(#マルチポテンシャライト #アドラー心理学 #HSP)|たかのかた

「アドラー心理学」を軸に、誰もが自分らしさを取り戻し、また特に僕自身がそうでもあることから、HSP(人一倍敏感な人)の方が、自分自身の肯定的な言葉からセルフイメージを育てていき、“しなやかに強く” 生きていくためのお手伝いをしています。

こんにちは。


現在、アドラー心理学の勉強真っ最中の理学療法士

山田 鷹です。

(「アドラー心理学 ベーシック・コース=基礎の理論の講座」受講済

SMILE - 愛と勇気づけの親子関係セミナー=基礎の実践の講座」受講中)




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
CONTENTS

その①
◯ アドラー心理学の理解を助ける文献紹介
  (かたい文章なので、学術肌の方向けかな)


◯ アドラー心理学を理解するキーは『全体論』!?
  フローチャートをつくってみました!!


その②
◯「個人(部分)」と「社会(全体)」の間について
   考えたいアドラー心理学
  模式図①を作成!!


その③
 共同体感覚を持って生活するために必要なのは、
  自分や他人に対する勇気づけ

  模式図②を作成!!


その④
「そういうことにする」とアドラー心理学が
  決めた「部分」



その⑤
『日常生活全体をカバーしてくれる指針』欠乏症の
  現代人に効くアドラー心理学



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「そういうことにする」とアドラー心理学が
  決めた「部分」


アドラー心理学の全体像を『全体論』を切り口として
捉えるためのフローチャート


アドラー心理学と自然科学的心理学(例えば精神分析学)を
比較した模式図


共同体感覚と勇気づけがもたらすサイクルと
そうでないサイクルを比較した模式図



『全体論』を採用し、

「個人」をひとまとまりのもの(=全体)として

捉えるアドラー心理学。



ある意味、その代償として

仮定することに決めた「部分」があるのです。




これらは同時に、


なにをもってその言動が

勇気づけになっているのか、なっていないのか

を判断する基準となります。




アドラー心理学が

「そういうことにする」と決めた「部分」



そして、勇気づけか否かの大きな基準は4つ。



① 自己決定性(↔︎ 宿命論・運命論)

 まず、その個人の目標を知ることです。しかしそれだけでは実は充分ではありません。ちょうど山の頂上に至るのにさまざまのルートがあるように、人生の目標に向かう個人の道筋にも色々のルートが考えられます。同じことを言いあらわすのに、人それぞれに特有の文体があるように、個人の目標追求にはその人特有のクセがあるのです。このクセのことを『ライフスタイル』といいます。
 ある個人のライフスタイルがわかれば、その人の現在の行動の意味はすべてわかりますし、今後の生きかたもある程度予測できます。すなわち、個人の人生はライフスタイルいによって決まってくるのです。ただし、完全には決まりません。ライフスタイルの与える範囲内での選択の自由、自由意志、を個人はいつでも持っているのです。こういう考え方を『やわらかい決定論』といいます。アドラー心理学はやわらかい決定論に立っていて、ある個人の行動にはその個人固有の傾向があって、完全な選択の自由があるわけではないが、さりとて常にある程度の選択の幅はあるのであって、完全に運命論的に縛られてしまっているものでもないと考えます。
 さらに言えば、目標やライフスタイルも、変えようと本当に決断しさえすれば、変えられるのです。この意味で人間は自由であり、自分の運命の奴隷ではなく、むしろ運命の主人公なのです。
(いずれもアドラー心理学の基本前提(1)目的論から引用

この文献は、アドラー心理学が日本に入ってきた翌年の、

今から30年以上も前に書かれたものであることを踏まえると、


当初はまだ「自己決定性」という用語ではなく、

「やわらかい決定論」という言葉を採用しており、

その後、時間による検証を経て、「自己決定性」という用語を

用いるようになったのだと考えられます。


② 目的論(↔︎ 原因論)
 「人間の行動にはすべて理由がある」というのが20世紀の心理学に共通する考えかたです。すなわち、一見どんなに不合理に見える行動(や感情や精神活動一切)も、よく探ってみるとからなず筋の通った理由が見つけられるのだと、現代の心理学は考えているわけです。
 さて、ここで注目していただきたいのは『理由』ということばです。一般には『理由』というのは『原因』のことだと考えられています。つまり、「人間の行動にはすべて原因がある」と考えるのが普通の心理学なのです。精神分析の創始者フロイトをはじめ、ほとんどの心理学者はこのように考えています。この、『理由』すなわち『原因』と考える考えかたを『原因論』といいます。
 アドラー心理学も「人間の行動にはすべて理由がある」と考える点では他の心理学理論と共通しています。ただ違うのは、『理由』ということばを、『原因』ではなく、『目的』と考えるところです。
 「人間の行動にはすべて目的がある」これがアドラー心理学の第一の基本前提であり、『目的論』とよばれます。
(いずれもアドラー心理学の基本前提(1)目的論から引用


過去の『原因』は、

現在の解説にはなるが解決にはならない。



このようなアドラー心理学らしい主張の根本にも、

この『目的論』が強く反映されています。



③ 認知論・現象学(=主観主義)(↔︎ 客観主義)
 アドラー心理学は人間の主観的な意味づけを重視します。「人間は(主観的に)意味づけられた世界に住んでいる。われわれはありのままの環境を体験するのではなく、常に人間にとっての重要さに応じて環境を(意味づけてから)体験する。……人間であるかぎり、意味づけから逃れることはできない。われわれはわれわれの与えられた意味づけを通してのみ現実を体験するのであって、現実そのものではなく、何らかの形で解釈された現実を体験するのである」(1)とアドラーは述べています。このような立場を『認知論』または『現象学』といいます。
 認知論または現象学は『主観主義』とも呼ばれます。これは『客観主義』と対立する概念です。客観主義というのは、人間の客観的な状況のほうを主観的な精神世界よりも重視する立場で、心理学では行動主義が客観主義の代表です。フロイト心理学も、少なくとも古典的な精神分析理論については、客観主義の心理学に分類されます。
(いずれもアドラー心理学の基本前提(4)認知論から引用


これはたとえば、

コップに半分はいった水をみて、


「あと半分しかない」と感じるのか、


「まだ半分はいっているのか」と感じるのか、


同じありさまを、どのように感じるのかは、

その人の、そしてその時々の主観によって

左右され得るということを、


アドラー心理学では重要視しているということですね。



④ 対人関係論(↔︎ 精神内界論)
 アドラー心理学は、あらゆる行動は、対人関係上の問題の解決を目的としてデザインされ実行されるのだ、と考えます。ある行動が対人関係にどのような影響を及ぼすかを探れば、その行動の意味は理解できるのです。この立場を『対人関係論』といいます。
 対人関係論の反対語は『精神内界論』です。これは、個人の行動を、その人をめぐる現在の対人関係の問題ではなく、その個人の精神内界の機能や構造の問題としてとらえようとする立場です。
〔中略〕
アドラー心理学の言う対人関係とは、現在その人が直面している現実の具体的な対人関係です。過去の対人関係は、もはやその人の心の中にしかありませんから、分類するとすれば精神内界です。

ちなみに、

アドラー心理学は対人関係論に立っている一方で、

精神内界論を無視するわけではない


という点についても同時に記述があるということも、

ここでは触れる程度ですが、

お伝えしておきたいと思います。



・・・・・・・・・・・・・



以上の4つの点を、


それぞれ対極の立場の存在を踏まえつつも、



アドラー心理学としては、


「そういうことにする」と決めた「部分」


そして、勇気づけか否かの

大きな基準として定めているのです。




そして、もちろん

今回、出発点として定めた『全体論』を含め、

これら全ての判断基準を踏まえたコミュニケーションを、

自分と、そして他人と取る
(=
勇気づけ)ことにより、

「個人」が「社会」において

共同体感覚
を持って生きていくことができる


と考えるのが
アドラー心理学なのです。



その⑤へつづく