フェデリコ・テシオはロンブローゾを読んだのか。チェーザレ・ロンブローゾ(1835-1909)は、医者で、心理学、犯罪学を研究したイタリア人で、トリノ大学で教授をしていたそうです。

 

ものすごくざっくり乱暴に言うと、

 

犯罪者=犯罪者は先祖から、犯罪者としての資質を受け継いでいる。それは身体的特徴に現れている。犯罪者に必要なのは刑罰ではなく、治療と、生まれないようにする。

天才=同じく、先祖から天才としての資質、身体的特徴を受け継いでいる。両親の組み合わせで天才を作ることができる。

 

という、人間は両親からその資質、身体的特徴を受け継ぐという、一見、当たり前のような話ですが、生まれつきの悪人。悪人独特な顔つき、行動など、人権無視、危険な優生学、あきらかに疑似科学のトンデモ論で、当時から批判があったそうです。

 

フェデリコ・テシオが、ダーウィンの進化論やメンデルの法則を学んだのは、良く聞く話ですが、ここにロンブローゾを読んだのではないか、との話を見つけました。考えれば、同時代の人で、同じトリノに住んでいて、トリノ大学なんてチェントロからすぐの場所だし、お互い生物の多様性、進化、遺伝に興味があるし、お互い上流階級だし。サロンで出会うこともあるかもしれない。そしたら、その著作や講演を聞いていても不思議ではない。そして、ロンブローゾの言う「天才論」。

 

古今東西の天才や犯罪者の身体的特徴、行動、骨格、筋肉、の観察、研究。やっていることは狂気の研究。しかし、どこか科学的。フェデリコもまた、どうすれば名馬を作れるのか、という事を考えたゆえに、名馬を購入するのではなく、名馬を作ろうと思い、ドルメロ牧場を開設。そして、フェデリコは恩師フランチェスコ・デンツァから「観察」することの大切さを学んでいる。

 

フェデリコの六十年以上にわたる観察→思考→実践→結果→観察…の繰り返し。フェデリコは馬を、初歩的とはいえ動物学、生物学の観点から観察。そして、おそらくは何頭かは解剖していると思う。どういう身体つき、筋肉がつけば良いのか、内臓の形、心臓の大きさ、頭の形、毛色。(そういえば芦毛は嫌いだったそうですね)どういうトレーニングをすれば、効率が良いのか、故障しにくいのか。おそらく同時代にそこまで「馬」という生き物を知ろうとした人は少なかったのでしょう。今は、それは誰もがやっていることでしょうし、もっと複雑な要素がサラブレッドの能力に影響を及ぼしていますよね。

 

でも。昔の人は経験でそれが分かっていたという話は良く聞きます。フェデリコも、膨大な実験と観察の経験で、どうすれば自分にとって、一番良い結果になるのか、を一生涯かけて考えたのでしょう。それは疑似科学だったのかもしれないし、まだ人類が到達していない真理に到達していたのかもしれない。

 

このロンブローゾの犯罪人類学から、犯罪心理学やモンテッソーリ教育のきっかけになったり、大正時代の日本にやってきて、小栗 虫太郎や江戸川乱歩に影響を与えて、黄金バットのナゾーの声になったというのは、また別の話。

 

日本語訳の本を探したのですが、内容が内容なだけにさすがに現代に出版するのは難しそう。でも、kindleで見つけました^^ (寺田精一訳、ロンブローゾ犯罪人論 1911)但、冒頭で寺田は、ロンブローゾの著作を参考に、そのご令嬢から助言をもらいながら、まとめを翻訳したものだそうです。だから、随所に自分の考えも入れながら、その体系を変えることないように努めたようです。

 

 

トリノ大学にあるロンブローゾの犯罪博物館

知っていたら行っていましたよ。今度行きたい。

https://www.museolombroso.unito.it/il-museo-lombroso-a-360-gradi/

 

google booksより

i torinesi(トリノの人たち)

https://books.google.co.jp/books?id=h9nbCgAAQBAJ&lpg=PT220&vq=tesio&lr&hl=ja&pg=PP1#v=onepage&q=%20lombroso&f=false

トリノ出身の有名人がたくさん載っていて、面白い。

表紙はもちろんジャンニ・アニエリ(^^

 

Byterfly

http://www.byterfly.eu/islandora/search/La%20Stampa%20Sportiva?type=dismax&mm=5&islandora_solr_search_navigation=0

最近見つけた、昔(1900年代初頭)のLa stampa Sporitivaが読める神サイト。

レンブラントのイタリア・ダービー観戦記とかもあるけど、何より自動車レース(フェラーリどころか、アルファロメオもまだ。イソッタとかの時代。ドライバーもアルベルト・アスカリのお父さん、アントニオの時代)や自転車レース(もうビアンキやピレリは有名!もちろんコッピ以前、アルフレッド・ビンダ、ジョバンニ・ブルネロの時代)の話題も豊富で、今じゃ紙面の半分以上のカルチョが、わずかにあって、それがまたそそるそそるw(ユベントス、ACミラン草創期、ジェノア最強時代)

 

 

イタリア。

トリノ。

どうか、みなさんお元気に。

がんばって。

Forza Italia!