破壊的イノベーターになるには 2 | 芸能の世界とマネジメント

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ところで、大きなタイトルをつけておりますが、破壊的イノベーションの理論通りに戦略を立案したとしても、HBRの2015年12月号のクリステンセン共著の論文によると、ディスクドライブ産業においての成功率はわずか6%にすぎないと報告されておりました。このような状況ですからここで私が戦略を立案したとしても、失敗する確率の方がはるかに高いということを念頭に読んでいただくことをお勧めします。

破壊的イノベーターになるには二つの方法があります。これは前回にも説明しましたが、一つはローエンド市場を狙う、もう一つは新市場を作ることです。これらの理論的な詳細は私が解説しておりますので、下記リンクよりご覧ください。


①ローエンド市場を狙う

http://ameblo.jp/prof-tanaka/entry-12163312111.h

②新市場を作る

http://ameblo.jp/prof-tanaka/entry-12163576193.h


まずはローエンド市場の件から見ていきますが、上記の解説からもお分かりのように、ローエンドとは価格のことで、そして市場への新規参入者という二つの条件を備えていなければなりません。上記の解説では回転寿司店を例に解説しておりますが、寿司は昔から日本にあります。これを価格面で既存の寿司店を排除し、さらに回転寿司店は伝統的な寿司店と同じくらいの品質の寿司を提供するようになり、これが致命傷となり、伝統的な寿司店の市場を奪っていくようになりました。

さて、このローエンド市場を狙う戦略はLinQに適合するかについてですけど、これは明らかに「No」です。まず、アイドル市場に参入してから5年が経過しており、さらにメジャーデビューまでしていることから、「新規参入」ではまとめることができません。以上のことから、この戦略を狙うことはそもそも不可能となります。

この理論を無理やりLinQに当てはめてみると、踊りはそのままに、劇場への入場料や物販でのグッズの価格を今の1/3の価格にしてみましょうということになります。1/3については根拠はないですが、要は、価格を下げて集客しようというものですが、いまさら価格を下げたところでどうにもなりません。例えば、寿司を知らない日本人はほとんどいないわけで、それも伝統的な寿司は「高価格」であることを日本人は教えられることなく知っております。その寿司が安く食べることができるとなると、おのずと需要が伸び食用率も上がります。このように、この戦略は価格が安い分、規模の経済を狙ったものでなければならず、さらに寿司と同様の認知度が備わっていなければなりません。企業は新規参入かもしれませんが、寿司自体は古くからある歴史と認知度のある食べ物です。これらの部分を突いていくのがこの「ローエンド市場を狙う」となります。

破壊的イノベーターになるには簡単なようで難しいですね。また、理論の通り戦略の立論と行動をとったとしても成功率はかなり低いです。さらには組織との関連において、立案した戦略についての認知度や浸透度(これらについては「情報の粘着性」といわれておりますが)も影響してきますので、どのように歯車を合わせていくかが重要となります。残るは「新市場を作る」ですけど、パールジャムはこの戦略です。とりわけブート市場ですけど、それまで「公式ブートレグ市場」は存在しませんでした。ただし、「ブートレグ市場」は存在しておりました。そこに「公式」という冠をつけ、それが「新市場」となりました。どうです皆様方、こう考えるとアメリカンドリームも夢の話ではないような気がしませんか?

今回はこれにて筆をおくことにします。皆様方はこれまでの理論にそって各人各様のLinQについての「破壊的イノベーション」について考えていただければ幸いです。いいアイディアが浮かんだあなたは「破壊的イノベーター」としてふさわしいと思います。あとは自信をもって行動に移し、成功すれば真の「破壊的イノベーター」となれます。ご高覧、ありがとうございました。