生花を飾り付けるフラワーアレンジメントが、
アルツハイマー病など脳の病気のリハビリ効果を高める。


独立行政法人・花き研究所(茨城県つくば市)の
望月寛子研究員らのグループがこんな可能性を突き止め、
このほど特許を申請した。
脳障害を持つ人の心を癒やすことも確認され、
望月さんは
「バランスに気を配りながら花を挿すことが、
脳を活性化させるのでは。
さらに新しい活用法や効果を実証したい」と意気込む。


望月さんは神経科学と心理学が専門で、
別の施設で記憶障害のリハビリを研究していたが、
花き研の研究内容に興味があったため移り、
花を使ったリハビリを考案した。


障害者は指導者の説明を受けて、
スポンジに付けられた丸や
三角などの印に従って順番に切り花を挿したり、
工程図を頼りに独力で作品を完成させる。
精神科デイケアに通う10~50代の
統合失調症患者約10人を対象に2週間で4回、
この手法を実施したところ、
聴覚と視覚の短期記憶の成績が大きく向上した。


茨城県美浦(みほ)村のケアステーション・コナンでは、
10月から高次脳機能障害のある
通所者18人にこのリハビリを始めた。
望月さんの指導で、
赤いカーネーションとピンクの菊の切り花、
濃い緑と薄い緑の葉を順番に挿すと、
普段は表情を示さない患者が笑顔を見せた。
望月さんは
「通常のリハビリでは、
無気力感や絶望感を抱くこともあるが、
この手法では楽しい、
うれしいといった気持ちを呼び起こすようだ」と話している。