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民族としての「ユダヤ人」に、あえてこだわる為に、いったいユダヤ人とは何か?、ヘブライ人とイスラエル人とどう違うのかを考えてみたい。
◆ヘブライ人の意味
紀元前2000年頃、メソポタミア地方に「古代バビロニア帝国」という国があった。メソポタミアとは、二つの河に挟まれたという意味で、チグリス、ユーフラテス河の間にあった。
なかでも「ウル」は「シュメール」にまで遡るほど古く、非常な繁栄を誇っていた。ここに「アブラム」という名の男がおり、後に神の勅令を受け「アブラハム」と名乗ることになる。
彼らの一族は、みな遊牧民で、羊や山羊などの家畜を飼い、牧草を求めて平原をさまよい歩いて生活していたため、人々は、彼らのことを「さまよえる人」という意味で「ヘブライ人」と呼んでいた。
「旧約聖書」の「創世記」によれば、ヘブライ人は「アブラハム」から、のちの「イスラエル人」、「ユダヤ人」そして「アラブ人」が生まれることになる。そのため、アブラハムはユダヤ人とアラブ人両方から、「太祖」と呼ばれている。実際、外見上、アラブ人とスファラデイー系ユダヤ人は見分けがつかないほどである。
ここがポイントのひとつとなる。
アブラハムはヘブライ人であったが、ユダヤ人でもアラブ人でもなく、アブラハムは、ユダヤ人とアラブ人の「太祖」なのだと言うことである。
◆イスラエル人のルーツ
太祖アブラハムには「イシマエル」と「イサク」という子供がいた。アブラハムとエジプト人との間に、生まれた「イシマエル」から後の「アラブ人」が誕生する。イスラム教の正統性はここにある。
「旧約聖書」によると、神の預言者の系譜は、アブラハムから「イサク」へ受け継がれ、その後、「イサク」から、子供の「ヤコブ」へと受け継がれる。
ある夜、預言者「ヤコブ」は「神の御使い」に出会い、ひょんなことから、「神の御使い」と格闘するはめになり、夜明けの直前に「神の御使い」は降参し、ヤコブを祝福した。
「お前の名前はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。おまえは神と人と闘って勝ったからだ」・・・・「創世記」第32章29節
以後、ヤコブは「イスラエル」と名乗り、彼の子孫はみな「イスラエル人」と称した。現在の「イスラエル国」も名前のルーツもここからきている。
このイスラエルに12人の息子がいた。
「ルベン」・「シメオン」・「ルビ」・「ユダ」・「イッサカル」・「ゼブルン」
「ヨセフ」・「ベニヤミン」・「ダン」・「ナフタリ」・「ガド」・「アシェル」
彼らの子孫から、いわゆる「イスラエルの12支族」が誕生する。
ただし、イスラエルの12士族の数え方は2種類ある。
①12人の息子の名前をそのまま士族として数える方法
②「レビ族」を祭祀専門の士族として別格に扱い、神の神聖な儀式を行う人々として独立させ、「ヨセフ」の二人の息子「マナセ」「エフライム」を独立させ、其々の支族が独自の士族を形成する。
「ルベン族」・「シメオン族」、「ユダ族」・「イッサカル族」・「ゼブルン族」・「エフライム族」
「マナセ族」・「ベニヤミン族」・「ダン族」・「ナフタリ族」・「ガド族」・「アシェル族」
この②が、現在ではイスラエルの12士族の数え方として、一般的である