器(うつわ)を磨け、腹を決めろ | ごく普通の日本人が出逢った外資系企業の世界

ごく普通の日本人が出逢った外資系企業の世界

外資系の世界・ビジネスの世界で感じたことを書き溜めています。
ただいま2回目のシンガポール生活を家族4人で満喫中!!書籍も好評発売中!!



私の会社の日本支社長を務めている日本人の方が、この度、アジア支社長に就任することになりました。これまでは欧米人が務めていたポジションです。日本人としてはもちろん、アジア人としても初めてということで、勝手ながら非常に誇らしく思っています。

彼がいつも日本の組織に対して言ってきたことは、「器(うつわ)を磨け」、そして「腹を決めろ」ということ。

外資系に長く勤めていると、リーダーシップ・オーナーシップ・コミュニケーションスキル・マネジメントスキル・問題解決能力などということを、詳細な定義とともに叩き込まれます。きっちり定義する必要があるのは、多文化企業の中で世界共通の基準と方向性を保つ必要があるからです。

一方で、「器を磨け」「腹を決めろ」というのはいかにも日本的です。定義があいまいで、たとえ英語に直したとしても本当に意味するところは伝わらないのかもしれません。

しかしだからこそ奥深く、物事の真理に通じるものがあるのだと思います。さまざまな艱難辛苦を経て初めて搾り出されてくる想いであり、それはまた、人によって違う想いを抱かせるものではないでしょうか。



「人の器」ということに関して最近思うこと。それは人は無意識に自分の「器」を通して物事を見ているのではないかということです。

昔はちょっと尖った所のある同僚を見て、なんだか苦手だなぁと思うことがありました。何で自分をそんなに誇示したがるんだろう、とか、どうしてあそこまで自信満々なんだろう、とか。でも、そうやって尖っている様に見えた彼らの多くは、きっちりと目を見張るような結果を出し、年を経て大きく成長していきます。

今思うと、当時の自分の器に入りきらない所を持った彼らを、勝手に、そして簡単に、「尖っている」とか何とかに分類して、分かったような気になっていただけのような気がします。

「器を磨く」ために出来ることは人それぞれたくさんあると思います。私の場合は、まずは自分の器の小ささを自覚して、でも器っていうものはどこまでも広げていけるのだという確信を持って、率直に学ぶ態度を忘れずにいろんな人たちに接していけたらと思っています。そうすることで少しずつ自分の幅(= 器)が広がっていって、もっといろんな新しいものが見えてくるのではないかと思います。



「器を磨け」「腹を決めろ」

彼がアジアのビジネスを率いる中で、この2つをどうやって組織に浸透させていくのか。楽しみに注目させていただきたいと思います。



トラコミュ:ビジネスブログ / ビジネスに効く一冊 / ビジネス実践録