横浜市内には、坂の多い港町らしく,、丘の上だったり海のそばだったり…それぞれの町の個性を持つ図書館が各区に1館ずつ全18館あります。中でも横浜市中央図書館はそのセンター機能を持つ図書館として多くの市民に利用されています。(詳しくはその1 をどうそ。)
横浜市中央図書館その2では、図書館からの散策におすすめの寄り道スポット野毛三山と東福寺をご紹介します。館長さん、司書さんからのメッセージもあります。図書館をまちごと丸ごと楽しんでみませんか。
寄り道さんぽ 図書館とまち歩き
横浜市中央図書館のある横浜市西区野毛山は、安政6年(1859年)6月、開港場作りのために切通しが設けられ、この切通の上の高台に神奈川奉行所が置かれるなど、横浜の開港によって発展した歴史ある町です。
切通しは横浜道と呼ばれていました。
野毛三山 ―野毛山、伊勢山、掃部山―
横浜市西区は、今や横浜駅やみなとみらい地区(一部は中区)など、横浜の入口であり人気の観光スポットを擁する町ですが、少し中に入れば、起伏に飛んだ散策を楽しめる町でもあります。
横浜市中央図書館の先に広がる野毛山公園、野毛坂と交差する横浜道と呼ばれた切通しを進めば伊勢山や掃部山へ。野毛三山といわれるそんな小さな山への寄り道も楽しいですよ。
●野毛山公園 ①
大正15年(1926年)にオープンした野毛山公園は、生糸貿易の豪商原家、茂木家の邸宅跡地。約9万坪の敷地内には、日本庭園や野毛山動物園があり、桜の名所としても有名。街中ながら、長閑さ漂う憩いの場所。入園無料の野毛山動物園は、古くから横浜市民に愛されています。
●伊勢山皇大神宮 ②
天照大御神を御祭神とする横浜の総鎮守。「関東のお伊勢さま」として親しまれています。
明治維新後、明治5年(1872年)横浜に鉄道駅とガス会社ができ、神奈川奉行は役目を終えます。そして明治3年(1870年)、ほぼ時を同じくして野毛の高台に伊勢山皇大神宮が築かれました。このときから、野毛の切通の東側が伊勢山と呼ばれるようになりました。
伊勢山皇大神宮表参道すぐそばに建つ真新しい建物は横浜市民ギャラリー。昭和39年(1964年)に横浜市中区桜木町に市民に美術文化の創造と普及の場を提供する目的で横浜市政初の文化施設として、また全国初の市民ギャラリーとして開設されました。その後昭和49年(1974年) にはJR線関内駅近くに移転し、平成26年(2014年)10月にこの場所で再オープン。様々な市民グループの展示が行われているほか、講座もあれこれ行われています。
●掃部山公園 ④
伊勢山皇大神宮から紅葉坂へ出て向かいが神奈川県立青少年センター。神奈川奉行所跡であるこの場所には、県立図書館や県立音楽堂などの文化施設もあります。その奥が掃部山公園です。紅葉坂は有島武郎「或る女」にも登場します。
江戸時代には不動山、明治期には鉄道建設の拠点として鉄道山とも称されたこの山は、明治17年(1884年)、旧彦根藩の有志たちによって元藩主の井伊直弼の横浜開港の功績を称え記念碑建設計画に伴い掃部山と改称。大正3年(1914年)横浜市に寄贈され掃部山公園となりました。
敷地内には、平成8年(1996年)横浜能楽堂がオープン。静かな文化施設の集まる一角となっています。
お天気の日は遠く富士山も望めます。
光明山遍照院東福寺(高野山真言宗、本山高野山金剛峰寺)は、朱塗りの山門から赤門の名で知られる仁王門が立派なお寺。伊藤博文が横浜に来ると必ず顔を出したという料亭富貴桜の女将斉藤クラや作家長谷川伸一族などの墓があります。
東福寺から日ノ出町駅に向かって静かな裏通りを歩いていると、呉服屋さんだった建物をリノベーションしたというパティスリーStrasbourgeoise ストラスブルジョアさんがあります。横浜市中央図書館まわりをぐるりと散策したあとに美味しいケーキはいかが?お土産に買って帰るもよし、イートインコーナーもありますのでホッと一休みもおすすめです.。
10:30開店 19:00閉店 (定休日 火曜日 第1・第3月曜日)
ホームページ:http://stras.frenchkiss.jp/
ご紹介したスポットすべてを歩いても2時間半ほど。のんびりカメラ片手に歩くのも楽しそうです。
また、ご紹介した場所のほか、ちょっと足を延ばせば野毛や伊勢佐木町の繁華街、みなとみらいへも歩いて
行かれます。図書館で下調べをしてからまちを歩く。
ぜひ楽しんでみてくださいね。
横浜市中央図書館の人たち
山口隆史館長からのメッセージ
図書館を知っている人は人生の達人
千葉県船橋市の出身です。横浜市南区長を経て昨年館長に就任しました。家内は横浜の人間で、この図書館へは子どもの頃からよく通っていたらしく、私が館長になったとき、とても喜んでくれましたね。
横浜市では平成26年(2014年)に横浜市民読書活動推進計画を策定しました。子どもから大人まで市民が読書を楽しみ、心豊かな生活を送ることができるよう推進する計画です。図書館はこれまで市民施設とのつながりが少なかったのですが、この計画により区役所との連携の中でつながり始めています。
わたし自身、引っ越しを機会に自宅の本の断捨離をしました。幸いこうして毎日図書館に通ってきていますので、調べものから趣味の本までフルに利用していますね。図書館には専門知識をもつ司書がいます。レファレンスを利用して、調べものや興味のあることについてどんどん聞いてみてください。私は図書館を知っている人は人生の達人だと思います。
来たことない人にもぜひ図書館に足を運んでいただきたいので、所蔵資料を活用した企画展示や専門家を招いての講座なども行っています。ぜひ横浜市中央図書館のメルマガ、図書館のHP、横浜市の広報紙などもをチェックしてみてください。
司書のみなさん
今回の取材に全面的にご協力いただいた司書のみなさん。
伊藤恵理さん
「いつも気になっていたんです」とはストラスブルジョアさんのこと。営業時間前に通勤で通ることもあったそう。仕事帰りにぜひ寄ってみてくださいね。
琴寄紀子さん
連絡車の写真や選定会の写真など、さまざまお世話になりました。連絡車の写真、何百枚と撮ってくださっていたとか…。全部ご紹介できないのが残念なくらいです。
高橋宏子さん
密かに好きな場所・・・といって案内してくれた場所が右上の写真の場所。小学生の図書館見学でも人気の地下3階から5階まで続く非常階段!図書館の奥まで案内していただきました。
EDITORIAL NOTE
あれもこれもと知りたいことだらけで、何度も職員のみなさんのお仕事中にお邪魔して館内を案内していただきました。そして一番思ったことは本当にたくさんの人の手を経て本が保管され提供されているのだということです。
現在進められている横浜市民読書活動推進計画により、図書館の本を借りたり返したりできる施設も増えてきていますし、学校図書館の充実も図られています。
図書館の大きな本棚の前、ふと目にとまった一冊の本との出会いが、人生をかえるきっかけになるかもしれません。町の人だれにでも開かれている知識と楽しみの入口である図書館。横浜市中央図書館では所蔵する貴重な資料を使った様々な企画展も行われています。まちなかで本に出会い、散歩も楽しむ、そんな時間を楽しめそうです。
【参考文献】
書名をクリックすると横浜市立図書館での所蔵が見られます。
『ものがたり西区の今昔』 昭和48年 西区観光協会
『横浜西区史 区制50周年記念』 平成7年 横浜西区史編集委員会
1989年 横浜市西区区政推進課 企画・編集
『大人の街歩き 横浜』 2010年 成美堂出版
*******************************************
横浜市中央図書館
利用案内
開館時間
火曜日~金曜日:午前9時30分~午後8時30分
土曜日・日曜日・月曜日・祝(休)日、12月28日:午前9時30分~午後5時
1月4日:正午~午後5時
休館日
施設点検日(月1回)
年末年始(12月29日~1月3日)
臨時休館日
特別整理日
アクセス
住所:〒220-0032横浜市西区老松町1地図
電話::045-262-0050
ホームページ:http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/chiiki/central/
取材協力/画像・資料提供_横浜市中央図書館 取材_ 安木由美子