大倉集古館(ホテルオークラの創業家のコレクションを展示しているプライベート美術館)


で12月19日まで開かれていたマイセンの展覧会。


見事な人形やティーセットなどが展示され、あれにもこれにもみとれてしまいました。


このマイセン窯の成立ちは、東洋の焼き物、とくに白磁の白さに強い憧れを抱いた


ザクセン侯国のアウグスト強王が、錬金術師ベトガーを古城アルブレヒトに幽閉し、


命じられたベトガーがヨーロッパで初めて磁器を完成させたことに始まります。


その後アウグスト強王の強い庇護と徹底した秘密主義のもと、マイセンは


東洋の模倣から徐々に西洋的なものに変化を遂げ、揺るぎない地位を確立しました。


何でも初めは真似なんですね。


新しいことはわからない。


わからないから、真似してみる。


徹底的にまねしてみる。


そうしているうちに真似がまねでなくなり、


いつの間にか自分のものとして応用ができるようになってくる。


まさに「守破離」。


時代、言葉や国は違っても、基本は変わらないのですね。


久しぶりに絶品に出会いました。


バンダイク デメララ ラム 1986年 というラム酒です。


ラム酒はサトウキビから作るスピリッツで、澱はたいていありませんが、


このバンダイク デメララはなんとおりが沈んでいました。


ブランデーグラスで飲むと、時間を置いたときに香りがグラスの中で


立ち上って篭り、濃厚でしかも甘ったるくない香りを楽しむ事が出来ます。


この香りをかいでいるだけで死んでもいいと思えるほどの幸福感。


葉巻とのマリアージュは最高。


葉巻を吸った事がない人も、この組み合わせで楽しむと虜になるのではないでしょうか。



葉巻を試してみたいというときのお相手としてお勧めです。

貸金庫に入れるもの、といえば


「株券」 「登記書」 「現金」 あたりがメジャーどころでしょうが、


「陶器の人形」なんかも入れちゃうんですね。



「マイセン幻影」という古い映画をビデオで見ました。


子供のころにおばあさんのコレクションのマイセン人形に魅了された


ユダヤ人のウッツ男爵という実在人物をモデルにした映画です。


ラストの衝撃的な場面はフィクションだそうですが、


全編コレクターならおもわずうなずいてしまう場面がちりばめられています。


途中男爵がアートディーラーに勧められて買ったマイセン以外の陶器の人形を


スイスの銀行の貸金庫に入れる場面があります。


そんなところに入れちゃって、かわいそうにと思いながら見ていると、


男爵もそれは忍びなく、「あそこは鉄の墓場だ」とか言うセリフとともに家に持って帰ってきます。


大切なものだから大事にしまっておきたい気持ちと、


大好きなものだから手元に置いて愛でたいという気持ち、


その二つがよくあらわれている印象的な場面でした。


ラストの場面も、あぁぁぁ~と思ってしまう一方、とても理解できる気持ちでもありました。



何かを集めている人にはぜひ見ていただきたいなと思います。