(2)狛犬 (こまいぬ)


神社の参道を挟んで、両側に据えられているのが、狛犬(こまいぬ)です。


江戸時代の百科事典と言われる寺島良安の「和漢三才図会」には、「狛犬は、社頭拝殿の両傍にうずくまった形の牡牝(おすめす)の犬」と記載されていました。


「狛犬」は、高麗犬とも書き、原型はオリエント・インドのライオン像。それが、中国・朝鮮を経由して、日本に伝えられたと言われています。


もとは宮中で魔除けに用いられていましたが、神域を守るという目的で、寺院や神社にも置かれるようになったそうです。


左右2匹で一対、総称して狛犬と呼んでいますが、左側の口を開いている方が「獅子」、右側の口を閉じた方が「狛犬」なのだそうです。この「阿吽(あうん)」と呼ばれる左右の形式が一般的です。


「阿吽(あうん)」は、サンスクリット語(梵語)からきたもので、母音の始めの音「a」と終わりの音「hum」のこと。阿は口を開き、吽は口を閉じて発音する。「物事の始めと終わり」、あるいは「陰と陽を指し示す」と解釈されています。


どの狛犬にもたてがみがありますから、その原型はライオンなのだろうと想像できますが、昔は、日本にはいなかった動物ですから、さまざまなイメージが付け加えられたために、地域によって、いろいろな姿になっているようです。どうしても姿が犬に近づいていくので、強さを感じさせるように角をつけた狛犬も登場しました。


狛犬は、ライオン(獅子)なのか、犬なのかという議論もあるようですが、東京の神田明神の狛犬は、秋田犬をモチーフにしたと言われているだけに、完全に犬の姿をしています。


神田明神の狛犬


出光美術館所蔵 「色絵狛犬」

伊万里・柿右衛門様式 江戸時代前期


色絵狛犬