●犬に与えると中毒症状を起こす食べもの


ネギ類(長ネギ、タマネギ、ニラ、ショウガ、ワケギ、ラッキョウ、アサツキ)


ネギ類に含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という物質が赤血球を破壊する。血尿がでるようになり、さらに進むと「ネギ中毒」と呼ばれる溶血性貧血の症状が現れる。貧血になると、歯茎の色が白っぽくなる。(健康な状態はピンク色)


アリルプロピルジスルフィドは加熱しても作用が変わらないので、ネギを使った料理、ハンバーグ、チャーハン、餃子、市販のサンドイッチ、牛丼、カツ丼、親子丼、すき焼き、コロッケ、ラーメンなどを食べさせない。


ニンニクでは、溶血性貧血を引き起こすことはない。免疫力を強化するなどの効果があり、サブリメントの成分にもなっているが、多量に食べさせてはいけない。


卵白(生卵の白身)


×生卵の白身に含まれているアビジンという成分が、ビオチンの吸収をじゃまするため、ビオチン欠乏症になる。(皮膚炎、疲労、結膜炎などを引き起こす)卵白には脂肪分がないので、ダイエット時には良いタンパク源になる。必ず加熱して与える。

◎卵黄にはビオチンがたっぷり含まれている。

◎卵はビタミン以外の全ての栄養素を含んでいる。

チョコレート(デオブロミン、カフェイン)


チョコレートには、犬が中毒症状を起こす成分が含まれている。原料のカカオ豆の成分デオプロミンを多量に摂取すると、嘔吐や下痢、発熱、興奮、不安、不整脈や痙攣などの症状が出る。尿失禁やてんかんのような発作を起こすこともある。


含有量が多い順(ココア、製菓用チョコレート、セミスウィートチョコレート、ミルクチョコレート)

製菓用チョコレートを例にとると、中毒は体重1kgあたり90~100mg以上のデオブロミンを摂取すると起こる。体重11kgの犬が、約90gのチョコレートを食べてしまうと、中毒になる計算。

致死量は、50mg~250mg/kgとされている。


商品             デオブロミン量

L社ミルクチョコレート    240mg/100g

M社ミルクチョコレート    280mg/100g

M社ビター系チョコレート  570mg/100g

L社ビター系チョコレート   620mg/100g 


チョコレートには、大量に摂取すると中毒症状を起こす「カフェイン」も含まれている。

チョコレートは犬が口にしないような場所にしまっておく。アメリカではチョコレートを多く食べる祭日などに犬のチョコレート中毒の発生が多い。


干しブドウ、ブドウ


干しブドウやブドウによる犬の中毒症状は、食後2~3時間後に起きる嘔吐や下痢から始まる。元気がなくなり、食欲も落ちて、腹痛や高カルシウム血症などが見られる。


これらの症状は、急性の腎機能障害によるもので、48時間以内に急激に悪化する。手遅れになると死に至ることもある。


ブドウに含まれる成分で、酸味成分の酒石酸あるいは他のなんらかの成分が犬の腎臓にダメージを与えるのではないかと言われているが、はっきりとしたことはわかっていない。


ブドウそのものよりも干ブドウ=レーズンの方が危険性が高いので、皮に含まれる成分や農薬、菌類、重金属などが原因ではないかという説もある。


中毒になる量は、犬の体重1kg当りで生のブドウ32g、レーズンで11~30gと報告されている。


治療法としては、催吐処置、胃洗浄、活性炭の投与、点滴、利尿剤の投与など。尿がまったく出なくなる末期の腎不全にまで至ると、治療は困難と言われる。