アメリカン・ギャングスター/American Gangster
監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キューバ・グッディングJr、ジョシュ・ブローリン
あらすじ:
フランク・ルーカス(ワシントン)は、ベトナム戦争に乗じて東南アジアから麻薬を直輸入する方法を実現。安くて高純度のヘロインを「ブルー・マジック」として売りさばき、ニューヨークのハーレムを牛耳っていた。同僚を麻薬がらみの事件で失ったニュージャージーの刑事リッチー・ロバーツ(クロウ)は、妻との離婚裁判に苦しむかたわら麻薬の黒幕探しに心血を注いでいた。ロバーツはやがて黒幕ルーカスの組織へと近づくが、地元ニューヨークの警官はルーカスに買収されていて捜査が行き詰る・・・。
『ブレードランナー(1982)』でお馴染みリドリー・スコット監督に、デンゼル・ワシントン(『トレーニング・デイ(2001)』)、ラッセル・クロウ(『グラディエーター(2000)』)2大オスカー男優の競演。これで外したら、製作ブライアン・グレイザーは赤っ恥だ。
しかし全米評論家の間ではおおむね高評価。興行成績も11月2日公開の週末全米1位を獲得。今年度アカデミー賞最有力候補作品として、大きな注目を集めている。
主人公のフランク・ルーカスは実在の人物。1930年生まれ。1970年ごろ東南アジアから麻薬を直輸入。中間マージンがないため、高純度のヘロインを格安で売り大もうけした伝説のギャングだ。
1975年逮捕され、翌年懲役70年の判決を受けるが、その後警察の麻薬捜査に協力して1981年に釈放される。1984年に再び麻薬がらみで逮捕。1991年に釈放され、今も生きている。
そんなルーカスをデンゼル・ワシントンが演じれば、ただの悪役には終わらない。ルーカスは人殺しもする筋金入りの犯罪者だが、一介の黒人がマフィア、汚職刑事といったその他の悪者を知性で抑え込むところに痛快さがある。
一方ラッセル・クロウ演じる刑事ロバーツも、ただの正義の味方ではない。私生活は乱れていて、妻と子供の養育をめぐり離婚裁判で争っている。ただ、汚いお金には手を出さない高潔さを持っている。
とまあ、複雑な人間像を二人のオスカー男優が演じる面白さが、この映画最大の見所だ。安易な善悪の対決に陥らない、それでいて悪を懲らしめる痛快さが損なわれていない絶妙なバランスのとれた作品である。
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