究極のシミュレーション!? 一度体験してみませんか。 | 迷える子羊のための美容整形教室

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勇気を出して美容外科治療を決意されたあなたが、その理想に遠回りしないで確実に近づけるために・・・

私が勤めるヴェリテクリニックの大きな特徴の一つは、他院の修正手術が多いことです。

その日カウンセリングにいらっしゃる方の半数以上が、修正のご相談ということも珍しくありません。

修正にもいろいろあって、気の毒になるくらい不自然になっている方もいらっしゃれば、特に不自然という訳では無くても、以前の手術の結果に物足りなさを感じていて、もっと大きな変化を望んでいらっしゃる方もいます。


物足りなくてもっと・・・ という方の治療には、それほど困ることはありません。


もちろん、ある程度限界があるのは事実ですが、より良くなるために何かしらの治療をさせていただけると思います。


修正手術で一番厄介なのは、やりすぎてしまっている状態を戻したいというケースです。


やりすぎてしまっているといっても、単にシリコンプロテーゼで鼻が高すぎているくらいだったらそれほど問題はありません。

今入っているプロテーゼを抜去して、それより小さいものに入れ替えるだけで済みます。


こういった、何かを入れてサイズや形を変える治療の後の修正は、それほど難しくありません。


例えば、鼻先を前や下に伸ばす鼻中隔延長という手術は、自家軟骨を鼻先に移植する治療で、かなり手間のかかる高度な手術ですが、気に入らなければほぼ元通りに戻すことも可能です。


骨セメントを用いた額形成なども、多少手間と時間はかかりますが、修正可能です。


何かを入れる治療で意外とシビアなのが、フィラー治療(注入療法)です。

フィラー治療とは、ヒアルロン酸などを注射で注入して形状を変える治療です。

注射だけで治療が終わるもっとも簡単な美容外科治療のひとつですが、これがちょっと曲者です。


以前のブログで、フィラーは吸収されるものが良いとお話ししましたが、吸収されないフィラーを注入して希望していない形になってしまうと、シリコンなどの固形物と違って、取り除くのが非常に困難です。

形だけの問題ならまだしも、アレルギー反応を起こしてしまうと、一生これに苦しめられることにもなりかねません。

30年以上前に顔や手に注入されたシリコンジェルのアレルギーで、いまだに苦しんでいる患者もいます。

最近でも、海外美容ツアーなどで得体のしれないフィラーを注入されて、取り除けずに困っている方が結構いらっしゃいます。



目の周囲の手術もやりすぎてしまうと少し厄介です。


たとえば、目頭切開で目頭が開きすぎてしまった場合、蒙古ひだ形成という蒙古ひだを作る手術を行います。

ただし、完全に元のレベルまで戻る訳ではありません。

特に、内田法などの皮膚切除を伴う手術の後の修正では、半分も戻りません。

ただし全く歯が立たない訳ではなく、最近は下まぶたの皮膚を利用する手術でさらに大きく戻すことが出来るようになりました。(手間と時間はかかります。)



もうひとつ目で厄介なのは、全切開などの切る二重の手術で幅を広げすぎているケースです。

以前は「一度切開法で広くしすぎてしまった二重は狭くできない。」と言われることもありました。(最近でも、そうおっしゃるドクターがいるようです。)

ただしこれも、手間はかかりますが、脂肪移植などを組み合わせることで、最近は結構きれいに戻すことが出来るようになりました。



サイズを小さくするタイプの手術のやりすぎの修正には、非常に困難なケースが多く存在します。

サイズを小さくする手術とは、たとえば骨切りのような小顔手術や脂肪吸引などの痩身治療です。

小さくするということは、元々そこにあったものをとってしまっている(減らしてしまっている)ということなので、当然、簡単に元通りにという訳にはいきません。

例えば、脂肪吸引で脂肪を取りすぎてしまった後の凹みや癒着、でこぼこは修正が非常に困難です。


また、エラなどの骨を削りすぎてしまった後の修正も大変です。


ただし、こういった修正も技術の進歩により、以前に比べればかなり対応できるようになりました。


例えば、脂肪吸引後のでこぼこや凹みに対しては、超音波を用いた吸引(ベイザー脂肪吸引)や、定着率の高い脂肪注入(コンデンスリッチファット注入)などを用いて、かなりきれいに修正できるようになりました。




骨の削りすぎに対しても、事情が変わってきました。

以前はフィラーやシリコンプロテーゼによる修正くらいしかできず、自然な形状という意味では限界がありました。

それが、最近では3DCTのデータから3Dプリンタで骨格モデルを製作することで、削りすぎてへこんでいる部分にぴったり合う形状の骨セメント(骨の代わりになる材料)を作り、骨の自然な形態を再生することができるようになりました。


そういう訳で、こういった「小さくするタイプのやりすぎ症例」についても、以前に比べれば、取り返しのつかないケースは減っていて、何かしらの修正手術を行えるケースが増えています。


でも、そうでない治療も存在します。

つまり、取り返しがつかない状態ということです。


その、代表的な手術の一つが「鼻翼縮小」で小鼻を小さくしすぎてしまっているケースです。


鼻翼縮小は、基本的には小鼻の一部を切除することで小さくする治療です。(糸を入れ小鼻を寄せるだけの治療もあります。)


日本人には、小鼻が目立つことを気にする方が多くいらっしゃいます。

でも、意外と小鼻の大きさ自体に全ての原因があることは少なく、鼻柱が短いことや、アップノーズ、鼻翼の厚み、鼻翼の縦の長さ、鼻孔縁(鼻の穴のカーブ)の形態など、他に原因があることが少なくありません。


こういった方が鼻翼縮小だけを行っても、当然期待しているような効果が出ません。


効果が出ないだけならまだしも、切除しすぎると非常に不自然な形になってしまいます。


鼻翼を必要以上に切除しすぎてしまうと、鼻翼の持つ自然な丸みが無くなり、下に引っ張られたようなひきつれた小鼻になってしまいます。

鼻尖との境界も不明瞭になり、却って鼻先が大きく見えてしまうことも少なくありません。

鼻の穴も不自然なほど小さくなってしまい、中には小指も入らないほど小さくなってしまっている方もいます。


鼻に限らず言えることですが、顔は全体のバランスで成り立っているものなので、一つの治療に拘りすぎて良いことはありません。


ですから、一度に限界を超えて鼻翼縮小をするのは論外ですし、一度鼻翼縮小を行って思ったような効果が出ない場合、他の治療に目を向けるべきです。


ですが、初めての治療なのに、とにかく限界まで小さくしてほしいと希望される方は結構多くいらっしゃいますし、一度鼻翼縮小を行って期待した効果が得られない方の多くは、鼻翼を切った量が足りていないと考え、さらに鼻翼を小さくすることを希望されます。


できあがった形が気に入らない場合に手術前の状態に戻せる治療であれば、ご本人の希望どおりに手術してもいいのかもしれません。


でも、一旦切除した鼻翼は二度と戻りませんので、小さくなりすぎて不自然になっても一生そのままです。


これが、骨などの見えない部分であれば、先ほどお話ししたように、別の材料で作ることも可能ですが、小鼻のように見える部分はそういう訳にもいきません。


交通外傷などで明らかに変形や欠損した状態なら有茎皮弁なども考えられますが、こういった治療で自然な形態の小鼻を作るのには限界があります。


ですから、どんなにご本人が強く希望されても、ドクターが、それによるリスクや術後の状態を正確にお伝えして、そういう無理な手術を止めるべきなのですが、手術自体はただ切り取るだけの簡単な治療であるため、安易に引き受けてしまうドクターやクリニックがあるのも事実です。


ただし、ドクターがどんなに止めても、「どうしてもやってほしい」とねばる方もいます。

当院にいらっしゃる方の中にも、そういった方が少なくありません。

その場合は、シミュレーションなどで術後の形態をお見せして、「こんなに不自然な鼻になるよ。」とやめるよう説得を試みます。

でも、シミュレーションのバーチャルな画像ではいま一つ実感が湧かないのか、それでもあきらめない方がいらっしゃいます。


我々がお断りしても多くの場合、引き受けてくれるクリニックを捜して、結局手術を受けてしまいます。


どんなに不自然になってしまっても、ご自分が満足されていれば良いのですが、たいていの場合やった後に、「こんなはずではなかった。」と後悔されます。


手術前に、もっとリアルに術後の状態を知ることができれば、こんな不幸を避けられるかもしれません。


という訳で、最近新たに試みていることがあります。


近頃は、頬骨やエラといった顔の骨の手術をする際、3DCTで立体データを作ることで、実際の骨と全く同じ形、サイズの模型を作ります。


ヴェリテクリニックでは、骨切りや額形成といった輪郭の手術の際に、こういった立体模型を制作してくれる会社(なんとSONYの系列会社です)にお願いして、骨格模型を作っています。


より精度の高い手術をするために、非常に有効な手段です。







この技術を用いて、鼻の立体モデルを作っていただきました。

中身ではなく表面の形状のモデルです。

このモデルは、骨格模型のように硬い素材ではなく、人間の皮膚に近い弾力のシリコンでできています。

いろいろな種類のシリコンで試作して、感触や弾力が人間に最も近いものを選んだので、色こそ違いますが、触ると本当に人間の鼻の感触です。(写真では、この部分が伝わりにくくて残念です。)






どうしてこういった素材で作るかといえば、これを用いて実際と同じように手術を行いたいからです。


実際の手術と同じようにデザインし、同じメスを使って切除すると本当に術後の形態を作ることが可能です。


上の左の写真には、既に鼻翼縮小のデザインが描かれていますが、これに沿って切開したのが下の写真です。




両横に載せてあるのは、切り取った部分ですが、実際の手術で切除した鼻翼の皮膚もこんな感じです。

残った断端をつなげると手術の完成です。






今回お見せする写真はピンで固定しているだけなので形が分かりにくいのですが(すみません)、最終的にはシリコン用の接着剤でつないで本当の術後と同じ状態にできます。


まさに、究極のシミュレーション! 


そこまで言うのはちょっと大げさかもしれませんが、本当にリアルに再現できます。


「そこまでする必要があるの?」という声がどこからか聞こえてきそうですね。


でも、後戻りできない治療だけに、手術前の段階で、手術した後の状態を知ることができるのは本当に有意義であると思います。


ちなみに、鼻翼というのは立体的な構造物であり、人それぞれ大きさや形も大きく異なります。


ですから、どの部分をどの程度切除したらどういった形になるのかということを正確に予測するのは、我々ドクターでも難しく、経験を要します。


そういう意味では、このシリコン製モデルは若いドクターの手術の練習用にも役立つかもしれません。


それと、鼻翼の治療に限らず、ご自分の鼻を客観的に見て評価したいというマニア(?)の方にもお勧めです。


P.S.

鼻翼縮小は後戻りできないとお話ししましたが、不自然になってしまった鼻翼の形態を自然に見せるための治療が無いわけではありません。

特に最近は、こういった治療にも積極的に取り組んでいます。

近いうちに、鼻翼の修正についてもお話しできたらと思います。