韓国の図書館による「まどか☆マギカ」劇場版上映取消について (追加) | 李正薫のフリログ! 公式ブログ

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10月6日、韓国の仁川広域市に所在する鵲田(ザクジョン)図書館が、元々予定していた「魔法少女まどか☆マギカ劇場版」の上映を取り消し、編成担当者を処分したことが分かりました。「子どもが見るには残酷すぎる」という、複数の嘆願を反映した措置だそうです。


※上映中断を訴えた当事者の嘆願 (韓国語)

http://www.gygl.go.kr/customer/customer3_05.html?mode=view&b_idx=11020&b_code=1&GotoPage=1&sfld=&k=&b_categorySub=001004

「ネット検索の途中偶然見つかりましたけど、図書館で子供向けの映画'魔法少女まどか☆マギカ'を上映する予定だそうですが本当ですか? 主人公たちが残酷に殺されるシーン(特に首が切られる部分 - 第3話だそうです)が多いですが、子供が見るにはよくないと思います」

(この他、上記の掲示板でおよそ4件の嘆願がありました)

この騒ぎにつきましてはまだわからない部分が幾つかあります。

1) 図書館の編成担当者が、どのような経緯で当該作品の上映を立案したのか

2) 上映計画を樹立する際、間違いや不適切なことがあったのか

3)単に「子供が見るもんだから残酷なものはダメ」、ということで行われた決定なのか


上記の疑問を確認するために、こちらも図書館の掲示板に質疑の投稿をしました。

http://www.gygl.go.kr/customer/customer3_05.html?mode=view&b_idx=11140&b_code=1&GotoPage=1&sfld=&k=&b_categorySub=001004

図書館からしっかりとした事情説明がありましたら、再度お伝えいたします。

個人的には、3番の理由で上映が取り消されるということだけは避けてほしいですね。これはある意味、文化コンテンツに対した差別的な視線でもありますし、しかもそういった視線に図書館が同意するということは、なるべく全ての情報を差別なく管理すべきである、図書館としての責任意識を否定することになりますので。


(2013年10月13日 追加)

昨日、図書館から上映取り消しに関した説明の回答が届きました。その全文を訳して公開いたします。つまり、作品の年齢等級調査が最初から、ちゃんとなされていなかったことが原因のようです。

ジャケットに年齢情報を入れなかったほうが悪いか、それとも作品情報をググってみるなど、この作品が子供にふさわしいかどうか調べなかった図書館の職員さんが悪いか? 判断は皆さんにお任せいたします。

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本館で上映しました「魔法少女まどか☆マギカ」は、「15歳以上観覧可能」等級の映像物であり、当該DVDのジャケットには観覧可能年齢等級および上映時間が記載されておらず、担当者が内容を分かっていないまま上映しました。

「全年齢観覧可能」の場合、上映のお知らせには観覧可能な年齢等級を記載しなかった慣例があったため、今回も観覧可能な年齢等級が記載されておりませんでした。それによって15歳以上から観覧できる映像物が、全年齢観覧可能として誤認されてしまう恐れや、当該の映像物を配給した業者さんからも上映中止の要請がありました。一連の問題を是正するため、当該の映像物は2回上映された後、直ちに上映を中止いたしました。

1) 本館の視聴覚室にある映像物の上映および観覧基準は、大人向けや児童向けという特別な区分はございません。但し、当該映像物の観覧可能年齢等級によって告知を出して区別しています。

請願者の提起のような、無条件的な「全年齢観覧可能」というのはありませんが、図書館に親密感を持たせることや教育のため、そして図書館に接近することが難しい子供たちにもっとやさしく近づくため、なるべく「全年齢観覧可能」の上映物が主になっています。

2) 視聴覚室の映像上映は担当者による専決で処理されますが、担当者の独断的な考えや偏見によって起案することはありません。これは、映像物等級委員会が指定した観覧等級を元にして、教育用(図書館を利用することに対した親密感を高めるため)として上映しています。

「表現の自由」や「文化享有の自由」に対しては、いかなる偏見や外部からの圧力がないままで実行されています。今回の場合、「表現の自由」や「文化享有の自由」の問題ではなく、観覧等級の告知漏れによる被害を防ごうと、上映打ち切りを決定したものです。

3) この映像物を上映する担当者の指定は、人事権を持っている図書館長にその権限があります。業務分掌および担当者の交替は、内部の決定であり外部への告知義務はありません。ただ今回の場合、当該の担当者が映像物コンテンツを選定することに難しさを感じていて、その本人が交替を要望して決定された事項です。請願者が提起したような、責任を問うための交替ではありません。