不意に思い出すことたちがある。
懐かしく、温かいもの・こと。
それらから、遠く隔たってしまった。
ふてぶてしく、苛立った空気に汚染されていて、
狭い了見と、不幸な流れの中で、
束の間、雲の間の高い空が見えてくるように、
その声や匂いや柔らかな感触が、
蘇る。
そして消えていく。
消えていく回数は増えて、たぶん、
そのうち思い出すこともなくなり、
できなくなるのだろう。
そうして、もしかしたらまだ生き残っている、
暖かさが、ひそかにメッセージを送っているのかもしれない。
そのメッセージに呼応できるように。