かつて、あるいは、一度(だけ)

鋭く、「いたみ」に満ちていて、

寂しく、唯一の相手のことだけを考えて、

暗くなった知らない街を、歩いていた。

ひどく抽象的に、

エーテルに満ちていた。

例の断絶のあとからこちら側は、

せいぜいその時の注釈に過ぎない。

実際は注釈どころか、余興に過ぎない。

余興も早晩終わりを迎える。