既に人生が終わっている、
という拭い去ることのできない自分の感覚は、

花火が終わって、もう光も音もないけど、

まだ煙が空に残っていて、

体の中に響いていた重い振動が、まだ微かに続いているような、

そうした感覚に近い。

花火見物を終えて、きっと家へと帰っていく人たちに逆らって、煙の跡を辿るように進んでいく。

結局は、その煙もすぐに消えてなくなってしまう、って分かっている。
煙が消える前に、そこにたどり着けたとして、
もう花火が上がることがない、ということだって理解している。

それでも、そこへ向かわずにはいられない。
理由はまだ分からない。