弁護士事務所の選び方ー続き3 | 知らなきゃ損する!弁護士の選び方・使い方blogーLawyers Watchー

知らなきゃ損する!弁護士の選び方・使い方blogーLawyers Watchー

法律関係の職場で働いたことがある筆者が、弁護士さんから聞いた話を中心に法曹界の実情を書いていきます。法律の基本的な知識を得たり、弁護士事務所の使い方・選び方の参考にして下さい。

弁護士事務所の選び方のポイントは
・費用が適正か
・親切か
・法律の知識があるか
です。

「親切か」 に続いて、
今日は、「法律の知識があるか」について詳しく書きます。


3 法律の知識があるか
 先日の「親切か」では、弁護士の能力で裁判の結果が左右されることは無いと書きました。しかし、一見すると矛盾するようですが、法律の知識があるかも当然に重要な要素となります。
 有能である必要はありませんが、最低限の法律知識を有することは弁護士として必要ですが、今後はこの最低限の法律知識すらない弁護士が増加することが予想されるからです


 というのも、合格者の増加により、司法試験合格が比較的容易(依然として、最難関の国家資格ではありますが、過去に比べると容易となっています)になっていること、これに伴い就職難で修行を積むことなく独立する弁護士(いわゆる即独)が増えているという事情があるのです。
 十分な法的知識のないまま司法試験に下位順位で合格し、従って就職がなく(弁護士の就活では司法試験の順位等を提出させます。)、やむをえず独立した弁護士を選んでしまうと、最低限の法的知識すらなく勝てるはずの裁判にも勝てないという事態もあるのです。
 こういうゾッとするような事態を避けるためにも、最低限の法律の知識があるかどうかは十分に吟味しなくてはなりません。


 もっとも、素人からは弁護士に最低限の法律の知識があるかどうかを判定するのは容易ではありません。
 そこで、以下のような事情から弁護士の能力を判定するほかないでしょう。
 ちなみに、弁護士事務所が、新しい弁護士を採用するときも、同じように判断していると聞いています。


 ①出身大学・出身ロースクール
 …昔は、司法試験合格者というと東大・京大等の有名大学卒業の者ばかりだったのですが、現在は弁護士といえどもそうとは限りません。学歴差別ではありませんが、残念ながら、東大・京大出身の方が平均的に法的思考が鍛えられているという現実があります。
  従って、出身大学・出身ロースクールを考慮要素とすることに一定の合理性があります。なお、大学とロースクールは、比較的に入学が容易なロースクールもあるので、両方をチェックした方が良いと思います。


 ②司法試験の順位
 …昔は司法試験合格者は毎年500人から1000人だったのに対し、現在では2000人が合格します。そうすると、合格者も玉石混合でレベルにばらつきがでるため、司法試験に合格しているだけでなく、どのような順位で合格したかも重要な要素となってくるのです。
  厳密に司法試験の順位と弁護士の能力が対応するわけではありませんが、大まかには明確な差があるようです。
  この点は、大体の実感を含め、後日詳しく書くかもしれません。


 ③合格の年度
 …司法試験合格者は、第○○期というように分類されます。これは、合格年度を表しており、同時に弁護士としての経験を示すものでもあります。
  弁護士として経験豊富であるかを、年齢で図るのは非常に危険です。なぜなら、何年も試験勉強をしてやっと合格するのが司法試験であるため、司法試験に合格したときには既に高年齢であるということがザラだからです。
  例えば、
  A弁護士 年齢30歳 司法試験合格25歳
  B弁護士 年齢40歳 司法試験合格37歳
  というような事があるわけです。
  外見だけで判断すると、B弁護士の方がベテランのように思えますが、実際はA弁護士の方が2年も弁護士としての経験が多いのです。
  また、A弁護士の方が若年合格であるため、優秀であるという推定も働きます。
  このような場合、どう考えてもA弁護士に依頼する方が良いですよね。
  従って、経験豊富な弁護士であるかは、第○○期という合格年度をチェックしましょう。

  参考までに、2012年1月現在で言うと、64期が1年目の弁護士です。
  64期だと、一般的に最短で合格した場合、26歳です。 

   

 ④出身事務所
 …弁護士は、最初の数年間は、イソ弁といってベテラン弁護士の事務所で修行を積みます。
  しかし、就職難であるためイソ弁として修行を積んでいない弁護士もいます(いわゆる即独)。
  言うまでもなく、どのような事務所で修行を積んできたかは、弁護士の能力を図る上で大変重要です。
  有名な法律事務所でイソ弁をしていた弁護士かどうか、最低限、すぐに独立した弁護士ではないという点をチェックしましょう。


 以上のように、弁護士の能力を判定する基準を書いてきました。
 しかし、①から④を公表している弁護士は多くはありません。
 弁護士は、高尚な職業であり、このような事実を公表するのは嫌らしいと考えるからでしょう。
 ただ、依頼しようと考えている人の目線に立てば、非常に気になる事実だと思いますので、積極的に公表する方が良いのではないかと思います。


弁護士事務所の選び方についての一般論は以上で終わります。

後日、具体的に地域や分野別の選び方も書く予定ですので、引き続きよろしくお願いいたします。