97% vs 49% 米国と日本、どっちの法曹システムが優れているのか? | 弁護士&弁護士事務所ビジネスコンサルタントのブログ

97% vs 49% 米国と日本、どっちの法曹システムが優れているのか?

97%と49%。

これは、ハーバード大学のロースクール卒業生の司法試験の合格率と東京大学法科大学院のロースクール卒業生の司法試験の合格率である。

ちなみに、アメリカのロースクールのBAR EXAMのPASS RATEのランキング表はこちら。米国のロースクール185校のうち50番目の学校(ケンタッキー大学)でも合格率は90%。100番目の南カリフォルニア大学でも85.1%。150番目のデイトン大学で78%となっている。

また、東大ロー生の49%は実受験者に対する数字であるが、3回しか受けられないという制度のためか、受け控える人が極めて多く、501人の出願者のうち90人近くが受け控えているので、出願者に対する合格率は40%に過ぎない。

この数字を見て、皆様は何をどう感じるだろうか?

1 やっぱり、米国に比べて、日本の法曹になるのは難しいのだな~
2 それでも、旧司法試験時代に比べればはるかに高い確率なのだから良いではないか?
3 49も97も同じ二ケタだし、2倍くらいしか違わないんだし、同じ様なものなのでは?
4 日本のロースクール全体の合格率、25.4%に比べれば、確かに、米国の合格率は高いな~
5 他の国内ロースクールはもっと低いのだから東大はましな方だろ~。

などなど、いろんな感想があると思う。

しかし、私は、最も重大な問題点は、若くて優秀な人材に、早期に働く機会を与えていない点にあると思う。

つまり、落ちた人は、さらに1年2年と法律の勉強に時間を費やす必要にせまられ、若くて色々なことに対する吸収力が高い時に、同じ法律ばかりやらざるを得なくなる。また、その一方で、就職を考えている人に対しても、司法試験不合格のレッテルを貼られたり、または、法科大学院で法律をたくさん勉強して、頭が堅くて使いにくい若者と言うような目で見られることによって、就職が困難になったり、前向きでピカピカのエキサイティングな仕事が回って来なくなるというような状況に直面しているのである。

言うまでもなく、国家の将来は今の若者が担って行くものである。しかし、今の法科大学院の制度は、優秀で勤勉な潜在能力ある多くの若者に、挫折感を味合わせ、自信を失わせ、仕事の醍醐味、実務の楽しさやエキサイティングさなどを体験させないまま、腐らせているというような側面があるように感じる。

日本国政府として、このように優秀で勤勉な若者に、自信を持たせ、勤労意欲を高め、色々な実務の経験を積ませるようにすることこそが、国家としての教育戦略、あるいは、教育システムとして最も重要な事であるはずである。

東大とハーバード、一応それぞれの国でトップと言われている学校である。しかし、そのようなトップの学校で真剣に同じ様に2-3年勉強を行い、一方の国では97%以上の人が司法試験に合格し、自信をつけて、法曹界、あるいは実業界(投資銀行のM&A部門など数多くの職が豊富に存在する)に羽ばたいて行く。その一方の国では、半分以上の人が不合格になり、しかも不合格者の半分以上が、司法試験から撤退して、まともな就職にもありつけない(不本意な就職先しかみつからない)というような状況になっているのである。

もちろん、これは、東大に限った事ではなく、全ての法科大学院の学生について言える事である。

アメリカでは185のロースクールのうち150番目の学校でさえも合格率が78%もあるのである。

その結果、多くの若者は早期にどんどん社会に羽ばたいて、社会経験を積んでいっているのである。弁護士に向いていないと感じた人は他の職を求めてすぐに次ぎに向かって進めるのである。

私の経験でも、若い年齢における1年は、歳をとってからの3年5年あるいは10年以上に匹敵するだけの価値があると思う。

バブル世代で良かったところの一つは、多くの若者にも、溢れるばかりに仕事があったし、若いうちにたくさんの職務経験を積めた事だと思う。今の若者は就職活動だけで疲弊してしまう上に、やりたい仕事にもありつけず、本当に二重三重に、かわいそうだと思う。

日本国国家として、若者に対して夢を与え、職を与え、経験を積ませ、自信を持たせ、次の国家を担う人材をどんどんと育てて行く事こそが、国家の競争優位を築く最大のポイントの一つだと思う。

97% vs 49%、小さな違いにも見えるかもしれないが、上記の様に、極めて大きな違いだと思う。

若者に仕事を与える。

これは、国家レベルでも、法律事務所レベルでも、同じ様に大切な事であり、それぞれの未来を決定づける重要なポイントになり得る。

最後までお読み頂きありがとうございました。


弁護士ビジネスコンサルタント 成瀬直邦 筆

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