前回、、
相談のこられた丈夫な女性に対し
大きな木のようにお話を聞く私
そんな、穏やかで緩やかな空気は
彼女のある変化によって一変しました。
淡々と話をしていた女性が
なんと、突然あふれんばかりの
大粒の涙を流し始めたのです！！
例えるのなら、
まるで、雪崩のごとく、、
本人はあふれてくる涙を抑えようと、
必死に顔を隠している
しかし、止めども泣くあふれてくる涙を
抑えきれないようです。
普段の「丈夫なその人」を知る人は
この様子を見るとびっくりすることでしょう。
まさか、あの「丈夫な人」が
こんなにも涙を流すなんて、、
こんなにも苦しみを抱えていたなんて、、
と。
心の仕事に携わって来た私には、何が起きたのかはどことなく分かります。
人は、安心感を覚えると気持ちが緩みます。
私の大きな樹のように受け止めようという姿勢が
大きな安心感を与えていたのでしょうか。
そんな時に、
張りつめていた糸がぷつりときれたかのように
涙と苦しみがあふれてくるのです。
そして、
その時、私は気付きました。
普段、強く丈夫な人も
きっと、ウルトラマンのそれのように
背中にファスナーがついていて
その奥では目を腫らし大声で泣いているんだなぁと。
涙、苦しみがひとしきりでおえた後
ふぅーと大きく息を整え、しみじみとこう言いました。
私は、こんなにも苦しかったんだなぁ
と。
そして、
女性は続けてこんな印象的な言葉をおっしゃりました。
自分の中に、こんなにも大きな希望があったなんて、、
と。
どうやら、女性は苦しみに気付くと同時に
大切なことにも気付けたみたいです。
人にとって、苦しみに気付くこと
それは、とても重大な意味があります。
なぜならば、、
「苦しい、、、」と感じるということは
裏を返せば
「本当はこうなりたい！！！」という強い想いがあるということです。
人は【苦しい、、】という想いに気付いた時、
初めてその奥にある
【本当はこうなりたい！！】
という情熱、希望に気付くのです。
私は、２つ目のファスナーの存在に気付かされました。
目を腫し大声で泣いているその人にも
きっと仮面ライダーのそれのように
背中にファスナーがついていて
その奥で、本当はこうなりたい！！と
大きな声で幸せを謳っているのその人がいたのです。
思いがけず１つ目のファスナーが開き
「痛み・苦しみ」に気付き
思いがけず２つ目のファスナーも開き
「希望・情熱」に出会たその女性は
今、少しづつセラピーをうけながら
ゆっくりと幸せへと向かっています。
今の時代に
２つのファスナーを持つ「丈夫な人」は多いのかもしれません。
丈夫な人にある
２つのファスナーが開いたその時に
私は、惜しみない敬意と愛を込めてゆっくりとこう訪ねます。
「どうなりたいのですか？」
その答えを私は胸の「ファスナー」にそっとしまいます。
心理セラピスト 山下嘉彦