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私が初めて買ったエレファントカシマシの CD は、1998年発売の 10thアルバム『愛と夢』です。
発売日に買ったかどうかは覚えてないけど、初回盤だし、特典のポストカードももらったから、発売されてすぐに買ったのだと思う。
エレファントカシマシの存在をこれで知ったという「これ!」は、残念ながらハッキリしていないのだけど、ポニーキャニオンに移籍してからの、「明日に向かって走れ」や「戦う男」をテレビの CM か何かで聴いたのを覚えている。特に「戦う男」が好きで、だから、私が最初に好きになったエレカシの曲は「戦う男」なんだと思う。それで、
「良い曲だな~」
と、漠然と呑気に構えていた。ああ、二度と戻らぬ、平和な日々(笑)。
んで、良い曲だな~とは思うのだけど、それは、ミスチルやスピッツに対して「良い曲だな~」って思うのと変わらなかった。ミスチルやスピッツと一括りにしてしまうことからもわかる通り、私の中ではミスチルもスピッツもそしてエレカシもたくさんある音楽の中の一つでしかなかった。
当時、まだまだ私は「洋楽カッコ良い!」ってなってた時期。「キャー!ポール!ノエル!」の時代だから、やっぱり中心には洋楽があって、邦楽も聴くには聴くんだけど、洋楽からの影響をモロに打ち出した音楽、例えば、ミッシェル・ガン・エレファントとかトライセラトップスとかを聴いていて、今思えば、結局彼らの音楽の中にある「洋楽」を聴いていたんだと思う。「おお!○○はパブロックが好きなのか!××はブリットポップが好きなのか!」とかさ、そういう聴き方。パブロックが何かなんてわかってなかったけど(笑)。でも、そういう聴き方はいつまでも続くもんじゃないみたいで、すぐに(そういう聴き方は)飽きちゃったんだよね。今にして思えば。
だから、同じく洋楽に影響を受けてるものであっても、ホフディランとか、ちょっとこう、変わったというか、洋楽かぶれの自分には「異質」に思えるようなものに惹かれていったんだと思う。おそらくは。
そういう中で、ミスチルやスピッツと並んで気になっていたエレカシ。だけど、それはもう、自分の中でミッシェル・ガン・エレファント的位置付けなのかホフディラン的位置付けなのかよくわからなくなってたの。もちろん、当時はそんなこと考えてなかったけど、今振り返ってみて、どっちだったんだろう?って考えてみると、よくわからない。自分の中でも処理できていなかったんじゃないかな。
気にはなるけど、どうして気になるのかわからない。自分の中のどこが反応しているのかわからない。くすぐったいような気持ち。
そして、ミスチルやスピッツと同じようなものではあったけれど、(エレカシは)ヴォーカルの人が何やら様子がおかしそうな人ではあると(笑)。そこは認識していた。で、たまたま手にしたフリーペーペーにその「ヴォーカルの人」のインタビューが載っていて、読んだら、これはもう、、、「何この人!!」 私の中である確信が生まれる。
「この人、絶対おもしろい!」
そこから、ミスチルやスピッツよりは何歩か飛び出して、そんで、なんだかんだと、気付いたら、新譜ということで『愛と夢』を買っていた。(その前に『明日に向かって走れ-月夜の歌-』をレンタルで借りたかも知れない。カセットに録音した気がするぞカセットに!)
それを買うときも、なんだか、恥ずかしかった気がする(なんでやねん!)。
照れてたのかなぁ(何に!)。
だから、『愛と夢』は、自分にとって「初めて買ったエレカシの CD」であるはずなのに、なんか影が薄いなぁ(笑)。ライヴでもあんまりこのアルバムからやらなくない? たまには「ココロのままに」とか「Tonight」とかやって欲しいな。ギターがカッコええよねえ? 今のエレカシでやったらどうなるのか聴いてみたいよ。そう思うなら、私ももっと聴かなければ。
影が薄いとは言ったけど、当時は私が唯一持ってるエレカシの CD でありましたから、大事に聴きました。
「good-bye-mama」なんて、カッコ良いじゃないですか。
“手当たり次第さ やけくその愛を 金と自由と正義に替えに行こう”
なんてそんなこと、歌ってくれる人は私の周りにはエレカシしかいませんでした!
「愛の夢をくれ」なんて、カラオケで歌ったら、友達に「演歌みたい!」って言われましたが、カッコ良いじゃないですか!
そう言えば、UKロック好きの友達とカラオケに行ったときも、皆がそれっぽいのを歌う中、私「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」入れてやりましたからね! でも、決めのところの “アイヲモトメテ” がうまく歌えず、笑われて終わりましたけど!
“君はネコで俺は嘘つき” だなんてキュンとしちゃうじゃないですか。
……と、若干照れ隠し入ってふざけ気味に書いてしまいましたが、『愛と夢』のエレカシの「抑えた感じ」「引いた感じ」というのは、当時私が聴いていた他の音楽ではなかなか味わえないものだったように思います。
『愛と夢』について、宮本さんは「ベックの影響を受けてる」って言ってたよな(最近もベックの『モダン・ギルト』をよく聴いてるって言ってたし、ベックかなり好きなんだね!)。
特に最後の「おまえとふたりきり」。
これは、すいません私、歌われたらイチコロです。
幸い(?)、私は未だライヴで聴いたことありません。
「ベックの影響受けてる」っていうのは、「おまえとふたりきり」についてだったかも知れません。
そういうわけで、『愛と夢』を買って、聴いて、もう自分の中で「ミスチルやスピッツ」の括りからは抜け出し、結構好きにはなったのですが、まだライヴに行ったりする程までには至ってないんですよね。まぁ、今ほど、積極的にライヴに行っていたわけではないっつうのもありますが。
ただ、『愛と夢』を買ったとき、恥ずかしそうにしている私に、友達が「友達にすごい(エレカシ)好きな人いるよ」って言ってきて、「へぇ。私も最近結構好きなんだ。へへへ」とか間抜けに答えていたら、「だけど、その友達は、ずっと昔から好きで、今は初期とまったく違ってしまったから、今は好きじゃなくて、むしろ嫌いなんだって」と言われました。「最近結構好きなんだ。へへへ」とか間抜け面で言ってしまった私の立場はどうなるんだ!って感じですが(笑)、私は心の中で、
「ふぅん。そっか。じゃあ、初期の頃は、今とはまったく違う感じなんだ」
と思い、実は、ますますエレカシに興味を抱いてしまったのでした。
今とまったく違うって、どんななんだろう?
すごい好きだったのが嫌いになってしまうって、どんなすごい変化なんだろう?
そう思いながらも、月日は流れ、『愛と夢』だけでは心に火が灯るまでにはイマ一歩足らず、自分の生活のあれこれに追われていたのもあり、時は流れていくのでした。
開戦前夜。
エレカシにガツンとやられるのは、まだ先の話――。
その『愛と夢』から一曲、「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」。
この頃のエレカシの PV では、「演技」や「カッコつけ」の要素が見られます!