というわけで、思いっきりネタバレした『ごがくゆう』感想文を書きたいと思います。






書いておいてなんですが、これから観る予定の方は読んではいけませんm(_ _ )m


























観劇後まず思ったのは、良い意味で裏切られた、ということ。






正直ナメてましたね、『ごがくゆう』。






簡単なあらすじ程度は知ってたので、まぁ一国のお姫様が侍女と共に市井の民たちと一喜一憂のドラマを繰り広げるんだろうなと思ってたんですが、話はこちらの想像以上に凄いことになってましたよ。









途中までは、それなりに予想通りのドラマ。






お姫様フェイ(りほりほ)がプリンセスの仕事に嫌気がさして、侍女のリオン(くどぅー)を引き連れて、隣国に束の間の逃亡。






かねてより姫の天真爛漫で世間知らずな一面を疎んじていたものの、自らが背負った「姫の影武者」という使命から逃れられるかもしれないと踏んで、姫の逃亡を手伝うことにしたリオン。






そして町の定食屋に転がり込み、そこの看板娘クリア(あゆみん)とその友達のミラー(はるなん)、そして常連客で新聞記者の男たちと、なんやかんやすったもんだを繰り広げる。






一方、貴族側では、逃亡した2人を探す傍らで、王位継承権を放棄したリュウ(フクちゃん・フェイの姉)を新たなプリンセスにしようと企む動きが……。








こうなると、貴族のお姫様たちが市井の民たちとちぐはぐな交流の末に友情を育み、連れ戻しにやってきた貴族側の人間たちと一悶着ありながらも結果的には大切なものを見つけてめでたしめでたし……となると思うじゃないですか。






まぁ結果としてはそんな感じなんですけど、その途中ですよ。






まさかあんな展開になるとはね……。












インタビューなどで本人も言っていた通り、今回のりほりほは今までにないほど明るくて可愛らしい役。






もうこのりほりほを見られただけでも満足かもしれないw






とにかく可愛くて、一言でいえば「萌える」w










と思ったらよ。






途中、ある出来事がきっかけでそれが豹変。






深い深い心の闇を露わにし、さっきまでの明るさはなんだったのかという邪悪っぷり。






側近の戦士スケキヨを使い、定食屋の人間、常連の客、連れ戻しに来た貴族、どいつもこいつも嗤いながら皆殺しですよ。






貴族サイドでもリュウが暗殺されるし、貧民であるミラーの兄とその仲間も悪の貴族によってあえなく惨殺。








震えたね。


鳥肌が立った。








ストーリーや役柄もそうだけど、りほりほの演技に。






「ああ、オレはこういうのが見たかったんだ」と思いました。






可愛い女の子が演じる、可愛い女の子。






そしてその裏に隠された、暗黒の一面。






その暗黒さは、『ごがくゆう』というタイトルとあらすじから予想していたものを遥かに凌駕して、ほのぼのストーリーを観に来たつもりのお客(オレ)に鋭いカウンターを喰らわせてくれました。








いやだってさ、まさかこんなスプラッターな場面があるとは思わなかったから。


良い意味でドン引きだよねw






小さい子が見たらトラウマになるんじゃないかと心配になりましたw








またりほりほの演技のギャップが物凄くて、あれは演じ甲斐のある役だろうなぁ。






可愛らしいフェイもめっちゃ良かったけど、ブチ切れて悪の女王みたいになったフェイが素晴らしかった。






笑う場面じゃないのに、思わずニヤニヤしてしまいましたw










りほりほって、わりと舞台向きの女優さんだと思うんですよ。






なんというか、声になんとも言えない虚構性があるんですよね。






身も蓋もない言い方をすれば「嘘っぽい」ということなんですが、それは決して悪い意味ではなくて、そもそも虚構性のエンタメである(と自分は思ってる)《舞台》という特殊なステージの上では、それはむしろプラスに働くと思うのです。






舞台って演技を少し大げさにやるじゃないですか。映画やドラマに比べると。






そこにしっくりくる。


虚構性がある故に、舞台の中ではリアルになる。






りほりほのドラマや映画はあまり見たことがない(数女とシェアハウスくらい?)ので断言はできませんが、どちらかといえば舞台向きの女優さんなんじゃないかと思った次第。






あるいはりほりほは、その時々で最適の演技を本能で選び取ってるのかもしれませんが。


それくらいのことはできそうな才能ですw











話を戻しますと、結果的にそのスプラッターシーンは「有り得るべきもう一つの未来」みたいな感じで無かったことになるんですが(リュウのおかげ?この辺よく理解できなかったのでもう一回観たい)、それでもフェイはブチ切れて殺人鬼と化す寸前までは行ってましたけどね。






あのシーンが強烈すぎて、最後にみんなで仲良く和気藹々してるところでも微妙に違和感を感じてしまうというw












という感想ばかり言うと、さぞかし暗くて重い話なのかと思われそうですが、実はそんなこともない。






むしろ全体的に笑いに包まれてますね、今回の舞台は。






小ネタがいちいちおもしろくて、娘。ファンなら余計笑える箇所もたくさんあります。






特に良かったのがあゆみん演じる定食屋の看板娘クリアで、普段のあゆみんからは考えられないほどに舞台ではウケてましたw






あゆみん、思ったより出番が多く(というか娘。はみんな同じくらい出番が多い。フクちゃんだけやや少なめかも)、舞台経験2回目とは思えないほどに「強気な看板娘」をモノにしていましたね。






もしかして、フェイのブチ切れシーンがなかったら一番印象に残ってたのはこのクリアかもしれません。






定食屋の強気な看板娘という役柄も非常にマッチしていて、あゆみんファン必見です。












じゃあ他のメンバーはどうだったかと言えば、驚いたのは、クリアの友達役ミラーを演じた飯窪さん。






正直演技の面で一番心配してたのは飯窪さんだったんですが、そんな心配してごめん、と思うくらいの堂々とした演技でしたよ。






いや、さすがモーニング娘。に選ばれるだけのことはあるんだなぁなんて、今さらながら思ってしまいました。






漫画やらアニメやら、たくさんのフィクションに親しんでいるのもプラスに働いたのかもしれませんね。






意外なほどに「演技のコツ」みたいなものを掴んでいて、成長という意味では飯窪さんが一番だったかも。






役柄もまた「良い娘」な役で、それが幸いして暗黒フェイにも殺されずに済んだほどですw












そして、舞台経験も豊富で安定した演技を見せてくれたのが、お姫様フェイの付き人であり影武者でもあるリオンを演じたくどぅー。






強気で頼もしくカッコいい。でもたまに可愛くて、どこか脆い部分を持っている。






後半の泣きの演技は、思わずつられ泣きしちゃったよね(泣)






どぅーも明らかに成長してた気がします。






前までは若干一本調子気味だったというか、感情の起伏が定型通りになってしまう部分があった気がするんですが、今回は素晴らしい。






常軌を逸した父親の命令で、フェイそっくりに顔を整形しなければならない運命に葛藤する姿。






嫌いだけど、心からは憎めないフェイを想う姿。






最後に思いの丈をフェイにぶつける場面、今までのどぅーの演技では最高だったと思います。






あとは本人も言ってるように、滑舌と早口を直せば完璧。










で最後はフクちゃん演じるリュウ。






このリュウは、とっくに王位継承権を放棄して何やら怪しい占いじみたことをやってるんですが、フェイとは異母姉妹という設定。






いかにもお嬢様な雰囲気のおっとりキャラで、これまたフクちゃんに合った役柄でしたね。






他の4人に比べると出番は少ないですが、何気においしいとこ持ってってる気がしないでもないw






同じく他4人と比べると感情の起伏に乏しいキャラだからなのか、やや棒読みチックになる箇所が少しだけあったのは気になりましたが。(それこそ昔のどぅーみたいな感じ)












もちろん娘。以外の演者さんも素晴らしく、だからこそ娘。たちの演技も光るというものです。






ホント、共演するだけでもかなり学ぶべきところが多いんだろうなーと、素人ながらに思ってしまいました。






特に、クリアのお父さん役ドンを演じる池田稔さんは、前に観た『ハイカラ探偵王』のときも思いましたが、張りのある声が物凄く印象的。






あの声で怒られたら、縮み上がってしまうことでしょうw






(どうでもいいけど、自分の親戚に同姓同名のおじさんがいますw)
















約2時間弱の舞台ですが、物語の設定に結構深みがあって、観終わったあとに色々と妄想の余地がある脚本だなーとも思いました。






例えば、ほんのちょっとだけ回想シーンで出てきた、フェイとリオンの出会いの場面。






リオンと出会う前の幼きフェイは、魔法の石(それを使うと他人の考えがわかる)のせいで疑心暗鬼に囚われ、その頃に例の暗黒面も生まれてしまったわけですが、それが、物怖じせずに実直に意見を言ってくれる頼もしいリオンと出会って変わったのでした。






リオンと出会う前の邪悪なフェイ。


そしてリオンと出会ったあとに、明るく変わっていくフェイ。






その辺の話も、スピンオフとかで作れそうなくらい妄想がかき立てられます。






2人のこの部分をもっと掘り下げればさらに良い物語になった気もしますが、時間の都合上これは致し方ないか。








個人的に小説として書きたい、とか思っちゃいましたよ。書けないけど←










あるいは、あのスプラッターな場面がそのまま現実として収束し、その後の暗黒フェイと逃亡したリオン(※リオンはこの惨劇の前にフェイを置いて逃げている。つーかそれが原因でフェイは切れるわけだけど)の続き、というのもおもしろいかもしれない。






裏切られたフェイは、なんとしてでもリオンに会うため探し回り、ついに出会った2人はドロドロの愛憎劇を繰り広げるという……。






まぁさすがにそれはないかw






前に観たがきさん主演の舞台『殺人鬼フジコの衝動』もかなり凄惨な内容でしたが、あれはああいう話だと承知の上で観たものだったわけで、今回は完全な不意打ちでしたからねぇ。






あのフェイちゃん豹変のシーンは、個人的にかなりお気に入り。













とは言っても最後はなんだかんだハッピーエンドになり、誰も死なず、リオンも整形せずに「父親という壁」と「フェイへの葛藤」を乗り越えることができて一安心でした。












というわけで、去年の『ステーシーズ』に勝るとも劣らない素晴らしい舞台だったと思います。








普段から本ばっかり読んでることからもお察しの通り(←?)、自分は《フィクション》がなければ生きていけない人種であります。






《ハロプロ》と同じくらい《フィクション》に生かされていると言っても過言ではないくらい。






そんな2つが合わさって、最高のものを見せてくれたんだからこれ以上の幸せはそうそうあるまい。










物語そのものも素晴らしかったし、何よりあの娘たちの魅力といったらもう。








そりゃあ女優としての技量で言ったら他の劇団員のみなさんには全然追いつけてないかもしれませんが、あの娘たちにはあの娘たちにしかない魅力がある。






しかも、まだ中学生高校生の、どこか拙さを残した時期にしかない魅力というものが。






少女である時代にしかない、危うさを含んだ刹那の魅力。






技量だけに囚われていては見えないものって、確かにありますよね。










ライヴを観たあとも「ああモーニング娘。大好きだー!」と心から思う自分ですが、舞台を観たあとにも同じような高揚感を感じます。






どちらかというと、舞台の場合はより背徳的な感情になったりもするんですが、まぁそこは人それぞれだと思うので詳しくは言いませんw






しかし、この「娘。の魅力」と「フィクションの力」が合わさった舞台というのは、なにものにも代えがたい財産になりますねぇ。








こんな気持ちにしてくれてありがとうと言いたいですよ。ええ。
















そんなわけで、なかなか終わらないこの感想文、そろそろ終わりにしましょうかw






ついダラダラ長く書いてしまうのは悪いクセですが、一向に直りません←


これでもまだ書き足りない……(重症)








ああもっかい観たいー。


できれば劇場で。








ともあれ、また一つハロメンの舞台に傑作が加えられました!














今後「ごがくゆう」というワードを聞いたら、この舞台を思い出してしまうことは間違いないなw