🌺故フランシスコ教皇が遺した手紙 🌺
貧しい人々、社会から疎外された人々のために尽くし、生涯、清貧な生活を貫いたフランシスコ教皇が、去る21日、88歳で帰天されました。
彼が遺した財産は、わずか100ドル。
日本円にして、約15,000円に過ぎませんでした。
この事実は、私たちに多くのことを考えさせます。
今日は、フランシスコ教皇の最後の手紙を皆さんと分かち合いたいと思います。
どうか、ゆっくりと心で読み、深く味わう時間となりますように。
「この世に私のものは一つもない 」
― フランシスコ教皇 ―
この世のすべての愛する子どもたちへ。
私は今日、この人生を通り過ぎる者として、小さな告白を一つ遺したいと思います。
毎日、顔を洗い、身だしなみを整え、鏡の前に立って生きてきました。
その姿が「私」だと信じていました。
しかし、振り返れば、それはただの、一時的にまとう衣でした。
私たちはこの身体のために、時間を使い、お金を使い、愛情と情熱を注ぎます。
美しくありたい。老いたくない。病気になりたくない。そして……死にたくないと願いながら。
ですが、結局この身体は、私の願いにかかわらず、太り、病み、老い、そして、静かに私から離れていきます。
この世で、本当に「私のもの」と呼べるものは、一つもありません。
愛する人も、子どもも、友人も、そしてこの肉体さえも。
すべては、雲のように、一時的に留まるだけの存在です。
憎い縁も、美しい縁も、すべては私に与えられた人生の一部でした。
だから、避けられないなら抱きしめてください。
誰かがしなければならないことなら、「私が先に」そう思って取り組んでください。
無理やりではなく、喜びの心で。
やらなければならないことがあるなら、先延ばしせず、今日、今すぐに行いましょう。
あなたの前にいる人に、あなたのすべての心を注いでください。
泣けば、解決するでしょうか。
怒れば、良くなるでしょうか。
争えば、勝てるでしょうか。
この世の出来事は、すべて、それぞれの流れに従っています。
私たちができるのは、その流れの中で
少しの余白を与えることです。
少しの譲り合い。
少しの思いやり。
少しの控えめさ。
それが、誰かにとって温かな息抜きとなります。
そして、その温もりが、世界を再び
包み込む力となるのです。
今、私は旅立つ準備をしながら、この言葉を遺したいと思います。
「本当に、ありがとう」
私の人生に触れてくれたすべての人々へ。すべての縁へ。
そして、この美しい世界へ。
「私と縁を結んでくれたすべての人々に、心から感謝します」
静かに振り返ると、この人生は、感謝に満ちた奇跡のような旅でした。
どうか、あなたの人生にも、このような静かな奇跡が訪れますように。
心からお祈りしながら、この手紙を終えます。
フランシスコ(1936〜2025)