英雄 | 中華の足跡・改

中華の足跡・改

中国から帰り、北海道に暮らしつつ、台湾とつながる生活。

マジメな話からくだらないネタまで、国籍・ジャンル・多種多様。

いざ、情報発信~!

ユメの話。

久しぶりの、ナゾのファンタジー・ストーリー。



激闘は、終焉に近づいていた。

「残りは、あとコイツだけだッ・・・」

オレは物陰から飛び出し、ライフルを構える。

目標――ザク(※サイズは人間と同等)。

銃声が室内に響き渡り、続いて着弾の音と部品の破壊音。

(よし、あと3・・・いや、2発か・・・?)

だが。

わずかによろめいただけのザクの、モノアイがオレをじろりとにらむ。

ザクの手にしたマゼラトップ砲が、こちらを向いた。

「・・・ッ!」

慌てて回避行動を取るが、間に合わない。

一発、二発、三発。

ザクが、三連射。

被弾した。

オレは片膝をつく。

(マズイ・・・こっちが先に限界かよ?)


が、その時。

疾風のように、ザクの背後から襲い掛かる人影。

己の身長ほどもありそうな巨大なグレートソードを振りかざした、剣士。

ザクがその気配に気づいた時には、剣士はその間合いの中。

「ふッ!!」

裂帛の気合と共に、剣士は両手に構えた大剣を袈裟斬り。

たまらず、ザクは2,3歩後退した。

剣士はなおも手を緩めず、返す刀で横薙ぎに一閃させた。

それが、致命傷となった。

ザクは、マゼラトップ砲を取り落とすと、仰向けにどう、と崩れ落ちた。


ふう、とオレは息をついた。

助かった。

その剣士も、膝をついて大きく息をしている。

彼もまた、限界なのだろう。

その時、大きな音をたてて扉が開き、若者が飛び込んできた。

「すまない、遅くなった。・・・無事か?」

慌てて尋ねる若者に、オレはゆっくり首を振った。

「あんまり無事じゃないですね。とにかくすぐにここを出ましょう」

そういって、オレは懐から小さな羽を取り出し、剣士の下へ歩いた。

後から飛び込んできた若者も、その近くに寄ってくる。

オレは、その羽を宙に放り投げた。

やわらかな光が三人を包み、やがてその光が消えた時には、三人の姿もまたその部屋から消えていた・・・。



外は、既に夜になっていた。

だが、三人は、とにかくも体力を回復させなければならず、塔のすぐ下でキャンプを張ることにしたのだった。


「・・・それを、筋が通ってるっていうのかよ?」

あきれたような若者の声。

「言うんですよ、ルーファス」

と、オレが苦笑しつつ若者をなだめた。

「だけどよ・・・っておい、寝るなアリューゼ!お前に話してるんだぜ?」

非難された剣士は、ごろりと横になり、両手を枕代わりに頭上で組んでいる。

「オレにはどうでもいいことだ」

「・・・これだよ」

ルーファスという若者は、肩をすくめた。

「それは、あなたが強い戦士だからですよ、ルーファス」

オレはゆっくりと話し始めた。

「アリューゼは、弱い者には無条件に優しい。本人は否定するかもしれませんが・・・」

ちらりとアリューゼという剣士を見る。

相変わらず無反応だ。

「彼は、弱いものの為にその剣を振るうことができます。ですが、自分で自分を守れる強い人間には、冷淡になるんですよ。そういう意味では、一貫性がありますよ」

アリューゼ、依然沈黙。

「それでも、現状では、アリューゼという存在は、我々人間側の希望の存在なんです。彼を英雄視している人間も、少なくない。ルーファス、あなたもそのことはよくわかっているんでしょう?」

「まあ、な・・・」

不承不承といったルーファスの声。

その時、アリューゼが目を開き、ゆっくりと起き上がった。

「来るぜ・・・」

アリューゼがつぶやく。

何が、とは、オレもルーファスも問わない。

戦闘に於ける勘働きで、アリューゼに適う者はいない。

長い夜は、まだ終わらない・・・。



こんなユメでした。

例によって、背景も何もわかりません。

登場キャラクターは、とあるゲームのキャラクターのイメージのようで・・・。