初心 | 中華の足跡・改

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中国から帰り、北海道に暮らしつつ、台湾とつながる生活。

マジメな話からくだらないネタまで、国籍・ジャンル・多種多様。

いざ、情報発信~!

いいとか悪いとかの話じゃなくて、単に慣れの問題かもしれないのだが。

ある意味、おもしろい話なので、ちょっと紹介。



いまさらだが、中国語というのは、日本人にとっては、非常に特殊な(あるいは特別な)外国語である。

アラビア語だのロシア語だの朝鮮語だの、そんな言葉の文章を見たところで、普通の人にはカケラもわからないものだが。

中国語の場合、どんな素人でも、多少は意味がわかったりする。

ひとえに、漢字というものの存在による。


さて、ウチの会社。

台湾と仕事をしているものの、ちゃんと中国語がわかるのは、俺だけだったりする。

それでも普通に仕事をやってられるのは、無論台湾のエージェントが日本語を使えるからだが――レベルは様々だが――、簡単な言葉ならこちらでも読み取れる、というのが大きい。

FAXやMSNなどをよく使うわけだけど、長い文章でなければ中国語でもなんとかなるわけだ。


それで、だ。

俺の場合、中国語の文章――つまり漢字の羅列を見ると、ごく自然に、中国語の発音でそれを頭の中で再生する。

日本語と中国語、同じ漢字であっても、日本語の文章なら日本語の読み方、中国語の文章なら中国語の読み方をする・・・無意識に。

留学経験者なら、この感覚はわかるはずだ。


ただ、会社の人たちはそうではなく。

中国語の文章でも、容赦なく日本語の発音でそれを読む。

まあ、当然だが。

それを聞くと、よくいえば新鮮、悪くいえば奇妙に聞こえてしまうのだった。


例えば。

「A社からFAX来てたから、担当の人に『しゅうとう』ってMSNで言っておいて」

という。

しゅうとう?

・・・収到、のことか。受け取りました、と。

この単語を見れば、俺なら『ショウタオ』という音が、自然に浮かぶ。

だから、逆に『しゅうとう』といわれても、ピンとこないのだ。


「行程の中の食事、『じじょさん』になってた?」

と、聞かれる。

じじょさん・・・漢字にすると、「自助餐」・・・バイキング。

よく使う単語だけど、やっぱり『ズーチューツァン』というような音でインプットされてしまっている。

じじょさん、では、反応できなかった。


「向こうの人が、『かんぼつせいだん』って言ってきてるんだけど、なんていう意味?」

という感じで、時々訊かれるのだが。

かんぼつせいだん、といわれても。

文字を見せてもらうと・・・

「還没成団」

まだツアーが組めていません、と。

「還没(ハイメイ)」なんてのは、否定のときに非常によく使う表現だから、中国語としても初級に登場する表現方法だけど、日本語になおしてしまうと、あきれるほどにわからない。


・・・などなど、他にもいろいろあるのだが、さすがに全部は紹介しきれない。

こういう特殊な環境にいなければちょっと体験できないようなことかもしれない。

――そもそも、俺が何をおもしろがっているのか、実感としてわかってもらえるかどうかすら、いささか疑問なのだが・・・。