A Call from India
電話が鳴る。
はいはいほー、と出る。
男。調子の良いセールス口調。
訛りの強い英語です。
またインドあたりから掛けてきてるとみた。アメリカの企業の電話代行はインドが主流みたいですね。彼らはもともと英語が話せるし、ちょっとアメリカのアクセントを教えれば賃金安く同じサービスが提供できるわけです。よくセールスの電話が掛かってきますけど、たまにインドっぽい匂いがします。匂いっていうか雰囲気。
軽い挨拶があって本題へ。
「do you make international calls?(国際電話って掛けますか?」
国際テレホンカードのセールス。
「yeah, but i don't think i need any phonecards 'cause i am going back to my country. (掛けるけどテレホンカードは要らないっす。もう国に帰るし)」
「ok, ah,,, (そうですか。んー)」
「。。。。。」
「。。。。。」
何。この沈黙。
ぶちっと切ってもいいけど、僕は機嫌が良い。
僕「どっから掛けてきてんの?」
相手「インドからです」
僕「やっぱりー。だと思った」
相手「あなたは?」
僕「アメリカの●●●●」
相手「ふ~ん。そこは都会?」
僕「馬鹿言っちゃいけねーよ、田舎も田舎、砂漠みたい」
相手「あははは。でも楽しそうだね」
僕「だね。あんたはインド出身?」
相手「ううん。チベット」
僕「ま~じで?!」
相手「うん」
突如始まった不思議な会話。結局15分くらい話してた。彼は時間を潰したいらしい。つまらない仕事なんだ、と言いたげだった。はっきりとは言わないけどね。とにかく好きなだけ話してていいみたいです。
会社の電話、完全に私物化。
最後にはメールアドレス(念のため普段使わないやつ)を教えて、終了。向こうが教えてくれって言ってきたもんで。仕事中に何してんだよー、って突っ込みながら教えました。電話だから一文字ずつ丁寧に。それでも彼は「え?、、、いまの何?」て聞いてくる。"H as in house (ハウスって単語のHね)"とかはっきり言ってんのに、「え?、、、え?」て。
根 気 強 く
一 文 字 ず つ。
相手はチベット出身。彼の話によると、ホイホイッと母国チベットに戻れないらしいです。詳しくは聞かなかったし、彼だけかもしれないけど(犯罪とか、そういった理由で)。経済的理由で帰れないというならまだしも、国自体の体制などが理由で戻れないというのは辛いです。きっと意を決して国を出たんでしょう。僕ら日本人はすんなりと帰国できるけど、簡単に出入国を許さない国も、きっと沢山あるんですよね。北朝鮮もそうだし。チベットも北朝鮮も「A級複雑」のカテゴリーに入るのかもしれないけど、自分の国に帰れない人達がいるのは事実。容易に出れない人達がいるのも事実。そんな中で自分の留学、2週間そこらに迫った帰国を考える。恵まれてるとしか言えない。違う国で生まれた、ただそれだけで僕は自由、彼には制約。
ギャップ。
当たり前に思っていた自分の環境に感謝。感謝しつつ、"超"他人である彼の幸福を願う。
聞き取りずらかったから彼のメールアドレスは諦めた。まず彼がメールをくれなければ、超他人の僕らはこれからも一生超他人。チベットの話、もっと聞きたい。メールくれ!
ってこのブログでビックリマーク使っても意味がない!
「僕が教えたメールアドレスを彼が正確にメモれたか」が最大の鍵。確認したから大丈夫だと思うけどなー。でも「その確認を僕が正確に聞き取っていたか」が2番目の鍵。
さぁ。メールよ来い!