「平凡」ということ
考え方が好きな宋文洲氏のメルマガから転載です。
「平凡」から見出すチカラ。
私は、これがビジネスでは必要だと常日頃思っています。
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1.論長論短 No.157
年初の「平凡な日常」
宋 文洲
「ちょっとだけ置かせてくださいね」。足元のカバンから新聞を出すために私は隣座席の人に言いました。しかし、彼のテーブルにコップを置こうとした時に不味いことが起きました。私はその中のコーヒーを派手にこぼしたのです。
垂れるコーヒーをみて焦りました。「申し訳ございません!」と謝った後、すぐ「タオルください!」と添乗員に叫びました。タオルとティシュでテーブルを拭き、椅子を拭き、「脚に付きましたか」と聞きました。幸いにして「脚は大丈夫です」でした。少し安心して「お許しください」と再度謝ってもう一度丁寧に拭きました。
世の中は不思議なもので、実は昨晩にも同じ場面がありました。主役は私ではなく娘でした。
数日前、我が家は足湯の機械を買いました。長いお風呂は疲れますが、足だけなら熱いお湯でも長く浸せて気持が良いのです。私がやり出すと子供達も小さな足を入れ込んできます。テレビを見ながら過ごす時間は至福です。
昨晩も8歳の娘と足湯を楽しみました。終わる頃、彼女が足湯の機械の縁に立とうとしたため、機械が転倒し、大量のお湯が床にこぼれたのです。そのお湯は床一面に流れ込みベッドの下にも広がりました。
びっくりした私が「何してんだ!」と大きな声で叱りました。家内が大量なバスタオルを持ってきて私がそれを使って湯を吸い取りながら「自分のしたことだから早く始末しなさいよ」と茫然としている娘に叫びました。
大人気ない私は作業しながらもさらに一言文句を言ったと思います。しかし、その後、徐々に怒る気持ちが消えて行きました。娘が「私の責任だから全部やります」と言いながら一生懸命作業を始めたからです。
バスタオルを持ってベッドの下に潜りながら「私の体は小さいからベッドの下を任せてください」と娘が言います。途中、ベッドの下から「パパ、私わざとじゃないから許してね」との娘の声が聞こえた時、怒る気持ちよりも「自分が大人気ないな」、「娘への教育は厳しすぎたかな」とむしろ反省を始めました。
自己反省と同時に8歳の娘に尊敬の念すら持ちました。自分の子供の言動に感動を覚えたのは初めての体験でした。何か優しい言葉をかけたいのですが、適切な言葉が見つかりませんでした。
作業が終わった後、自責の念のせいかどうかは分かりませんが、娘は自分の部屋に戻って行きました。家内が様子を見に入りましたが、暫くすると真っ赤な目をして出てきました。「一生懸命漢字の練習をやっていますよ」と。
私も涙が出そうでしたが、我慢しました。新年早々、自分も大切なことを娘から学びました。それは彼女の行動でした。「私の責任だから」という言葉も響きましたが、あの小さな体をベッドの下に潜らせた行動が一番私の心を動かしたのです。
作業が終わって脚を引っ張って外に出した時は、娘のパジャマも濡れていました。彼女はバスタオルと一緒に体も使って水を拭いたのです。その様子を見て「私はちゃんと責任を取っているだろうか」、「私はちゃんと行動しているだろうか」と強く自問しました・・・。
「もしもし、食事がきましたよ」。考え込んだ私の腕に誰かが軽くタッチしました。隣の方でした。さきほどコーヒーを溢された隣の方が私に優しく呼びかけたのです。
皆さま、私の一年はこんな「平凡な日常」から始まりました。
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過日、致知出版の藤尾氏講演会にて、こんな言葉を聞きました。
「私が思う成功者というのは、与えられた縁や環境から、いくらでも学んでいく人。成功できない人は、まだ何かあるんじゃないか、とキョロキョロしてばかりいる人」
小才は縁に出会いて縁に気づかず、
中才は縁に気づいて縁を生かさず、
大才は袖すりあうだけの縁をも生かす
視点をどのように定めるか。
それが非常に大切なのではないか、と思うきっかけとなりました。
クオリティとスピード
先日、尊敬する先輩女性講師でもあり、経営者でもある方と、
これからの話を電話でさせて頂きました。
自身の置かれている立場や考えを含めて、
率直にお話しし、アドバイスやご提案を頂戴しました。
その時に、その方が言っていたのが
「ビジネスはクオリティとスピードを心がけている」
という言葉。
ハタ、と私の手がとまりました。
そういえば、経営者の立場になってこの方、
磨かれたり、フィードバックを受けたりが、
あまりにも少なくなっていやしないだろうか・・・
最近、感じるのは、やはり地方でしているビジネスのスピードと、
首都圏でのビジネスのスピードは随分違うものだ、
ということ。
そしてクオリティへの執着。
これも、甘くなっているのではないか。
あらためて、2012年度はクオリティとスピードを掲げ、
お客様へご提示していくものについて追及していきたいと
考えさせられました。
致知の藤尾氏講演会で
講演者は、月刊「致知」編集長の藤尾秀昭氏。
有名無名を問わず、様々な分野で活躍されている方々を取り上げ、
人間そのものに焦点を当てて特集して下さっている雑誌「致知」。
読むたびに「私も成長しなくては!」
と強く思わされる、“雑誌”を超えた人間学の教科書です。
創刊は昭和53年。
「致知」とは、中国の古典「大学」にある「格物致知」が由来。
今回の藤尾氏の言葉の中で、胸に残ったものは、
いくつもいくつもあるのですが、
私が「これだ!」と目が開いたのは、
「次世代の子ども達に、尊敬できる人を持たせる活動を!」
という言葉。
私も、この活動に携わりたい!
仕事では「企業人教育」と「社会人教育」の両輪を掲げ、
今年からは「社会人教育」を担当していく事になりました。
そして一昨年は一般社団法人みやぎ次世代育成協議会という、
次世代に成長の場を提供するという志の団体を立ち上げました。
やはりその芯になるのは「人間学」であろうし、
「日本づくり」であろうな、と思うのです。