『わたしの台南 「ほんとうの台湾」に出会う旅』読みました | J'aime・・・

J'aime・・・

私の好きな台湾、五月天、そして宝塚。
好きなものに囲まれた日常の出来事を書き留めていきます。

最近読み終えた台湾本を紹介します。一靑妙さん『わたしの台南 「ほんとうの台湾」に出会う旅』です。
2014年8月29日に新潮社から刊行されたばかりです。作者の妙さんは、台湾屈指の名家「顔家」の長男であるお父様と、日本人であるお母様の間に生まれました。幼少期は台湾で育ち、11歳から日本で暮らし始めました。日本統治下の台湾で生まれたお父様は、日本人として育てられ、終戦とともに日本人から台湾人にならざるを得なかったそうです。引き裂かれたアイデンティイに悩み、妙さんが14歳の時、56歳の若さで亡くなられました。お母様は、単身で異国の名家に嫁いだ苦労があり、乗り越えなければならない多くの壁があったそうです。そして、妙さんが22歳の時、48歳の若さで亡くなられました。妙さんは一青窈さんのお姉さまでもあります。

 妙さんは、幼少時を過ごした台北を訪ねたそうですが、今の大都会台北には、当時の面影は残っおらず、何か違和感を感じたそうです。そして、出会ったのが台南という台湾南部の街です。台湾は、大都会台北や高雄だけではなく、古き良き時代が今もそこで脈々と息づいている台南に面白さや人情があるといってます。地元のソウルフードから流行のスイーツまで美食の街を食べ歩き、人情深く人懐こい人々に触れ、その歴史と文化を訪ねた妙さんが心を込めて綴る台南への誘い本です。

 ナイフ&フォーク第一章 おいしい台南へようこそナイフ&フォーク
ここでは、美食の街をたべつくす」 懐かしくてほっこりなスイーツたち」 台南はフルーツパラダイス」というタイトルで、美味しい台南がたくさん紹介されてますラーメン
牛肉湯(牛肉スープ)…台南には台湾で最も大きな牛の処理場があるため、この地で発達した料理です。お店ごとに提供している牛肉の部位や厚みが異なり、スープの取り方にもお店のこだわりや秘伝があるそうです。台南の朝食における肉の代表格です。
虱目魚(サバビー)粥…台南の朝食における魚の代表格が虱目魚粥、。サバビーは、台湾語読み、台湾華語だと虱目魚(shī mù yú)です魚。虱目魚は鮮度が命の白身魚なので、明け方運ばれてきたものをすぐに料理しているのです。お粥といっても、メインはお米ではなく、虱目魚や他の具材にお米粒がのせられた感じのもの。
蝦仁飯(エビチャーハン)…台南では日本統治時代からエビチャーハンが人気だそうです。そして、エビチャーハンに必ずついてくる鴨の溶き卵のスープ。この2っがゴールデンコンビだそうです。店特製の味付けされたチャーハンの上に、当日水揚げされた新鮮な蝦を強火で炒め、載せてくれる蝦仁飯エビ、凄く食べたいです豚キムチチャーハン

 台南には、居心地の良いカフェが沢山あるそうですコーヒー。どのお店もオシャレで、内装や設計は東京の青山や代官に点在するカフェよりもレベルが高いと紹介されてます。孔子廟の向かいにある「窄門珈琲」は、お店に辿り着くまで、横向きの蟹さん歩きでないと入れないほどの細い路地を通るそうです。このお店にあるチベットのバター茶なるものをぜひ飲んでみたいです。
 台南スイーツは、伝統的な中華菓子バーミヤンを作り続けているお店が多いそうです。廟の多い台南では、落雁のような糕餅(カオピン)、お饅頭のような麺皮紅桃(メンピーホンタオ)、月餅(ユエピン)など、お供えに使われるお菓子が多いのです。私が台南へ行った時も、そんなお店が多かったです。台北とは違った趣のお店を見かけました。台南スイーツで外せないのがマンゴーかき氷カキ氷。かき氷の上に旬のマンゴーをこれでもかというほど載せてくれ、ある程度食べると100%マンゴージュースgokuriをかけてスムージーとして楽しむこともできるそうです。私は、ここを読みながら凄くマンゴーが食べたくなり、台北で買って来たドライマンゴーを食べながら本を読み続けたくらいですアーウィンマンゴー。マンゴーの故郷、玉井の紹介もあります。玉井、行ってみたいです。台南からバスで行けるそうです。ぜひ挑戦したいです。でも、カゴ売りしかないので、妙さんは買うことを断念したそうです。

 お爺さん第二章 愛すべき台南の人々キトリ
 この章では、台湾の名家「顔家」出身の妙さんと台南の関係がつづられてます。また、妙さんの台南のご友人が何人か紹介されてます。これからの台南を動かす若い力や、誇り高き安平のカラスミ職人、ビンロウ店のご主人のことが書かれてます。華やかではないけれど、自分の人生に誇りを持ち、黙々と生きている台南人のパワーを感じます。

 台湾第三章 受け継がれる台南の心台湾
 ここで一番印象に残ったのが、台北北部、無米楽(ウーミーロー)」への旅です。「無米楽(ウーミーロー)」は、土地の名前ではなく、2005年に公開された台湾のドキュメンタリー映画のタイトルです。無米楽」は台湾語で「ボービーロー」と読み「コメがなくても楽しく暮らせる」という意味で使われてきた言葉です。不作でも大丈夫、台風が来てもへこたれないという「Que sera sera/ケ・セラ・セラ/なるようになる」(スペイン語)C'est la vie./セ・ラヴィ/これが人生」(フランス語)という意味が込められています。Que sera sera」は、私の座右の銘としてこのブログのプロフィールにも書いてます。それにC'est la vieは、私が大好きな「琥珀色の雨にぬれて」という宝塚の珠玉の名作の主題歌でもあります。何だかうれしくなってきました。台南北部後壁区には、映画の舞台となった菁寮jīng liáo (チンリャオ)があります。日本統治時代に建てられた小学校もあるそうです。のどかな農村風景を背景に、自然と向き合い、純朴に生きる人々の日常、田んぼを耕しながら日本の歌を朗々と歌いあげる人々を描いたこの映画、ぜひ見てみたいです。そして、菁寮という場所にも行って見たくなりました。
 先日、台湾映画「祝宴シェフ」を紹介しましたが(「祝宴シェフ」観て来ました左クリック)、ここでは、総舗師(ツォンポーサイ)辦桌(バンド)文化についても、妙さんの体験をもとにリアルな様子がが記されてます。盛大で賑やかな辦桌(バンド)文化に、台南の活力を感じます。

 台湾には、沢山の美味しい食や、伝統的文化、日本が関与した深い歴史があります。おもちゃ箱や宝石箱のように魅力や浪漫がたくさん詰まってます。でも、一番の魅力は、台湾に住む人々のようです。行けば行くほど面白いのが台湾、その中でも台南は、特に魅力が詰まった台湾らしい台湾のようです。この本を読み、とても台南への興味が高まりました。2015年の台湾の旅は、台湾南部を歩き、「住みように旅したい」と思います。この本、おススメです。ぜひお読みくださいませ。紹介されたお店には、住所と地図が付いてます。この本片手に台南巡りは如何ですか?


では、また。