日本人と欧米人では違うセロトニン・トランスポーター? | Aromatic Journal 

日本人と欧米人では違うセロトニン・トランスポーター?

ラ・ルースクールオブアロマセラピーで学んだ人たちは、既に知っているようにセロトニンなどの神経伝達物質に関連している精油がある。精油を嗅ぐことで鼻から嗅覚神経を伝わって脳に伝達される。

そして、この神経伝達物質がに伝達されたのち、トランスポーターから再び取り込まれる。

このセロトニン・トランスポーターの型が日本人と西洋人では違うことがわかっている。


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まず、トランスポーターの話の前に、セロトニンについて再確認してみよう。
アロマセラピーを学んだ人は知っているようにセロトニンなどの神経伝達物質に関連

している精油がある。精油を嗅ぐことで鼻から嗅覚神経を伝わって脳に伝達される。
セロトニンはラベンダー・アングスティフォーリア(Lavandula Angustifolia/一般的なラベ

ンダー)やカモミール・ローマン(Chamaemelum nobile)を嗅ぐことで脳の部位の縫線核

を刺激することで分泌される。
セロトニンは『うつ病』に関与する神経伝達物質だ。つまり、うつ病というのは、脳の中

に存在するセロトニンが不足すると発症すると言われているからだ。従って、病院での

うつ病の治療はには、最近は副作用の少ないといわれている抗うつ薬SSRI(セロトニ

ン再取り込み阻害剤)を使うことが多いようだ。その他、うつ病に関連しての再取り込

み阻害剤としては、SNRI(ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)があるが、今回は前者

についてだけ説明することにする。
神経における伝達は電気信号によるが、神経細胞と神経細胞の間の伝達はシナプス

間の伝達なので、神経伝達物質によって伝達されることを思い出してみよう。その際、

神経伝達物質は伝達される神経細胞が持つおのおののトランススポーターに渡され

て伝達される。しかし、伝達されるセロトニンが少ない場合、セロトニンの伝達量が変

わってしまうことになる。SSRIは、この場合に取り込まれなかったセロトニンが元の神

経細胞に再度戻るために持っている再取り込みトランスポーターを阻害(遮断)するこ

とで次に伝達すべき神経細胞のトランスポーターに取り込まれやすくする薬なのだ。
そこでテーマである日本人と欧米人では、この再取り込みトランスポーターの型が違う

ことによってセロトニンの伝達量が違ってしまうということだ。正確には日本人はS型の

トランスポーターを持つ人が多く、西洋人には少ないということだ。結論から言って

、S型はL型よりも転写活性が低いということなので、S型の再取り込みトランスポータ

ーを多く持つ日本人のほうが不安・抑うつ・攻撃性・衝動性といった神経症的傾向が

強いことが心理学的検査からわかっている。
個人的に心理相談員として企業のメンタルヘルスに関する情報を聞くことが多い。企

業の中でも『うつ病』による自殺の予防に力を入れ始めている。それだけ、うつ病やう

つ症状を持つ日本人が増えているということだ。
では、セロトニンの分泌を促す精油は、うつ病のときに使えるか?
精油よりもうつ病の人はまず薬(SSRI/SNRLI)を使うべきだ。この薬を使っている間は

精油は使うべきではないと個人的に考えている。なぜなら、SSRIの作用機序と精油の

セロトニンを分泌地させる作用機序がわかっていないからだ。しかし、SSRIを完全に

辞めてからは精油の活用は、良い活用法であると考えている。なぜなら、うつ病が治

ってもうつ症状がでたり、うつ病に戻ったりしやすいからだ。実際、私は病院に通って

薬を飲んでいない人でうつ病ではなく、うつ症状と診断された人には精油のセロトニン・

ノルアドレナリン分泌に両方役立つ精油の活用を勧めていて、症状の改善も見られる

傾向にある。
なお、ハーブティや抽出油では、セントジョーンズワートがSSRIと作用機序が同じなの

で、薬の使用中は英国において使用は禁忌とされている。




今回は、神経伝達物質であるセロトニンと抗うつ薬であるSSRI(セロトニン再取り込み遮断薬)とセロトニン・トランスポーターの関係を詳しく説明しました。