外務省の有識者委員会が9日まとめた日米密約の報告書を受け、政府・与党が「政権交代の成果」を強調したのに対し、長く政権党として密約を否定してきた自民党からは「核搭載艦船の核持ち込み」密約を巡る歴代政権の姿勢を正当化する発言が目立った。

 麻生太郎前首相は談話を発表し「『密約』については、自分は承知していない。核の持ち込み問題についての当時の国会・国民への説明ぶりは、わが国の安全保障を確保するとの観点に立った賢明な対応だった」と歴代自民党政権の判断を支持。「91年以後、核兵器に関する米国の方針も変更されており、この問題は現時点において意義を失っている」と指摘した。

 安倍晋三元首相も記者団に「いわゆる核密約についての申し渡しは前任者からはなかった」と述べた。60年に日米安保条約を改定した祖父の岸信介元首相に関しては「密約という認識はなかったと思う。冷戦の中で指導者が日本を守るために判断した」と擁護した。

 高村正彦元外相も記者団に「(核持ち込みについて)日米間の解釈の違いを詰めなかったのはけしからんと今の時点で言うのは、当時の苦渋の決断をした人たちに酷ではないか」との見解を示した。ただ、密約問題への鳩山政権の取り組みは「歴史の真実を明らかにするのは一定の意義はある」と評価した。

 自民党の閣僚経験者の一人は「(密約を)公表して『けしからん』というのは簡単だが、米艦船内(に核兵器がないか)をすべてチェックなどしたら日米同盟が持たない」と従来の政府対応を正当化した。

 これに対し、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は記者団に「こういうことが明らかになったのは、やはり政権交代の成果だ」と自賛した。

 一方、共産党の志位和夫委員長は記者会見し、00年の国会審議で不破哲三委員長(当時)が60年の安保改定時に日米間で結ばれた「討議の記録」の存在を指摘したことを挙げ「報告書は討論記録の存在を認めながら、それが密約だったことを否定している。悪質な歴史の偽造だ。こういう決着を許してはならない」と批判した。【中田卓二、近藤大介】

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